When the rain stops

When the rain stops


「雨が止んだら。」


そこで途絶えてしまった 君からのメール


携帯の中には君の番号とアドレスしか入っていなかったから


もう僕の携帯がなることはないんだな、って思うと


君がこの世界から消えてしまったことを心底実感する


君は雨が止んだら 何をするつもりだったんだろう


今更考えても 遅いことなんだけれど


やっぱり気になることは仕方がない


来年は一緒に桜を見に行こうって約束した


去年の春


____今年は日本全土が異常気象に見舞われるため、桜の開花は遅れると思われます。



テレビから聞こえる 角ばった無感情な声


遅れる、なんて言ったって


僕らの街は 一度も桜の蕾を咲かせることなく


春を終えた


君は 仕方がないね


なんて笑っていたけれど


すごく残念がっていた


また来年行けばいいでしょ って


僕はそんな言葉しかかけられなかった





君に 来年が保証されているわけでもないのに



だから 君は死んだんだ



何にも言わずに



最後の言葉が「雨が止んだら。」



結局いつも 君はそうだった



最後までそうだった



誰も傷つかないように 自分の中で抑え込んで



そして 何度も見えない嘘を重ねるんだ



僕は君のためならなんだってできたのに



僕に言ってくれれば すぐに何か手を打っていたのに



信用していたのは 僕だけだったのかな。



こんなこと今更



って自分に言い聞かせて



今日も 君がいない



殺風景な 桜の春を迎える



今年は満開だ とても綺麗



でも やっぱり 君がいた方が




よっぽど綺麗かな 




君がいないと 何もかもが




雨が降る前の あの嫌な雲のような感じになる




すごく悲しいね




こんなに春が綺麗なのに




こんなに待ちわびていたのに




もう一度だけ あの日の雨が降ってくれないかな___

When the rain stops

When the rain stops

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-20

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