蟋蟀(コオロギ)
蟋蟀のように草を掻き分けて
激しく泣いた 暗闇の中で
寒さに窓が水滴を垂らすように
冷たい風に頬の涙が崩れ落ちた
精神は混沌とする 雑草のように
蟋蟀は震えて音を鳴らした
自分の背よりも高らかな草ぐさは
遠い天から僕を見下ろしていた
秋夜の風は冷たくて
僕は凍結する羽を震わすように
泣き声を漏らした 声は響く
風の音 草の揺れる音
僕の足音 砂利の削られる音
それらの中に混ざる 孤独の涙
蟋蟀(コオロギ)
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