旧作(2018年完)本編TOKIの世界書四部「明し時…3」(歴史神編)

旧作(2018年完)本編TOKIの世界書四部「明し時…3」(歴史神編)

本編四部ですが一部「流れ時…」のジャパニーズ・ゴット・ウォーとリンクしています。
今回は前々からよく出てくる神物も登場中。
歴史神ナオの歴史調査はまだまだ続く……。
改ざんされた歴史を暴けるのか!?

TOKIの世界(陸の世界バージョン)
壱…陸と反転している世界
弐…夢幻の世界、霊魂の世界
参…過去
肆…未来
伍…想像が消えた世界?
陸…現世

ジャパニーズ・ゴット・ウォー一話

 鏡の世界、壱(いち)の世界とは対の世界、陸(ろく)の世界。
 太陽の頂点に立つ神、輝照姫大神(こうしょうきおおみかみ)サキは高天原四大勢力と月神トップ月姫と高天原で会議をしていた。
 長机に座布団が置いてある和風の部屋で神々が緑茶を飲みながら座っていた。
 「……珍しいもんだねぇ……。太陽の姫が会議に顔を出すなんてねぇ。いつも代理だったじゃない。」
 邪馬台国から出てきたような男が髭の生えた顎を撫でながらサキを物珍しそうに見つめた。
 「剣王、今はそんな事を言っている場合ではなかろう……。」
 緑の長い髪を持つ端正な顔立ちをしている男が呆れた顔で髭の生えた男を見つめた。髭が生えた男は緑の髪の男に剣王と呼ばれていた。
 彼は高天原西を統括している武の神、タケミカヅチ神である。通称西の剣王。
緑の髪の男は高天原南内にあるレジャー施設竜宮城のオーナーである天津彦根神(あまつひこねのかみ)である。龍神で人型になるのが苦手らしく、顔のあちらこちらに鱗があり、頭には龍についているようなツノが二本生えていた。
 「うるさいYO!さっさと話を始めろYO!」
 その竜宮城のオーナー天津彦根神の隣にいた赤い髪にサングラスをかけた少女が机をバンっと叩いた。少女はカラフルな帽子と赤い着物を纏っていた。それにサングラスなのでなんだか奇抜なファッションだ。
 「ワイズの言った通りですわ。剣王、めんどくさいお話はやめましょう。」
 剣王の隣に座っていた白拍子の格好をしている美しい女がため息交じりに置いてある緑茶を飲んだ。その女は赤い髪の少女をワイズと呼んでいた。
 この赤い髪の少女は高天原東を統括している思兼神(おもいかねのかみ)である。本来はお年寄りの姿なのだがなぜだか幼女である。通称、東のワイズ。
 そしてその赤い髪の少女をワイズと呼んだ白拍子の女は月のトップ、月姫である。
 月姫はピンク色の長い髪を払い、サキに目を向けた。
 太陽のトップ、サキは完全にまいった顔で月姫を一瞥して口を開いた。
 「……えっと……冷林はどうしたんだい?」
 「冷林……ああ、あれは何してんだろうねぇ?取り込み中なんじゃなーい?」
 サキの言葉に剣王はてきとうに答えた。
 冷林とは高天原北を統括している縁神(えにしのかみ)である。通称は北の冷林。今は何かあったのか会議を欠席しているようだ。
 「あいつの事はいいYO!それよかさっさと話を始めるんだNE!」
 赤髪の少女ワイズは腕を組んで鼻息荒く声を上げた。
 「わ、わかったよ。実は……太陽で歴史神ナオって女の子が暴れてね……。なんだか片っ端から歴史を見ているようなそんな感じだったんだよ……。時神を太陽神に勝手に変えちゃった罪もあるんだけど、それ以上に太陽で暴れた罪のが重いよ……。あたしは疲れた……もう。」
 サキはとりあえず、太陽であった事を事細かく話した。話を聞いている内に剣王とワイズの表情がだんだんと険しくなっていた。だがサキは特に深入りするわけでもなく、淡々と状況を説明していった。彼らは何か秘密を持っているようだが普通のやり方で話しても絶対に話さない。だから今はとりあえず流す事に決めた。
 「……という事だい。一応、報告しておいたよ。ちなみに太陽は無事だった。それと他の太陽神達も言ってたけどまったく身に覚えのない記憶が頭に流れたって言っているんだ。アマテラス大神の記憶なのでは……と。」
 「……それは輝照姫が気にすることはない。あんたは暁の宮でゆっくり休んでいるといいよ。こっからはそれがし達がちょこっと動くからさ。」
 剣王はサキに何かを隠した笑みを向けた。サキは訝しげに剣王を見たがこの神はどうせ問いただしても何も話さない。サキは尋ねる事なく流した。
 「じゃ、私もちょっと動く事にするYO。霊史直神(れいしなおのかみ)は確か、西の所属だNE。お前の管轄だYO。だが今回は私も協力してやるYO。」
 ワイズはお茶を飲み干すと剣王を睨みつけ、そのまま外へと出て行った。
 「まあ、確かにこれはそこそこまずいねぇ……。ワイズ、今、鶴の手配をするからちょっと待つといいよ。」
 ここは剣王の居城のようだ。剣王は慌てて鶴の手配を始めた。
 「お前達が何かをするというのなら私は大人しくしていよう。輝照姫……この件は奴らに任せろ。今は暁の宮を立て直す事だけを考えるのだ。」
 龍神、天津(あまつ)はサキを心配そうに見ると静かに立ち上がった。
 「まあ、今は何もできないけどね。あたしは……。」
 サキも立ち上がった。
 「わたくしも少し警戒しておきますわ。そのナオって歴史神の事を……。」
 月姫も何かを考えるそぶりのまま部屋を後にした。
 「……。皆、何かしらナオについて思い当たる節があるのかね……。あたしにはさっぱりだよ……。」
 最後まで残っていたサキは不安げな顔で障子戸から見える太陽を眺めた。
 

