挟まったぬいぐるみ

この愛情を表現するには

あまりにあなたには刺激的すぎる


この桜の花びら舞う頃に

もうわたしはここにいないでしょう

それでも どうか

わたしのことを覚えていて

忘れないでいて欲しい

あなたの服の袖が短くなる頃

もうわたしはここにいないでしょう

それでも わたしのことを愛していて

離れていても もう二度と会えなくても

その気持ちを動かさないで欲しい

水面に反射して あなたのスカートが揺れるのを見たんだ

胸が苦しくて

少し過激だったかもしれない

そのスカートを切って 切り刻んで

あなたの真っ赤な血を添えて

わたしの部屋に飾っていたい

そんな一般的でない欲望ばかり


普通と一般的は同じではない

だってわたしの普通は あなたの普通とは違うんだもの

一般的なものは わたしにとっては考えられないようなことだったりするんだから

だから わたしが あなたを殺してしまっても

わたしがそれを普通のことだと言ってしまえば

もうどうにもならないんだ

それ以上もそれ以下もなくなって

わたしは罪から逃れられるのでは?

なんて そんな無為なこと


あなたの息を殺してみたいの

あなたが真っ赤に染め上げられて

もう動かなくなってしまうところを

ずっと眺めていたい

わたしはそれで興奮するよ

とても ね

特別な感情なんてないよ

でも あなたにわたしを愛して欲しい

わたしという 一般的が嫌う

最悪の人間を

あなたにとてつもなく

愛して欲しい

ただそれだけだよ

だからわたしが いなくなっても

どうか忘れないで

ただそれだけのことだよ

ただそれだけなんだ

誰に後ろ指をさされたって 問い続けるよ

何度でもね

挟まったぬいぐるみ

挟まったぬいぐるみ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-29

Copyrighted
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