わるもの さん

女の子はだれだって

主役になりたい


子供の頃に見た 美少女戦士

妄想する

だれかを助ける自分のことを


わたしが守るこの世界は

あなたがいる

あなたがいない世界なんて

守ったって仕方がないでしょう


心底かっこいいと思った

刺激のない平凡な生活だって

キラキラしたものに見えてくるような


だけど戦う少女たちの最後はあまりにも悲しいものだった

どんなに美しいものでも残虐に朽ち果てるのだと

終焉と愛


もしも正義の味方が不死身なら

悪者が死を手にしているのなら

この世界が平和になるときは来るんだろうか


戦いと喧騒の絶えない私たちの星

それは嘘でも美しいなんて言えない


死ぬことができない正義の味方は

永遠に正義の味方でいられるのだろうか


正義と悪は隣り合わせで

だれだってどちらにもなることができる


初めから悪者だった人はいない

悪いことをしただけで

それだけの人たちで


夢見る少女たちもいつかは老いていき

見るに堪えない姿になるときがくるだろう

それはもう人間ではないかもしれないが


今このときが一番に輝くように

生きていたいと思う

正義の戦士になれなくても

女の子の憧れる姿でなくても


大人になった少女は

きっとこう思うのだろう


この身が朽ち果てるその一瞬まで

わたしは

わたしの憧れる少女でいたいと願った

わるもの さん

わるもの さん

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-12-24

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