ふせん付きの命

ぼくたちは皆 バランスをとって生きているらしい


そのバランスが少しでも崩れたら 生きることが悲しくなって


生きることをやめたくなるらしい


だけど バランスの定義は 人によってちがう


例えば


好きと嫌いでバランスをとる人


やりたいとやりたくないでバランスをとる人


生きると死ぬでバランスをとる人だっている



こんな時に ぼくはまた 夢想するのだ



ああ ふせんのついた教科書のような人生だったらな


そんな人生だったらいいのにな



そうだ ふせんのついた人生なら


未来のことも過去のこともすぐにわかるんだ


こんなに素晴らしいことはないな


人生のなかで重要なポイントは全てふせんに書いてあるんだ


筋書き通りの完全が保証された人生


こんなに完璧なものはないだろう


調和と効率的な生活 考えただけでも


心が踊るようだ


そんなのおもしろくない と


声を上げるのは 狂人が勇者だけだ


浪漫に溢れた人は ここでは必要ないのだ


全ては完璧を求めるためのバランス


そう思っては いても


あんまり可哀想で笑えてくるな


完璧は素晴らしいのだ


ぼくは完璧を求めている

ふせん付きの命

ふせん付きの命

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-07

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