ぼくらの終わらない戦争

白石 あめ

積乱雲が 僕らの街に 一番近くなったあの日

本当に手が届いてしまいそうだった

夏という レモンの見た目をした悪魔は

僕らにたくさんのものを残していった


放課後の学校にウェストミンスターの鐘が鳴り響いた

それは 僕らの戦いの始まりのはずで

終わりの始まりを共に迎えたはずで

ただ その日は違ったんだ


僕らが生きるこの22世紀の

美しくもなんともないこの時代の

ありふれた時代の流れ


できないことはたくさんあったよ

それはもうたくさん

けれど僕らは この戦争で

失った分得たじゃないか

できないことをやってきたんだ


きっと本当は汚いことをしている

戦いたくもない人と

人は死んだりはしない

昔 殺人を用いた戦争をしていたらしいけれど

そんな馬鹿げた話は もう捨てたっぽい


平和に戦争を

それがこの時代のモットーらしい

それも正気の沙汰じゃない気がするのだけれど

たぶん1世紀前の人が聞いたら

本当に怒るんだろうなぁ

なんて





そういって

僕らは 一番近い積乱雲を 左手でつかんでいた

ぼくらの終わらない戦争

ぼくらの終わらない戦争

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-07-20

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