二話

 あれからしばらく経った。この二カ月間くらいの間、奇跡なのかなんなのかわからないがナオ達は居場所を特定されなかった。
 ナオの体力も元に戻り、今は歴史の確認として巻物を読んでいる。栄次とムスビにも特に変わりはなく、部屋にいた。
 「……私達の所属、西の剣王、タケミカヅチ神にもおそらくなんらかの歴史が隠されていると思われます。イドさんの前にタケミカヅチ神のが接触しやすいのでそちらから……。」
 「ダメだよ!何馬鹿な事言ってんの!」
 ナオの提案を興奮気味にバッサリ切ったのは青い短い髪の男、ムスビだった。
 「ムスビ……ですが……。」
 「ですがもヘチマもないよ!今、どういう状態かわかってんのかよ!」
 ムスビはナオに対し声を荒げた。
 ナオはビクッと肩を震わせて縮こまった。
 「あ……ご、ごめん。でもさ、そりゃあ無茶だってば。」
 ナオの反応を見てムスビは慌てて声音を優しくした。
 「……無茶であることは重々承知です。剣王はよく考えれば謎が多いのです。そしてワイズも……。この二方とはいずれ出会って歴史の確認をしなければなりません。ならば、先に済ませて高天原南に身を隠すのが良い策なのではと思いました。」
 ナオの言葉にムスビは盛大にため息をついた。
 「……はあ……。策って言っているけどさー……全然策になってねぇから……。剣王から逃げ切る自信なんて正直ないよ……俺。」
 「同感だ。」
ムスビの声と被るように店先から声が聞こえた。声が聞こえたと思ったら障子戸から男がひょっこり顔を出した。
 「ああ、栄次。……あんたがそう思うんじゃあ俺なんて絶対無理だよ。」
 ムスビは総髪の男、栄次にため息交じりに答えた。栄次は着物を揺らしながら部屋に入って来、ムスビの横に座った。
 「ですが何とかして彼らの歴史を覗かなければなりません……。太陽ですらあれだけの歴史を隠し持っていたのですから、長くこの世界に居座っている彼らはもっと隠し事をしているはずです。」
 ナオは巻物に目を落としながら小さくつぶやいた。
 「ワイズと剣王の元の歴史はどんな感じなの?巻物で見れるんでしょ。」
 ムスビがそこらに散らばっている巻物を振りながらナオに尋ねた。
 「思兼神、ワイズとタケミカヅチ神、剣王の歴史は表だと特に不思議はありませんでした。」
 ナオは唸りながら読んでいた巻物を元の場所に戻した。
 「今、読んでいたのは……誰のを読んでいたの?」
 「……イドさんの歴史です。彼にも謎が含まれていました。しかし、この巻物には書かれておりません。少し前にイドさんに接触した時に見えたスサノオ尊についての記述を探したのですが抹消されているのかありませんでした。」
 「そうなのか……。じゃあ、最初はあの龍神から調べた方がいいんじゃないか?」
 「彼はおそらく東のワイズの元にいらっしゃると思われます。つまり、どちらにしても高天原へ行かなければ何も解決しないのです。」
 ナオは腕を組んで一息ついた。
 ここから一歩も外に出ていないナオはこのままではいけないと思っていた。
 ……行動を起こさないと先に進めません……。
 ナオが高天原へ行く事を再び提案しようとした刹那、栄次が勢いよく立ち上がった。
 「ん?どうした?栄次。」
 ムスビが栄次を不思議そうに見つめた。栄次は刀に手をかけたまま、辺りの様子を窺っている。
 「敵襲ですか……?」
 ナオも不安げな顔で栄次を見上げた。
 「……何かの気配を感じるぞ……。」
 栄次がちいさくつぶやいた。
 「……見つかってしまったのでしょうか……。」
 「……わからない。俺が少し様子を見て来よう。」
 栄次が静かにナオに答えると外の様子を見に部屋を出て行った。
 「お気をつけて……。」
 ナオの言葉に栄次は軽く頷くと足を進めた。小さな窓がついているドアからそっと外の様子を窺う。
 「……!」
 店の目の前の道路を茶髪の少女アヤと狐耳の男、ミノさんが走り抜けた。その後を銀髪の男イドさんと黒髪の幼女ヒメちゃんが通り過ぎて行った。
 「……っ!」
 栄次が驚いているとすぐに男の声が響いた。
 「待つのである!高天原へはいかせぬ!」
 アヤ達を追うように導きの神である天狗が叫びながら駆け抜けた。
 「……天狗……導きの神か。道を正す神があいつらを呼び止めているのならばあいつらは止まるべきだ……。理由はわからないがあいつらは強引に高天原へ入るつもりか……。」
 栄次は一人つぶやくとナオ達がいる部屋へと戻った。
 「で……どうだった?」
 ムスビが困惑した顔で栄次を見つめた。
 「……。理由はわからんが、時神アヤと狐耳と歴史神とイドの龍神が高天原へ行こうとしているようだ。それを天狗が追っていた。」
 栄次の言葉でムスビとナオは驚いた。
 「え……?どうしてアヤさんが……。」
 「知らん。だが、俺達も高天原へ入る機会かもしれぬ。アヤ達はまだ高天原へ入れる神格はない。故に他の神も彼らを追い出そうとするだろう。その混乱に紛れ込めば俺達は大して目立たないはずだ。」
 「そ、そうですね。こういう方法は好きではありませんがアヤさん達を餌にさせていただきましょう。何がしたくて高天原へ入りたいのかわかりませんが……向こうにも向こうの目標があるのでしょう……。」
 栄次にナオは大きく頷いた。
 「ナオさーん……。俺は不安だけどナオさんは一回決めたら突き進んじゃうからなあ。言っても聞かないし。無茶はしないと約束できたらついてってあげるよ。」
 「無茶はしません。」
 ナオはムスビにほぼ即答した。
 「絶対嘘だろ!……まあ、とにかく、突発的に動かないでね。」
 ムスビの言葉にナオは小さく頷いた。
 「……で?どうするのだ?俺達も高天原へ行くのか?」
 「はい。鶴を使って高天原ゲートまで行きましょう。鶴で行った方が捕まりにくいでしょうから。」
 栄次の問いかけにナオははっきりと言い放った。
 「ちょ、ちょっと待って!ナオさん。俺達は西の管轄だから西行きゲートのチケットは持っているけど、ゲートについている身分認証の機械とかで色々とバレちゃうんじゃないか?」
 ムスビが青い顔でナオを止めたがナオはムスビに自信満々な顔を向けた。
 「問題ありません。私達(神々)の歴史を改ざんして機械を狂わせてしまえばいいのですよ。もちろん、布などで顔を覆って誰だかわからなくして門番を欺くのも大事です。」
 「それけっこうな犯罪だよね……。まず、歴史の改ざんなんてできるの?」
 ムスビの問いかけにナオは険しい顔で小さく頷いた。
 「改ざんというよりも他の神になりきると言った方が正しいでしょう。他の神の歴史をかぶるような雰囲気です。とりあえず、護送用の鶴を呼びますね。」
 「ま、まあ、何か策があるならいいんだけど……。」
 戸惑うムスビをよそにナオは素早く鶴を呼んだ。

