ぼくらの終わらない戦争
積乱雲が 僕らの街に 一番近くなったあの日
本当に手が届いてしまいそうだった
夏という レモンの見た目をした悪魔は
僕らにたくさんのものを残していった
放課後の学校にウェストミンスターの鐘が鳴り響いた
それは 僕らの戦いの始まりのはずで
終わりの始まりを共に迎えたはずで
ただ その日は違ったんだ
僕らが生きるこの22世紀の
美しくもなんともないこの時代の
ありふれた時代の流れ
できないことはたくさんあったよ
それはもうたくさん
けれど僕らは この戦争で
失った分得たじゃないか
できないことをやってきたんだ
きっと本当は汚いことをしている
戦いたくもない人と
人は死んだりはしない
昔 殺人を用いた戦争をしていたらしいけれど
そんな馬鹿げた話は もう捨てたっぽい
平和に戦争を
それがこの時代のモットーらしい
それも正気の沙汰じゃない気がするのだけれど
たぶん1世紀前の人が聞いたら
本当に怒るんだろうなぁ
なんて
そういって
僕らは 一番近い積乱雲を 左手でつかんでいた
ぼくらの終わらない戦争