愛が散らかるこの部屋で

ゆおん

嘘で塗り固めた

わたしの人生

名前も失くしたまま
夜を歩いた


部屋に帰れば

そこには

愛が散らかっていて

安心できる場所なんてなくて

毛布を被って
薄い布団の上で丸くなる



あなたの声を聞くよりずっと

簡単に手を伸ばせる
煙草に 火をつけて

寂しさが また 充満する



こんな日々を

あなたは 笑うだろうか

笑ってくれるだろうか



嘘ばかりの わたしの人生に

あなたが居るなんて


闖入者 の あなたは

籠城していたわたしを

暴力的なまでの愛で
死にそうな程の優しさで


あなたの人生へ 連れ出そうとする



本当を生きるなんて 嫌よ 怖いのよ

ほっといてよ



泣き喚いて
あなたの腕に爪をたてる



でも


わたしがこぼした涙で

嘘が少しずつ 溶けていくことも

喚いた声で ひび割れていくことも


わたしは 知っていた



知っていたの



愛が散らかる部屋で
夜が終わるのを
ただ 身を固くして待つ

身動きがとれない程

あなたが残していった
愛が散らかるこの部屋で


ひとり


ひとり


泣きそうになりながら

煙草に手を伸ばす


あなたに 会いたい と

声に出してしまわぬように


ひとり



ひとり



煙草を咥える



嘘で塗り固めた人生が

壊れていく


壊れてゆく 夜が明ける

愛が散らかるこの部屋で

愛が散らかるこの部屋で

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-24

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