三話

 鶴はすぐに来た。人型をとっているツルは白い着物に黒い袴のきれいな顔立ちの男性だった。通常、人型状態の鶴をツルとカタカナで呼び、動物形態の鶴は普通に鶴と呼ぶ。
ツルは堂々とナオ達がいる店に入り込み、平然と声をかけてきた。
 「よよい。何かお呼びかよい!」
 端正な顔立ちに似合わない言葉使いでツルはナオ達を見ていた。鶴は神々の使い、どの神の元へも呼べば来る。しかし、何を考えているかわからないため非常に扱いにくい。
 今回の件でナオ達は追われている身なのだがツルは平然としている。他の神々から隠れて何かしらの命令を受けている可能性もある。
 少し警戒したナオはツルに一言言った。
 「ツル、私達の情報について他の神に漏らさない事、それから私達を高天原へ連れて行ったら私達の事をきれいさっぱり忘れる事。」
 「了解しましたよい!」
 鶴の一言を聞いたナオはほっと胸を撫でおろした。ここでナオ達を連行しようとする命令が先にツルに入っていたらツルは『命令に矛盾が生じている』と言うだろう。そして先に入った命令の方を優先させるはずだ。
 素直に頷いたのならばこのツルには他に命令は入っていないという事だ。
 「では、このまま高天原ゲートまで私達を連れて行ってください。」
 「了解しましたよい!外に駕籠を用意してあるよい!」
 ツルはナオの言葉に笑顔で対応すると外へと出て行った。ナオとムスビと栄次はお互いの顔を見合うと小さく頷いた。
 外は太陽が眩しく、セミが姦しく鳴いていた。現在は夏真っ盛りである。
 時折過ぎる風も生暖かく、あまりの暑さに誰ひとりとして道を歩いていない。空は抜けるような青空だが今現在はそれを喜べない。
 「あっつ……。」
 ムスビがだらけた顔で汗を拭った。
 「しっかりしてください……。あの駕籠に乗りますよ。」
 ナオは店の目の前に置いてあったボックス状の駕籠を指差した。
 「ナオさん、顔を隠すのとかどうする?」
 「それは……。」
 「駕籠の中にあったぞ。」
 ナオの声を遮り、栄次が駕籠を覗きながら答えた。
 「そうです。先程、深く被れるフードを三つほどツルに頼んでおきました。」
 「……さすが……。」
 駕籠の中へと入って行ったナオを見つつ、ムスビは呆れた声を上げた。その後、ナオに続き駕籠の中へと入って行った。
 駕籠の中は電車のボックス席のようになっていた。片方にナオが座り、その向かいの席に栄次とムスビが座る。中は霊的空間となっているため、外よりかは涼しかった。
 「さて、では高天原へ行くよい!」
 ツルの掛け声が聞こえたと思ったら駕籠はもう空へ舞っていた。鶴は人型のツルの他、人型をとっていない鶴が三羽ほど一緒に駕籠を引いていた。
 「みなさん、今のうちにフードを身につけましょう。」
 ナオの一言で栄次とムスビは慌ててフード付きマントを被った。
 「これで本当にバレないの?もうナオさんにかかってんだからな……。」
 ムスビは青い顔でナオを見据えていたがナオは自信満々に大きく頷いた。


