【会わぬ竹屋のかぐや姫】 小狐丸&乱←?蛍丸+青江&切国

ハローハロー、漆黒猫でございます。

アテンション→漆黒猫は刀剣乱舞、未プレイ民。

【『レア』の対価】
【ボクらは幸福な夢を見る】
と同じ本丸です。
そして安定の審神者出ない感。

・小狐丸が黒毛
・乱と小狐丸と山姥切国広が、義兄弟レベルの仲良しさん

以上さえ踏まえて頂けば、前作2つを未読でも問題ないかと。

蛍丸の乱ちゃんへの感情は、
『年上の女教師に憧れる学生』的なアレです。
恋愛感情というよりは、一方通行の憧憬。

この本丸の乱ちゃんは、相当精神年齢が高いようです。

『女教師』乱ちゃんと仲の良い『同僚男教師』小狐丸に嫉妬しちゃう蛍丸と、
2人の仲がソウイウンジャナイ事を、薄々察している青江さん、みたいな話。

目下、漆黒猫自身が足首の打撲で湿布のお世話になっておりまして。
「うわー、足イテェよ、小狐丸にお姫様抱っこで移動させて欲しいよ・・・!」
とか思っていたら、こんな話が精製されました。

アレ? ナンカ薄暗いナ?

皆様も、階段の踏み外しにはご留意下さいませ。

【会わぬ竹屋のかぐや姫】 小狐丸&乱←?蛍丸+青江&切国


「もっと身の丈が欲しい。」


「・・・・・・。」


 来派が誇る大太刀・蛍丸。

 真顔で呟いた少年の切なる願いに、軽傷を負った彼の世話を焼いていた長脇差はニッコリ笑顔を凍り付かせた。

 別に彼の発言が不自然なのではない。

 不自然なのは某写し打刀の、青江の背後から飛ばしてくる殺気の強さだ。

 ブラコンだよねー、ウチの総隊長殿は。


「後藤みたいな事を言うね、蛍丸。

 君はもう充分『大きい』だろう? レベルの事だよ?」


「レベルの数字がさ、大きくてもさ~・・・。

 乱をお姫様抱っこする事、出来ないじゃん?」


「あぁ、うん。まぁ、ね?」


 うわぁ、言っちゃったよ、この子。

 青江としては、迂闊に言葉が返せない。んんっ、コレは蛍丸というより、背後の総隊長殿に言葉尻を監禁されちゃうと面倒事に発展する系だ。

 蛍丸のマスカット・グリーンの大きな瞳は、出陣から足を怪我して帰ってきた乱と、彼をお姫様抱っこする小狐丸を追っていた。

 声など聞こえなくとも、遠目に眺めるだけで判る。三条の太刀ともあろう者が、粟田口の短刀相手にオロオロバタバタ、大層な案じ振りであるのが。負傷と言っても、重度の打撲だ。乱は普通に自力で歩いて帰ってきたのだが。

 軽傷で『こう』なのだ。中傷は推して知るべし、ましてや重傷など負って帰った日には、我らが大狐の怒る事、狂う事。その漆黒の毛を逆立てて時間遡行軍を根絶やしにしかねない化け狐と化す。

 ・・・ほんの時折、『あの状態』の小狐丸を本当に時間遡行軍の根城に放り込んでみたい、という衝動に駆られる青江だが。単騎でイケるんじゃないの?

 ・・・流石にやらない。命が惜しいので。うん、本当にやらないよ?


