【慈悲も解きて麗らに】

【慈悲も解きて麗らに】

白々しく薄く輝かしい惰性のように
吐く息は雪を掻き分けて(おぞ)ましく
儚くもその面を覘かせる、華々。
辛うじて色づき虚ろ彷徨うばかりです。
表界では今も軽快な音を響かせ
啄木鳥が堕とし穴を拵えておりますが
皆様、いかがお過ごしでしょうか
其方(そこ)は窮屈で御座いませんか
一目置けば白々しく 至極可哀らしい、
損な齷齪せんと 春は直ぐ底に咲いて狂うでしょう
今一度、チャンスをください。などと、
首を移し盗られた椿は無駄に天を仰いで
終いの景色を腐るまで 眺め長め愛でましたが。
美しい青空は今も しじまで彼方を刺し
殺しては常に輝るのです。
永久に続くのでしょう、なんて
そんな断り、誰もせんでしょうよ。
今直に手折ってやりましょう 素の方が
貴女には緒似合いの花束になれるでしょう。

【慈悲も解きて麗らに】

【慈悲も解きて麗らに】

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-21

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