雨音 ひとり
傘があろうとなかろうと
閉じこもる ひとりの部屋
雨音と沈む ひとりの部屋
あの日の わたしの声がした
「忘れないで。」と
いつかの 誰かの声がした
「幸せかい?」と
ぺたりと座り込む
雨音
膝を抱える
痛み
わたしが手放せない わたし
いくつ歳を重ねても
いつまでも
子どもにさせる わたし
幸せ を 触ろうとすれば
ひどく
手が汚れていることに気付いて
ただ 眺めることしかできず
歩いてきた街のことを思う
傘があろうとなかろうと
閉じこもる わたしの世界
誰も居ない
誰も入れやしない わたしの世界
雨音 沈んでゆく ひとり
雨音 ひとり