習作詩集
行方知らず
吹かれ離れて舞い上がり、
水面に降りた薄桃の、
花弁漂う湖に、
流れる鳥の影ひとつ。
俄かに影は潜水し、
行方吞み込む水紋の、
光の上にしんしんと、
積もり続ける春の雪。
よい
宵の明星見つけたら、
良い日でしたと祝うため、
酔いをまわして横になり、
余韻に浸り目を閉じる。
いつかの赤
五つの鐘に急かされて、
いつか忘れる約束を、
偽りのまま交わしたら、
逸話になって色あせた。
開かなくなった箱の中、
赤いおもちゃの宝石は、
明かりを忘れ沈黙し、
証の意味を無くしてた。
習作詩集