愛の悲しみ
春が涙色を模して
僕らを包み込んでいる
誰も知らない
誰も知ろうとしない
本当に他人に興味のある人間なんて
いない
空はどうして青いのだろう
こんな空虚な妄想に毎日浸れるほど
現代社会はそう甘くはない
地球がまん丸で本当に良かった
端っこのない世界で本当に良かった
あなたは端っこでよく泣いているから
地球だけは丸くて
本当に良かった
大人になろうとした僕らは
大人になった瞬間に
希望も何もかも捨てました
必要ない
不必要だ
邪魔だ
そう言われることにも もう慣れた
慣れることはすなわち恐怖だ
こんな慣れ 春の風と一緒に
吹き飛ばせてしまえればいいのに
優しく
触れるように
撫でるように
さするように
あなたを抱きしめていたかった
僕らが愛し合った記録も
いつかの誰かを苦しめていく
雨の日に
濡れて帰るあなたが綺麗で
傘を持って追いかけることをやめた僕を
どうか許さないでください
あなたを取り巻く
今以外の全ては無くなりますように、
気づいてしまっても
気づかないふりをしてほしい
どうか、どうか
死にたい、と呟く僕も
結局のところ
少しだって死にたいと思っていない
構ってほしいとか
そういう単純な欲求ではなく
死にたいと思う自分に時々浸って
生きていることを感じていたいのだ
誰にも触れられないから
せめてでも
せめての報いで
自分で触って
自分の実態を確かめたい
そうしないと
生きているのか死んでいるのかわからないから
全てに恵まれるあいつは
嫌な人であってほしい
死んだ時に
ほんの一言
地獄で待ってるよ
そう言えたのなら
どんなに幸せな人生だっただろうか
愛の悲しみ