奈落の底
ぼくらはみんな
地獄から這い上がってきたんだよ
ぼくの全ては簡単で人間らしかった
ブルーライトを浴びながら
スマートフォンの通知を横目に流している
3:30 a.m.
朝の匂いを感じる
音程の狂ったピアノを弾くふりをして
今日はおやすみだ
なにもすることがないのだけれど
なにもしないということをするというのをしたいのだ
もうぼくは自分でなにを言っているかわからないや
暖色でまとめられたこの部屋は
ぼくという人間とは相反するものだと思った
だけどこの部屋が1番居心地がいいのは
きっとそういうことだろう
夜のネオンにかき消されていく
ぼくの優しい心
消滅的瞑想
彼女の眼鏡の縁が
少し歪んだ気がした
耳にイヤホンをさして
ぼくは空気の音を閉ざした
ぼくをちょっと狂わせるような
甘い香りの音楽
そこに先入観なんていらない
ただ感情に任せた
やりきれない日々を
こなしていくだけだ
パターン化されたぼくらの日常
無難に無難に
こんなにこんなに大嫌いだった人
あんなにあんなにあんなに大好きだった場所
全ては捨てるべきなんでしょうって
散った髪の毛の行方はいかに
拝啓、地獄のぼくへ
今 そちらの貴方様におかれましては、
お苦しみの最中でございましょうこと 深く同情いたします。
しかしご安心いただきたい。
ぼくは現在 東京という街で
生きています。
ですので、どうかあと一踏ん張り。
貴方様はいつか必ず報われる時が来るでしょう。
敬具
最高でした
奈落の底