ぼくが死ぬまであと3年。

白石 あめ

死んでしまったら

この人生のこと ぜんぶ

忘れてしまうのかな


死んでしまったら

こんな最悪な恋のことも

忘れてしまうのかな



繕った笑顔をはがすようにして

家のベッドに飛び込んだ

ああ、もう嫌ですこんなの嫌です

今日も今日とて最悪でした

あらうっかり、口に出てしまったよう


動画サイトでおすすめされてきた知らない曲を

再生する勇気がないくらいには

ぼくは変わることが嫌いだ


変化にはきっと馴染めない

変化を望むものなんて多くない絶対に


きみが笑いかけるのは

ぼくだけじゃないことを知った

きみが楽しそうに趣味を語るのは

ぼくだけじゃないことも知った

赤く染まったその頬も

きらきら輝くその瞳も

今にも壊れてしまいそうなその表情も

ぼくに向けられてつくられたものじゃなかった


勘違い野郎はぼくのほうだ。


悔しい悲しい消えたい好きだ嫌いだでも好きだ

頭の中にいろんな文字がぐるぐると渦を巻いて

ぼくの脳を作っている

きみに対する感情だけで

ぼくの脳はできているんだよ


きみがぼくを好きになればいいのに

ぼくはそれだけで 世界でいちばん強くなるし

ぼくはそれだけで 世界の全てを知った気になる

ぼくはそれだけで 幸せ者へ仲間入りできる

まあ ”それだけ”ってわけでもないんだけど



ぼくはきみのことが好きなんだよ。


___________


死んでしまったら

きみが好きだっていうこの気持ちも

忘れてしまうのかな


なんか なんとなくそれは嫌な気がして

死んでしまった後のことなんて

ぼくはまだ 知りもしないのに



作り笑いも嘘で固めた

春も もう死にかけた

どうでもいいと言って逃げてきた

心に刺さるラブソングも

今となっては騒音だよね


ぼくはやっぱり、きみのことが好きなんだよ。

本当にごめん。

ぼくが死ぬまであと3年。

ぼくが死ぬまであと3年。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-04-25

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