 高天原へはあっという間についた。鶴が引いている駕籠が地面についたのを確認したナオ達は降りる前に外の様子を確認した。駕籠についていた小窓からそっと外を覗いてみる。
 目の前に大きなゲートがありそのゲートの近くに銀色の鎧を着た神が重々しく立っていた。そのガードマンであろう神々の横には身分認証の機械が設置してあった。
 ゲートにはマジックミラーが置いてあり、そのマジックミラーに高天原東西南北のチケットの内どれかを提示すると提示した場所がマジックミラーに映り、そのマジックミラーに入り込むと提示したチケットの方面へと行く事ができる。
 「……あ……アヤさんが……。」
 ナオはゲート付近にいるアヤ達を見つけた。アヤの他にミノさんとイドさんとヒメさんが一緒にいた。一体、どのような経路で彼らが出会ったのかはわからないが高天原の東西南北の内、どこかに行きたいらしい。
 「とりあえず、外に出ようか。」
 ムスビがそっとナオにささやき、ナオも小さく頷くと駕籠から外へ出た。
 ゲート付近には高天原へ入る神々が順番待ちをしていた。アヤ達もナオ達同様に頭巾をかぶっており、これから不法侵入しようとしていた。
 アヤ達がゲート前の身分証明機にかけられた。緑の電子数字がアヤ達のまわりを周り情報の解析を行っている。イドさんとヒメさんは緑の電子数字で通過可能。しかし、高天原へ入る神格のないアヤとミノさんは認証に思い切り引っかかった。
 赤い電子数字に変わり、ブザーが鳴る。
 刹那、アヤとミノさんは臆することなくイドさん、ヒメさんを連れて素早くマジックミラーへと飛び込んでいった。
 銀の鎧を着ている神々はアヤ達の行動が突然だったため、止められずただ焦っていた。
 「アヤさん……やりますね。身分認証に引っかかるとわかっていたから初めから強行突破するつもりだったんですね。私達もこれに乗じて乗り込みましょう!」
 ナオは戸惑う神々をすり抜けてゲートに向かって走った。
 「え?ちょっと!ナオさんも強行突破する気なの?さっきの計画はどうしたんだ!っち……栄次、行くぞ。」
 「はあ……わかった。」
 焦って追いかけるムスビにため息交じりに栄次は答えた。
 銀の鎧を着ている神々がアヤ達が高天原のどこへ入ったか調べていた。高天原の四大勢力に連絡を取っているガードマンもいた。
 ゲートは今、がら空きの状態だ。ナオは走りつつ懐から高天原西に行くチケットを取り出した。そのままマジックミラーにかざす。
 ガードマンの一神がナオ達に気が付き、慌てて近づいてきた。
 「……早く来てください!」
 ナオはムスビと栄次に叫ぶと素早くマジックミラーの中に入り込んでいった。
 「おーい!先行くなってば!」
 ムスビと栄次もガードマンがアクションを起こす前にマジックミラー内に勢いよく飛び込んだ。
 銀の鎧を着たガードマン達はまたも突然の事に茫然とその場に立ち尽くした。


 ナオ達はほとんど相手に姿を見られることなく高天原に入り込んだ。ナオが持っていたのは西のチケットなのでここは高天原西である。
 辺りは和風民家が連なっていた。少し離れたところに天守閣が見える。その天守閣は西のトップであるタケミカヅチ神がいる居城だ。全体的に日本の歴史を感じられる雰囲気だった。
 「……ムスビ、栄次……ついてきていますか?」
 「いるよ……。まったく。」
 ムスビと栄次を不安げな顔で探していたナオにムスビがため息交じりに声をかけた。
 「まあ、結果的には顔を見られずに入れたな。」
 栄次は頭を抱えながらナオとムスビの前に現れた。
 「良かったです。栄次もムスビも無事でした……。」
 「無茶すんなって言ったのに……。計画丸無視かよ……。」
 心配そうな顔で二神を見るナオにムスビは気の抜けた顔でへなへなとその場に崩れた。
 「おい。しっかりしろ。これからだぞ。ムスビ。」
 「ああ、わーってるって。ちょっと休ませて……。」
 呆れた栄次の声を聞き流しながらムスビは大きく安堵のため息を漏らした。
 「ところで……アヤさん達はどちらに向かわれたのでしょうか?」
 「この近辺にいないところからすると西ではないな。」
 ナオの言葉に栄次は辺りを見回しながら答えた。
 「彼らは何をしようとしているのでしょうか?」
 「知らんが神々について調べたいと言っていたように記憶しているぞ。……まあ、今は考えずに俺達の事をやろう。」
 「そう……ですね。」
 栄次の言葉にナオは大きく頷いた。その後、座り込んでしまっているムスビを立たせた。
 「ムスビ、そろそろ行きましょう。ここに留まっていてはすぐに捕まってしまいます。」
 「う、うん……わかっているよ。ナオさん。」
 ムスビは再び大きなため息をつくとゆっくりと立ち上がった。三神はとりあえず、隠れられる場所の確保とタケミカヅチ神、剣王の居城方面へと足を進めていった。

