【きせきのときを】

【きせきのときを】

ほら、君の骨が羽根になったよ

滴 ひと偲月
あゝ 私の頬で撫で 逝く子は灰に天へ還り
この頬を濡らして 私と共に往くことを胸に、
切に。

拝はさらら 曇り描いて空の器
虚ろげな鴉 嘶いております 故

善いの勘定を致しましょう 幾ツ石を重ねたのかしら

腹のソコには視得るのは 小さな恋の窓べでしたか
忙しなく私を撫でてゆく 風は貴方を攫って逝きました

私に「きせき」を惜し獲てくれました
彼方の「とき」に熟れたのでしょうか

ちょっとだけの時でしたが
それで楽しかったのですよ

こんな簡単なこと当たり前のことで
何故恐ろしく締まってしまうのか
終わりあるもの必ず崩れてしまうのに
だからこそ、
今を懸命に生きたというのに。
暗闇では恐ろしいだろうね
先がみえないこと
以下に素晴らしくとも厭に満ち
標がいないはるか遠い霞のようで
あゝ 人の生などその程度かと。

落日
仕舞を看取る匕に 想う

【きせきのときを】

【きせきのときを】

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-03-21

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