引きずり出して

息を飲む 午前3時


もう どこにも行きたくない


このままずっと あなたの絵本の中で


目を覆う水 苦しい


目から水が ぽたぽたとこぼれ落ちる


香る窮屈な世界の匂い


終わりが来てしまうことに 少しの絶望と安心


夢はいつか終わる


花はいつか枯れる


それと同じように あなたの夢のような絵本も


最後のページが来てしまうでしょう


私にとってあなたは 苦手な人の一人でした


でもあなたの絵本はとても好き


本当に夢を見ているよう


終わらないでほしいと思う


いつもは冷たい目から溢れる水だって


すごくあったかいと思える


あなたのおかげかしら


私もいつかお返しをしたい


あなたのような夢のような贈り物


私にとりえなんてものはないけれど


歌なら


この歌を あなたとあなたの絵本へ


さぁ 夢が終わる


さようなら また明日って


笑ってさようなら


目から溢れる水を 転がっていたティッシュで拭き取って


そして時計を見たら


現実に戻れる


また私を引きずり出してくれるのね

引きずり出して

引きずり出して

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted