あなたの腕の中

あなたの腕の中


甘えることを、覚えました。


やっと。あなたの隣でもう何年過ごしているのか。
小さな小さなSOSにあなたは気付いてくれるらしい。


2人ごろりと転がるベッド。
おいで と彼が言う。

少しだけ意地を張る私は背中を向けて彼にくっつく。
背中越しに抱きしめられて、安心を錯覚しそうになる。

手と手を絡ませて。


ごめんね。と言葉がこぼれた。
小さな声で。


あなたの寝息が聞こえるまであなたにすっぽり抱きしめられて。

そっとあなたの腕から抜け出す。

抜け出したことに気付かないあなたに安心する。
そして私は煙草を手にキッチンへ。

これこそが、甘えなのだ。
帰る場所を知ってしまった。

煙草を灰にしたら私は彼の腕の中へと帰る。

夢に落ちているあなたの腕を


私に巻きつけて。それからやっと私は眠りにつくのです。

あなたの腕の中

ツイッターでのお題募集にて
桜香ちゃん@tohka_uktn より頂いたお題。

あなたの腕の中

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-09-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted