4.3 (晴)
ほら、おはよう。今日も。
「おはよう」
声が聞こえた気がして
目を覚ます 春の朝
安物のカーテンは
わたしを朝陽から守ってはくれない
ひどく 身体が冷たくて
張りついた前髪を 手ではらう
「おはよう」
あぁ、また、あなたなのね
おはよう 今日も 絶望
返事をしてしまったわたしは
もう一度 眠ることを諦める
水が欲しくて 布団をはね上げる
怠い身体を 引きずるように歩く
プラスチックのマグカップ
並々と 水を注ぎながら
夢の欠片を ぼんやりと思う
なにか
なつかしく
さびしい
そんな
夢
煙草に火をつける間も
絶望はきちんと わたしのそばに居る
無駄な抵抗
知っていても
追い払うように 煙を吐いてみる
清々しく晴れた朝ほど
わたしに似合わないものはない
青い空は 雨空より ずっと
わたしに孤独を知らしめる
泣くこともできずに
ただ ただ ため息
今日という日を
わたしという人間を
持て余す 日々は続く
どこへ 行こう
どこへ 行こう
いつ ゆこう
いつ、向こうへ
空の向こうへ
いつ
ゆこう
4.3 (晴)