笑窪

全然知らない人のことを 悪く言うのは

あんまり好きじゃない

それでも世間的に 自分を守るために

思ってもないようなことを言わなきゃいけないのは 本当のこと

自分を決して曲げられないような

かっこいい人になれたらいいのだけど

そう思って 今日も嘘を吐き続ける

檸檬みたいな味がして

悲しくなってきて

ああ こんなにもちっぽけだったかしら

知らないうちに涙が溢れている

そういうときは笑うんだって

無理にでも笑うんだって

いろんな人に教わってきた

だから 目を瞑って笑ってやる

だけど悲しさなんて薄れなくて

ちょっぴり 表面上楽になった って感じ

電話が鳴ったから 涙を拭って

ベルを取ったんだ

あいつだ

__もしもし?

___ちょっと聞いてよ!あの人がまたさ…

まただよ これ

なんども同じような話

それも人の愚痴ばっかり

もっと夢のある話をしようとは思わないの?

でも こういうことを言う人は自分が嫌な奴になっていっていること

気づいてないんだろうな

かわいそうに

やっと終わったと思ったら 今度は自分なの

自分が嫌になって

また涙よ

本当にきらいだわ

笑窪

笑窪

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-19

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