電車を見送り夜を漂う朝に怯え

電車を見送り夜を漂う朝に怯え

何処に行こうか?此処ではないどこかへ

何処に行こうか?此処ではないどこかへ


どうしても
歩けなくなった夕方

プラットホームの喫煙所
雲と煙を眺めていた

赤いリュック
紫の百円ライター

制服の少女たち
異国の言葉

あゝ そうだ ここではなかった


どうしても
帰りたくなかった夜

甘い匂いに背を向けて
今夜くらい冷めなければいいのに

酸味に飽きてゆく

焦げついた染み
黒く滲んだラメの涙

温くなった居場所
喉の奥 ひりつく

あゝ そうか ここでもなかった


どうしても
起きたくなかった朝

街の声に責め立てられる

橙のカーテン
昨夜の残骸 散らばっている

ため息にもならない歌
シンクに沈んだ 夢のかたち

あゝ そうだ
ここではない

ここでもない

ここではなかったのだ

電車を見送り夜を漂う朝に怯え

どこにも馴染めなかったあのころ。
疎外されていると思っていたあのころ。
過去を切り貼りしたものです。

電車を見送り夜を漂う朝に怯え

どこでもなかった どこにも行けなかった どこにも居られなかった。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-23

Copyrighted
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