正しい空気の読み取り方

目覚まし時計が いつもの音と違った

きっと ここで何かを感じるべきだったんだ

いつもと違う何かを

普通ではないってことを

でも そこから多分 

何もなかった

いつもと変わったことも普通とは並外れたことも

何もなかった

朝食を少し多めに食べて いつもの電車に乗って

学校に着いたら 友達と喋って

あれ、何が違うんだろう

やっぱり 何か少しの違和感を感じる

いつもと同じ時間 同じ人 同じ場所

全てがいつもと同じなのに

よくよく考えたら なんてつまらない生活を送っているんだろうと思った

毎日同じ時間に起きて 同じものを食べて 同じ人と話して 同じ場所に行く

なんて つまらないんだろう

違和感を感じたのは そこなんだろうか

よくわからないのは 多分僕だけじゃない

なんのストーリー性もない 僕の生活は これからも同じサイクルで

きっとずっと 続いて行くんだ

楽しくないわけじゃないけど 楽しいわけじゃないし

生きてる意味はあるのか なんてちょっとらしくないことを考えて

このことすらも もう自分じゃないような そんな気がして

そんな気がして 自分じゃない 自分じゃない

ああ そうか これは僕ではないんだ

何か違和感を感じたのはそこなのか

僕に限りなく近い人間の生活なのか

そうかもしれない きっとそうだ

昨日 いつもと違う時間に寝てしまったのはそのことだ

確信を持って僕は今日も生活まで続けていた


でも なんの疑問すらもないんだ


酸素と二酸化炭素が入れ替わったとしても


きっと人間は誰も気づかない

正しい空気の読み取り方

正しい空気の読み取り方

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-02-16

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