午前零時の台所
眠れない夜。幸せに怯える。
紫煙に混ぜた
夜のため息
日付が変わる
ひとりぼっちの台所
小さな椅子の上
丸くなる 膝を抱えて
あなたが夢を見ている頃
わたしは決まってひとりになる
とろりと 冷えたウォッカ
飲み干せば
孤独が心に染みてゆく
一体 いつまで こうして
子どもじみた寂しさを
持て余すつもりなのか
乾ききった笑い声 声にならない
そしてまた 紫煙を吐いて
眠ることが怖いなんて
あなたは知らない
夢から醒めた時の
あの
絶望も
わたしは もう 大人 なんだと
言い聞かせるように
吸い込んだ 有害物質
煙が 目に染みて
眠れない夜を過ごす台所
あなたの夢を思う
踏み抜いてしまいそうな
幸せ に 怯える
もう少しだけ
あと
少しだけ
午前零時の台所