「『小狐丸が心配するから、うっかり怪我も出来ないよ(はぁと)♪』とか言っちゃう乱ちゃんとの相思相愛振りマジウザい、とか思ってない。思ってないってば。」


「誰に言い訳してるのさ。

 やっぱりどう工夫しても、120cmの俺が145cmの乱をお姫様抱っこするのって、無理があるよねぇ・・・。出来たとしても格好がつかないし。

 大太刀なのに、なんで俺はこんな小さいんだろ。」


「理由らしい理由は無いと思うよ? 霊体と本体の比率が、必ずしも一致する訳ではない。そういう例は結構あるみたいだし。

 それ以前に君、乱ちゃんに相手にされてないだろ。」


「そんなトコばっかズバッと言うなよ、青江のバカァッ!!」


 ピギャーッ!! と泣きの入った蛍丸の銀髪を、ハの字眉の青江はヨシヨシ、と撫でてやる。身の丈が合う合わぬ以前に、恋敵が『あの』大狐では。分が悪過ぎる。

 あの2人は距離が近過ぎる。

 青江は改めて、三千世界のどんな秘宝よりも大切そうに乱を姫抱きにする、小狐丸を見つめ直した。現世では終ぞ縁がなく、当然相対す機会もなかった相手だ。

 蛍丸は乱に憧れているから『そう』見えるのだろうが、青江の視界の中で、2人の関係はもっと違うモノに映っていた。

 色恋よりもなお昏く、生温く身に纏わりつく闇色の水のような気配を感じるのだ。

 その黒い水溜まりに、小狐丸は腰まで浸かり、乱が濡れないように大事に抱き上げている。乱の方でも小狐丸の身を案じ、心の臓の音を聴くように、鼓動に片耳を添え、2人ぴったりと寄り添っている。離れたくないと祈り、怯えるように。

 そしてうっかり乱の髪の一筋でも『黒い水』に触れれば、小狐丸は大慌てで更に強く抱き締めるのだ。

 少なくとも爽やかな疾走感溢れる、瑞々しい恋愛感情では無い。

 何をそんなに怖れているのか、青江には不可解で、興味すら覚える。


「青江。」


 背後からかけられたのは、静かな声音。頑なに何かを守るような。

 青江は安心させるように微笑する。


「判ってるさ、国広。

 頼りにしてるんだ。ホントだよ?」


「・・・疑ってる訳じゃない。

 ただ、踏み込まないでやって欲しい。そっとしておいてやってくれ。大丈夫だから・・・。神刀予備軍のアンタには、危うく視えるかも知れないが。」


「神刀、ね。石切丸が言ってたよ、君『は』綺麗だねって。」


「・・・綺麗とか、言うな。嬉しくもない。」


 青江を相手に伏し目がちにそう言うと、国広は蛍丸相手には強気で襟首を引き摺って、厨の方へと消えていく。


「来い、蛍丸っ! お前の目の前で、その眼と同じ色の球体をグッツグツに煮溶かしてやるっ!! 今日のおやつは『緑葡萄の砂糖煮』だっ!」


「やめてよそのシュールな言い方っ!!

 普通に『マスカットのコンポート』って言ってっ!!」


「やれやれ。

 身の丈より『お兄ちゃん』を先に攻略しないとねぇ。」


 あの時、石切丸はこう言ったのだ。

 ウチの『始まりの3人』の中で、山姥切の国広が一番『気配は』綺麗だ。だが、3人の中で一番危ういのも、彼だと思う。

 そう言っていた。

 人間観察は好きだろう? 有事の際に一番に気付くのは青江、君だろう。守ってあげてくれないか。この通り、私は機動が絶望的だからね。

 それは慧眼なのだろうと、漠然とだが青江も思う。


「にっかりの旦那、暇してるなら手を貸してくれ。重傷者は居ないが軽傷者が多い。

 旦那?」


「今行くよ、薬研。」


「ボクは大丈夫だから、降ろして、小狐丸っ!」


「ならぬっ! 足の傷は長引くのじゃ、大事にせねば後々に障るやも、」


 取り敢えず今は、見守る事しか出来ない。

 聞こえてきた痴話? 喧嘩に、青江の薄い唇が優しい微笑を纏った。




                  ―FIN―

【会わぬ竹屋のかぐや姫】 小狐丸&乱←?蛍丸+青江&切国

【会わぬ竹屋のかぐや姫】 小狐丸&乱←?蛍丸+青江&切国

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-05

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二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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