仁王の間にて我は直近の弟とともに瞑想していた。

誰かがこちらへ向かって歩いてきている。その足音や身のこなしかから三番目の弟だろう。三番目の弟は重たい鉄の扉を押し開き声を荒げた。
白昼の陽が仁王の間に漏れ入る。
「兄者ァ!兄者達は何故何も言わァん!やつは俺たちの弟!しかも一番下の未熟者なんだ…!そんなやつに伝承者の座を奪われてぃ!悔しくないのか!」
仁王の間に沈黙が訪れた。白昼に立ち尽くす弟。
「ふぅああ……」
弟が更に声を荒げる。
「分かっているのか兄者達は…!北斗神拳は一子相伝、伝承できるのはただ一人!俺は知っているぞ…伝承者争いに敗れた人間がどういう運命を辿るのか…拳を封じられ名乗ることも許されん…そのためある者は拳を潰され、またある者は記憶を完全に奪われた。それが北斗神拳を目指し、そして敗れた者の二千年の永きに渡って受け継がれてきた宿命なのだ!」
弟が口を閉ざすと瞬間に仁王の間に静寂が訪れる。
「ふぅああ…」
弟が奇声を上げた。
「ぬぅあああぁあああぁああ!腑抜けたか兄者たちは!」
裏拳で仁王の間の扉を破壊する弟。
「だか俺は許さねえ認めねえ!この俺の拳を俺より劣る弟に、ふ潰されてたまるか!」

そして弟は白昼の中へと歩き去っていった。

二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-12-18

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 仁王の間にて我は直近の弟とともに瞑想していた。
  2. 2