そこに落ちてるだけ、

私が回っている太陽系に


あなたは転がっていた


この周回軌道上にこんなのは初めて


銀河を超えて何光年だろう


もう時を数えるのも忘れてしまったほど昔


言語なんていつ知ったのかも覚えていない


あなたを見つけた


あなたは燃えていた


そう 何度も見た


仲間が燃えて消えゆくのを


でもあなたはずっと燃えていた


儚く美しく舞う星とは違うみたい


消えることのない強い光


私はあなたのことが気になり始めた


でも時々あなたは見えなくなる


青くて太陽系で最も美しいと言われる惑星によって


邪魔される


私の形はとても小さいものだから


あなたたちには見えていないのかな


どうやら私は地球人からは「月」という名前を与えられているようで


宇宙に吹っ飛んできた頭の狂った地球人にいろいろなことを教わった


その時に言語も覚えたのかもしれない


そんなことをふと思い出す 真っ暗な宇宙で


ああ あなたに逢いたい


どうしても考えてしまう


触れることは絶対に許されないのに


見えてしまったら仕方がないでしょう


私は自分で動くことはできる


でも この周回軌道上からずれてしまったら


宇宙は 終わる世界が始まる


すなわち崩壊だ


太陽系の仲間にも


ああ それでも逢いたい


なんて 馬鹿げたことね


私はあともう少しで消えゆくでしょう


その時までさようなら

そこに落ちてるだけ、

そこに落ちてるだけ、

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-05

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