四話

 ナオ達は被り物を被り、顔を隠しながら徐々に剣王の城へ歩みを進めた。
 「このまま剣王の居城に入り込んだらすぐに見つかってお縄だよ……?ナオさん。武の神々が多い西だと気で誰かわかるんだとさ。これ被っても意味ないんじゃね?」
 ムスビはフードを指で触りながらナオに不安げな顔を向けた。
 「意味はありませんね。ですが、隠れるところが見つからない以上、最低限の見つからない努力がいると思います。」
 ナオは光の入った瞳でまっすぐムスビを見つめていた。
 「はあ……ナオさん、隠れる気なくそのまま剣王の所に入り込む気だろ。俺達は一応、剣王の元にいる神だから、ほんと、すぐ気づかれるよ。入ったらすぐにバレるってば。」
 「とりあえず、行ってみましょう。」
 「でたよ……。なあ、栄次。」
 ムスビは呆れた顔を栄次に向けた。
 「……断言するが……俺は剣王には絶対に勝てんぞ。俺は剣術がわりとできるほうなだけであって武神ではないからな。」
 栄次は冷静に頷いていた。
 「俺とナオさんの方がなおさら勝てないよ!」
 「もし本当に逃げ場がなくなってしまったら私は話し合いの場を設けていただけるよう剣王と交渉してみます。」
 ナオはフードを被りなおすと再びしっかりとした足取りで歩き始めた。
 「剣王と交渉だって?んなもん通じるわけないってば……。」
 「……大丈夫です。あの神も何かを隠し持っているはずです。その何かは私が握っているように思うのです。」
 ナオの言葉にムスビは首を傾げた。
 「それはナオさんの勝手な妄想でしょ……。」
 ムスビはため息をつきながらナオの横を歩いた。
 「いえ……確信です。絶対に暴いて見せます。」
 「な、ナオさん~……。」
 「無理せんようにな。」
 ナオの意気込みとムスビのため息を聞きながら栄次は小さく答えた。
 三神は剣王への居城へと足を速め、剣王の城が間近に見える部分までやってきた。
 「……おかしいですね。周りの民家に住む神々に出会いませんでした。道が恐ろしいくらいに静かです。」
 ナオは誰とも会わなかった事を警戒していた。
 「思いっきりな罠か、アヤ達の混乱に手一杯で西の神々がいないのかわかんないけど静かなもんだね。」
 ムスビも目の前にそびえる立派な天守閣を見上げた。
 「アヤさん達が高天原へ入った事に剣王はそこまで本気になるでしょうか?」
 「えーと、ずーっとさ、気になってたんだけど、アヤはヒメちゃんを連れていたんだろ?ヒメちゃんは剣王の側近だぞ。たしか。」
 ムスビは民家に隠れつつナオに言った。
 「そうなのですか?」
 「ナオさん……なんでそういうところが抜けているんだ?」
 ムスビはナオのひらめいた顔を見てため息をついた。
 「……なるほどな。側近か。その側近がアヤ側について何をしているのかわからんが剣王達、西の武神達が何かしらで動いている可能性はあるな。」
 栄次は武神達の気を探っていた。しかし、特に気配は感じなかった。
 「栄次、まさか城に誰もいないって事はないよね?」
 ムスビの質問に栄次は首を傾げた。
 「……わからん。気はまったく感じられない。だが、気配を消せるのならば近くにもうすでにいるかもしれない。」
 「おい……。頼むぜ。あんたがいないと俺達ほんと、何にもわからないんだから!」
 「すぐに対応する努力はする。」
 戸惑うムスビに栄次は静かに一言言った。
 「とりあえず、城の中に入ってみましょう。」
 ナオは栄次とムスビをちらりと見ると息を大きく吐いて城内部へと足を進めた。
 「ああ……ナオさん!待ってよ。」
 「はあ。」
 さっさと歩き始めたナオにムスビと栄次は慌てて追いかけた。
 三神は城門をするりと通り抜け、警備すらいない城内に入り込んだ。
 城内も不気味なほど静かだった。
 「誰もいらっしゃらないのでしょうか?いつも剣王の居城にはたくさんの武神が遊びにきているはずです。」
 「遊びにって……仕事でしょ……。」
 ナオのボケにムスビが素早く突っ込みを入れた。
 「……誰の気も感じないが空気が張り詰めているように思うぞ。」
 栄次の言葉でムスビとナオの顔が青くなった。
 「空気が張り詰めているってなんだかいやな予感がしますね。」
 ナオは何も隠れるところのない廊下から辺りを見回したが神の影すらも見つけられなかった。両脇にある障子戸はすべて開け放たれている。和風全開の畳の部屋もすべてよく見えた。
 「な、ナオさん、やっぱり罠だよ。戻った方がよくない?」
 ムスビは完全に怯えており、体を震わせていた。
 「……いいえ。もう後戻りはできません。剣王にお会いできましたらこの巻物で……。」
 ナオは手からタケミカヅチ神の歴史が記されている巻物を出現させた。
 「その前に捕まっちまうよ。」
 ムスビはため息交じりにナオにつぶやいた。
 「ナオ、逃げる経路とかは考えているのか?」
 栄次は困惑した顔でナオを見ていた。栄次もどこか落ち着かない雰囲気だった。
 「……はい。高天原産のワープ装置、この腕輪を使って素早くワープします。高天原内でしたらワープが可能です。」
 ナオは着物で隠れていた右手首をさらしてムスビ達に見せた。右手首には銀色の腕輪が光っていた。
 「おお。ちゃんと考えてたんだね。しかし、いつの間にそんなもんを……。」
 ムスビが声を発した時、ちょうど階段にたどり着いた。ナオは階段を上りながらムスビに答える。
 「追われている時期ではなかった時に高天原で買いました。」
 「な、なるほど……使い方とか大丈夫なの?」
 「ええ。おそらく。」
