殺してやろうと願うこともないがなんとなく虫唾が走る

一時間おきに窓の外を眺めると

影が長くなっていくのがわかる

そんな風景を見るたびに死にたくなっている

生きてる心地なんて常にしている

生まれてきた甲斐なんて感じたことはないけれど

朝の穏やかな坂を登りながら このまま通りかかった車が

わたしの体を引きちぎってくれればいいのに

そんな無為なこと考えて また

日常とかいう異常現象を繰り返すんだ


特に何も無い

例えばわたしの望む世界だったとして

完全なる幸せなんて手に入れることはできないんだから

幸せの価値は違うんだって

なんていって 宿題のプリントをまた涙で濡らすんだ


昔読んだ小説を 最近開いてみた

パキパキに乾燥してしまって

解読不能のページがたくさんあってさ

思わず笑っちゃうんだよ

そんなに泣きたがりだったかしら

らしくないこと考えて

ほらまた

涙はわたしの目を覆うんだ

何かみてはいけないものを隠してくれてるのかな

それならいいんだけど

そんな素直で優しいものなんかじゃねぇよな


君が化粧を覚えるより少し前の話

乾いた感情が溜まった部屋で

歌を聴いたよ

なんだか優しい気分になれた

少しだけ性格が良くなった気がした

気がしただけだったのかなぁって

君の声には特別な魅力なんてもの ないと思うんだ

だけど ちょっと心が動いたのは嘘じゃない

そんなこんなで色々あって

わたしが君を殺すまでの過程

話すと何十年夜が来ないかわかんないな

君は本当に美しい人だったよ

人間かも怪しかったけれど

ほんの少し怖いだけだったのかな


潤んだジュースを片手に 

わたしは今日も渋谷に向かうよ

嘘 渋谷なんて一度も行ったことなんてないわ

ああ 田舎者ねって

そうやって笑い飛ばして吹き飛ばして

国会議事堂って一体どこにあんのよ

泣きそびれたわ 夕方よ

愛とか未来とかお金とか

そんな欲望と欲望の塊でできているのね

わたしたち

そうねここらで 君を殺そうと思った

あまりに理由は不純だったはず

人を殺すのに理由が健全なんてことあるのかしら

願ってやまないことは一つ

わたしにわたしだけの愛をください

ちょっとだけでもいいから

余ってる人は分けてください

殺してやろうと願うこともないがなんとなく虫唾が走る

殺してやろうと願うこともないがなんとなく虫唾が走る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-08

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