「雨降りの午後」
雨の音がしていた。
だるい体で寝返りをうつ。
午後4時。
いつの間に眠りに落ちていたのだろう。
ひどく、喉が乾いていた。
見てはいけない夢を見ていたような気がする。
曖昧で、ふわふわしていて、
残酷なほど優しい夢を。
タオルケットを蹴り払って無理やり体を起こす。
冷蔵庫から麦茶を取り出して
なみなみとコップに注ぐ。
換気扇を回して煙草に火をつける。
窓も開けていないのに
部屋の中までしっかりと雨の気配が居る。
こんな日に限って
見たくもない夢を見てしまう。
忘れたはずの声を聞いた気がした。
どうしても思い出せないあの人の声を。
半分も吸っていない煙草を揉み消して
またソファに倒れ込む。
夢の続きがあるのなら
二度と目覚めなくてもいいのに、と。
雨の音がしている。
「雨降りの午後」
キャスにてroiさん@roi_144m
より頂いたお題「雨」