 階段を上り終えたナオ達はまた部屋が続く廊下へと足を踏み出した。
 刹那、栄次が左腰に差している刀に手をかけた。それを見たムスビとナオは顔を引き締めて辺りを窺った。
 「……。」
 しばらくその場に立ち止まっていると前方から西の権力者、剣王が頭を抱えつつこちらに向かってきていた。
 「うぅわっ!心の準備ができてないのにいきなり現れた!」
 ムスビが戸惑いと不安げな顔でナオと栄次を見た。ナオも栄次もあまりの神力にまったく動くことができず、ただ、頬から汗がつたっていた。
 余裕のない三神とは裏腹に剣王は飄々と声をかけてきた。
 「ふーん。ずいぶん遅れてアクションを起こしたんだねぇ……。いずれ来るだろうと思っていたから放置してたんだけど、この立て込んでいる時期に来るとはさすがだなあ。」
 「かっ……体が動かない……。」
 ナオ達はまるで体が鉄になってしまったかのように動けなくなっていた。
 「そりゃあねぇ。逃がすわけにはいかないし。今現在、西の神々はほとんど仕事でいなくてねぇ。あいにく、それがし一神なんだよ。」
 剣王は笑みを浮かべつつ、ナオ達のそばまでやってきた。
 「……っ!」
 「おっと。」
 ナオが剣王に向けて巻物を飛ばそうと試みたがすぐに剣王に腕を取られてしまった。
 「……栄次!」
 ナオは栄次に向かい叫んだ。栄次は動かない体を無理に動かし、剣王に斬りかかった。
 「まったく、元気だねぇ。」
 剣王はナオを片手で乱暴に投げ捨てると栄次の剣技を軽やかにかわし、距離を取った。
 ナオは思い切り太い幹の柱にぶつかり小さく呻いた。
 「ナオさん!」
 ムスビが慌ててナオの元へと近づき、苦しそうに咳こむナオを優しく抱き起した。
 栄次は刀を剣王に向かって構え、出方を窺っていた。
 「全員ここで捕まってもらうよ。ああ、あんたらがしたことはだいたいわかっている。時神過去神のみ罪はなく、霊史直神(れいしなおのかみ)、暦結神(こよみむすびのかみ)のみ罰するわけだ。あんたらはそれがしの管轄だが武神ではない。歴史神故、武神のルールでは裁かない。」
 剣王はどうしようか迷っている雰囲気でナオとムスビを見ていた。
 「け、剣王のルールとは弐の世界(夢幻、霊魂の世界)であなたと戦い、勝てば無罪というシステムの事ですか?」
 ナオは剣王の様子を窺いつつ尋ねた。
 「そうそう。でも、あんたらは歴史神だ。このルールを採用すると君達に死刑を宣告しているのと同じになっちゃうからねぇ。まあ、武神相手でも負けた事ないから基本死刑だけど。この罰を採用する事はほとんどないけど、まれに狂気に染まる武神とかもいるからそういうのが出た時だけにやる事あるよ。罰に関しては後で決めるとしてさっさと捕まってくれないかなあ。神が世界を乱すようなことをしちゃダメでしょ。」
 「簡単に捕まるわけにはいきません。」
 ナオが剣王に向かい素早く巻物を投げた。刹那、剣王は巻物を素早く避け、一瞬でナオ達との距離を詰めた。
 「……っ!」
 栄次が慌てて応戦体制をとるが、剣王は栄次の剣技を再び軽々と避けた。
 必死にナオを庇うムスビを剣王は躊躇なく蹴り飛ばした。
 「うぐっ……。」
 剣王の重たい蹴りはムスビの腹に入り、前のめりに倒れるムスビの背に肘打ちを食らわせた。ムスビは立っている事ができず、その場に倒れた。剣王はうつぶせに倒れているムスビを足で踏みつけるとナオを睨みつけた。
 「むっ……ムスビ!」
 ナオは怯えた表情で剣王を見上げた。
 「っち……。」
 栄次が剣王に向かい再び刀を振りかぶる。剣王は手から剣を出現させると軽く凪いだ。
 刹那、突風のような風が吹き、栄次は勢いよく遠くに飛ばされ、壁に激突した。
 「……っぐ……か、かまいたち……か?」
 風圧を受けただけなのだが栄次の肩先から血が流れ出ていた。
 栄次を遠ざけた剣王は再びナオに向き直る。
 「さあて。逃げないようにちょっと気を失ってもらうよ。」
 「……そうはいきません!」
 ナオは先程投げた巻物をまた手に呼び戻し、剣王に投げつけようとした。
 「おっと。そうはいかないよ。」
 剣王は剣の柄でナオのみぞおちを強く突いた。
 「あうっ……。」
 「……落ちなかったか。」
 ナオは飛びそうになる意識を必死で元に戻した。
 剣王はムスビを神力で動けなくするとナオに顔を近づけた。
 「君はそれがしらの歴史を知らない方がいい。知ってもいい事はない。それと、今なら罪は軽くて済むぞ。優しい優しい太陽神の頭が君を許してくれるみたいだからねぇ。」
 剣王はナオの顎をクイッと上げた。
 「……あなたが隠し持っている歴史を見せなさい……。」
 ナオは再び巻物を呼び戻す。
 「聞き分けがない子だねぇ。その腕、折っちゃった方がいいかなあ?……それがしはわりと女に容赦はないんでね……。」
 「……っ。」
 剣王の底冷えする声にナオはガタガタと震え上がった。
 「腕、折られたくないでしょ?それがしも女の子の叫び声は聞きたくないんだよねぇ。今、大人しくそれがしに従うならば許してあげる。……逆らうなら……。」
 剣王が最後まで言い終わる前に栄次が刀を振りかぶり、剣王に向かい振り下ろした。
 「……君も、なかなかいいセンスしているけどもっと精進した方がいいねぇ。」
 剣王は栄次の剣技を再び軽く避けた。ナオはその隙に呼び戻した巻物を剣王に向かい投げた。剣王は剣技に気を取られナオが投げた巻物を避ける判断が遅れた。
 「……あれ?……油断したねぇ……。」
 剣王が舌打ちした刹那、真っ白い光が辺りを覆った。
 

