あめ玉の涙

これを君に

これはなに?

僕が消えてしまったら、このあめ玉をたべてあげてほしいんだ

そう、


君は僕が消えたことを知らない

だから あめ玉も 寂しそうに 笑っているよ

今もきっと 僕の代わりのあいつを見てる

僕にそっくりの ドッペルゲンガー

あいつは 僕に似て 臆病者だ アマノジャクだ

涙 なみだ きたない なみだ

そんな涙を 今日も君は 僕だと思って

拭っているんだね

僕は 消えたのに

存在だけが 形だけが なくなってしまった

どうせなら 意識も 心も 感情も

全部消し去ってしまえばよかったのに

僕なんて いなくていいんだ

僕がほかの誰かと代わっても

誰も気づきやしないんだ

僕の 敵であり救世主のあいつは 笑った

あざ笑った


「ざまぁみろ」


ってね

未だ君は気づかないんだね

そんな真っ黒の 僕の代わりに


僕があげた あめ玉は


小さく 静かに


涙を流していたんだよ


そう あれは 涙のあめ玉


ひとつたべると すべてを思い出してしまうんだ



あめ玉の涙

あめ玉の涙

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-07-31

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