片道切符
あなたたちの街へ行くのには
何時間くらいかかるの?
僕らの住むこの世では
大人の世界 子供の世界ってのがある
でも残念ながら その世界の明確な境界線なんてなくって
気づいたら みんな向こう側にいて
いつしか子供の世界のことも忘れて
二度と戻ってこれなくなってしまう
僕らはこれから あなたたちの街へ行く準備をするらしい
いつでも心は少年だって そんなおじいさんがいたとしよう
もし本当にそうだったとして
おじいさんは子供の世界の本当の住人になれるだろうか
いや きっとなれないだろう
嘘で固められた 妄想の世界だ
大人になってしまったものは
本当のことなんて見えやしないんだから
そろそろ 電車がつく
もう終わってしまうんだ
何にも込み上げてくるものなんてなくて
それでいて 平気なわけでもない
不思議な気持ち
なのにいつまでたっても電車は止まらなくて
このままどこか他の街へ連れて行ってくれないかな
なんて そんな無為なことを
記憶のないまま 僕らは
ゴミで埋もれた 見せかけの優しい社会に
溺れていた
片道切符