五話

 ……私らも選択を迫られたか。
 歳のいった男の声がする。ナオがじっと聞き耳を立てていると突然、白いひげの生えた老人と今となんら変わりない剣王が現れた。
 「……で?君はどうするの?思兼神(おもいかねのかみ)。」
 剣王は隣にいた老人を思兼神と呼ぶとクスクスとほほ笑んだ。
 「タケミカヅチ、お前はどうするのだ?」
 思兼神の質問に剣王は頭をかきながら唸った。
 「うーん。それがしは……ほら、向こうに行っても守るものがないからさ。おまけに存在を否定されちゃうっていうしねぇ。こちらの世界ならばそれがしも他の武神も武神として存在できるからそれがしはこっちに残るよ。アマテラスは向こうに行っちゃったみたいだけどねぇ。」
 「……そうか。私も向こうでは需要がないのでこちらに残ろうかな。」
 剣王の答えを聞いた思兼神は気難しい顔で腕を組んだ。
 「決まった?」
 結論が出た二神の前にいつ現れたのかツインテールの幼女がいた。
 「ああ、決まった。それがしも彼もこっちに残るよ。」
 剣王の言葉にツインテールの幼女はにこりとほほ笑んだ。
 「そう。じゃあこっちをよろしくね。」
 ツインテールの幼女が去って行こうとした時、思兼神が慌てて声をかけた。
 「ま、待ちなさい。君は何者なんだ?向こうの世界とこちらの世界の境界部分をなぜ知っている?」
 思兼神が尋ねると幼女はその場に立ち止まり振り返った。
 「……私はK。私の他にもKは沢山いるよ。私達、Kは第二次世界大戦で壊れてしまった世界からただひたすらに平和を願う存在。平和を願う少女達の心そのもの。同じ時期に平和を祈った少女達の感情が数字化されてプログラムになったのが私達、K。平和を願う人々、動物達、それから神々の感情が数字化されデータとなって世界を改変してしまったのが今の世界。……神々がいるこっちの世界が夢の世界なのか……それとも神々が消滅してしまった向こうの世界、伍(ご)の世界が夢なのか、私達もわからない。だから別にどちらが正しいとは言えないよ。ただし、向こうの世界(伍の世界)は神々をまったく信じていない世界だから、あなた達が向こうに行ったら向こうの人間の感情エネルギー、神はいないというプログラムが作動して消えてしまうかもしれない。」
 Kと名乗ったツインテールの幼女はある程度丁寧に説明した。
 「そうか。それで君はこちらに残るか向こうへ行くかの選択を私達に向けているんだな。」
 思兼神の言葉にKは小さく頷いた。
 「非常に興味深い。君達、Kが持っている知識や感情を私にも分けてくれないか?」
 思兼神は興奮気味にKに詰め寄った。思兼神は人間の知恵を集めた神。人間の感情、知識はすぐに取り入れようとするようだ。
 「平和を常に願っている少女達の心と知識がほしいの?……別にいいけど私達を中に入れたらあなた自身のシステムの改変が行われてしまうかもしれないよ?あなたというデータを上書きして新しいあなたが生まれるかもしれない。それでもいい?」
 Kの少女はあどけない顔で思兼神を見上げていた。特に隠すわけでもないらしい。
 「構わない。知識としてもらっておきたい。」
 思兼神は薄くほほ笑んだ。
 Kの少女は「わかったよ。」と一言言うと思兼神の手をそっと取った。
 「じゃあ、私が持っているデータを渡すよ。」
 Kの少女はそっと目を閉じた。Kの少女が目を閉じた時、緑の電子数字が思兼神を回った。沢山の数字が思兼神のまわりをまわる。
 徐々に電子数字が速くまわりはじめ、それと同時に思兼神は足からゆっくりと消えていった。
 「……ふん、神々がデータでできていると言うのは本当のようだねぇ。」
 剣王が消えゆく思兼神を珍しいものを見るように眺めていた。
 「そのようだ。」
 思兼神は自分が消えているというのに能天気に笑っていた。
 しばらくして思兼神が完全に消えてしまうとKの少女はすっと目を開けた。
 「オッケー。」
 「オッケーって彼、いなくなっちゃったけど?」
 Kの少女に剣王はクスクスと笑っていた。
 「大丈夫だよ。……ほら。」
 Kの少女は剣王に前を見るように促した。目の前で再び電子数字が回り始めた。
 すると、思兼神が消えたあたりから外見が全く違う神が現れた。
 「……ん!」
 剣王は目を丸くして驚いていた。剣王の目の前にいたのは赤い髪の少女だった。袴に羽織姿だった。
 「なんだよ?なんか変わったな。」
 赤髪の少女は自分の両手を眺め、足を眺め、首を傾げていた。
 「……君、まさか思兼神?」
 「そうだよ。」
 赤髪の少女は思兼神のようだ。剣王は驚いていたがその後、笑い出した。
 「ははは!なんだい?君、女の子になっちゃったのかい?はははー!」
 剣王に笑われ、思兼神は自分が少女になっている事に気が付いた。
 「なんだよ!これは!Kのデータはこんなにも強いっていうのかよ!」
 思兼神は困惑した顔でKの少女に詰め寄った。
 「だから言ったのに。Kのデータ量はけっこう多いんだよ。」
 Kの少女は呆れた顔を思兼神に向けた。
 「ま、まあ……いいけどよ、で?他にやる事はあるのかね?」
 思兼神はため息交じりに尋ねた。
 「うん。後は……そうだね……霊史直神(れいしなおのかみ)、よろしくね。」
 Kの少女と剣王と思兼神は同時にナオの方を向いた。
 ナオがびくっと肩を震わせると目の前の真っ白な空間が砂のように消えていった。Kの少女と二神も消え、辺りは元の剣王の居城に戻った。
 「……。」
 ナオは目を見開いたまま、固まっていた。
 「ナオさん!」
 「はっ!」
 ムスビの声にナオは我に返り、栄次に叫んだ。
 「栄次!来てください!」
 栄次は戸惑っていたが素早くナオの元まで走ってきた。ナオはそのまま動けないでいるムスビの手を握り、走ってきた栄次の手も握るとワープ装置を起動させ、判断の遅れた剣王が行動に出る前に素早くワープした。
 「あーあ……逃げられちゃったか……。しかし、久々に色々と思い出したな。まあ、ワープ装置なら高天原東産だろうからおそらくワイズのとこにでも飛んでったんだろうねぇ。」
 剣王はポリポリと頭をかくとため息をついた。


