彼女は完璧だった
彼女は全てを持っていた
容姿 学力 才能 経済力 異性 友人 幸せ
彼女は ミスパーフェクトに一番近い人だった
そんな彼女を 周りは羨まないわけがなく
常に 近くに誰かがいて
彼女が一人でいるなんてところ 誰もみたことがなかった
つまり 彼女は完璧なのだ
一般が欲しがるもの全てを持っていたように思う
けれど 彼女は不意に思うのだ
___もしもわたしが全てが平均的だったとして みんなは今のように接してくれるのだろうか
完璧な彼女は 悩むこともなかった
こんな無為なことで 頭を捻るのは初めてのことだ
ので 彼女は全てを客観的にみて見ることにした
___何もないわたしがいたとして わたしはどのように接するのだろう
少し考えてはみたのだ
でも 無理だった
彼女は自分にも自信があった しかしここで勘違いして欲しくないのは
彼女は決して 自己中心的ではないということ
彼女ほど完璧であると 自信があるのは当たり前だと思ってほしい
___やっぱりわたしはわたしね
そう納得して もう考えるのをやめた
だけれど 彼女には 唯一憧れの人がいた
それは ごくごく普通の女の子だった
どこにでもいて 特別目立つわけでもなく
それなりの人生経験で それなりの容姿と学力
彼女は 「それなり」に憧れていたのだ
だから 彼女は時々こんなことを夢想した
___わたしが彼女だったのなら
時々 そういう 非現実的に考えてみたくなるものだ
全ての服が体に合うわけではない
全ての問題がわかるわけでもない
時々 ぴったりの服を見つけて
時々 問題に正解して
小さな幸福感を味わえるのだ
___なんて素敵なことだろう
彼女は完璧すぎるあまり 自分を見失いかけていた
___自分が 自分だけが特別にできることはなんだろう
___一つのことだけに夢中になりたい
彼女は無意識のうちに 客観的になれていたが
きっと 望むものにはほど遠いのだろう
彼女はそんな人だ
彼女は彼女だ
完璧な彼女も
普通な彼女も
きっと彼女には代わり映えしないのだろう
彼女は完璧だった