 「……また……また私が出てきました……。」
 ナオは頭を抱えながら動いている歩道の上にいた。
 「あー……逃げられて良かったよ……。ここは……高天原東かな?」
 ナオの隣でぐったりしているムスビは辺りを見回しながらつぶやいた。まわりは高層ビルとハイテクな機械がある近未来的な場所であった。歩道はすべて電子で動き、歩く神々は何もない空間をタッチし、アンドロイド画面を出している。すべてにおいて高天原西とは真逆だった。
 「ここは……思兼神、ワイズの居城がある場所です。……ワイズ……。」
 ナオは考え込んでいた。
 「ナオ、あの歴史はまことなのか?」
 ぐったりしているムスビを立たせながら栄次がナオに尋ねた。
 「……わかりません。私は覚えていないのです。私の中ではワイズは少女の姿で定着しています。それからあのKと名乗った少女についてもよくわかりません。以前、アマテラス大神の歴史を覗いた時にいた子と同じ少女でした。」
 ナオは青い顔のまま小さくつぶやいた。
 「また今度はワイズの居城に乗り込もうとか考えてんじゃないよね?ナオさん。」
 ムスビは疲れた顔をナオに向けていた。
 「……そうですね。彼女の歴史も覗かなければなりません。……剣王は先程の記憶も知らなかったわけではなさそうです。太陽神達は歴史をなかったことにされておりましたが剣王はそうではないようでした。つまり、ワイズの歴史も再構築されずそのままな可能性があります。歴史書の方でもデータの改ざんが目立ちましたので、あのKと名乗った少女と剣王、そしてワイズあたりが何かしらをしたのではないかと考えられます。」
 ナオは表情をさらに険しくし、ムスビを見据えた。
 「やっぱりか……。ワイズに捕まってもなかなかヤバいよ……。」
 「太陽神達には申し訳ない事をしましたが私達は正当な判断で動いております。私達は世界から命じられた神々の歴史の管理が仕事です。存在理由であり、私達を構成するプログラムでもあります。向こうが公平にこの異常な改ざんの調査に協力してくださっていたら私達も無茶はしなかったのです。ですのでそこまで責められる事ではないはずなのです。」
 ナオの言葉にムスビはため息をついた。
 「はあ……。開き直るなっつーの……。まあ、いいや……。どうせこれ、ワイズのとこに向かってんでしょ?」
 ムスビの呆れた声にナオは真面目に頷いた。
 しばらく動く道路の上に立っていると高層ビルの間から金色に輝く怪しい天守閣が見えてきた。
 「なんだ。あれは……悪趣味だな……。」
 栄次は太陽の光で無駄に反射している金色の天守閣を眺めながら顔をしかめていた。
 「あれがワイズの居城です。」
 ナオは栄次にこそっと耳打ちした。
 「……嫌な予感しかしない……。」
 「で?どうするの?ナオさん……。」
 栄次のつぶやきを聞き流し、ムスビは顔色悪くナオに尋ねた。
 「ワイズは知恵の神です。おそらくすべてのパターンを予想しているはずです。ですので堂々と入り口から侵入します!」
 「ナオさんは作戦とか何にも考えないのかーい!」
 ムスビは半分泣きそうな顔でがっくりとうなだれた。
 

六話


 ムスビがぼやいている内に金色の天守閣にナオ達は運ばれていた。天守閣前で自動の道路は途切れ、少し歩くと天守閣内に入れる。
 ナオ達は顔を引き締めつつ歩き、真夏の太陽に照らされている金色の天守閣を見上げた。
 「近くで見ると威圧が違いますね……。」
 「この城に威圧なんてない。それは俺の神力だ。」
 ナオが小さくつぶやいた時、風に流れて男の声が聞こえた。
 「!」
 ナオ達は突然聞こえてきた声にビクっと肩を震わせた。
 ナオ達が構えていると辺り一面に風が舞い、目の前に男の神が現れた。顔は鬼の面で隠しており、羽織袴の橙の髪の青年だった。
 「今は高天原北の冷林の消息不明の件で忙しいんだがお前らの件もかなり重要案件だ。ここでサクッと捕まえさせてもらうぜ。」
 青年は低い声で話しながら威圧をかけてきた。栄次が素早く刀を抜き、ナオとムスビの前に立つ。しかし、動くことができない。強力な神力がナオ達を襲う。
 「……なんて強い神力……。あ、あなたは……天御柱神(あめのみはしらのかみ)ですね?厄災の神であり、イザナミ、イザナギ神の子……。」
 「ん?ああ。そうだ。俺は天御柱神。残念ながらお前達はここで捕まえさせてもらうぞ。」
 「そうはいきません!」
 ナオが天御柱神に言い放った刹那、栄次が天御柱神に斬りかかった。
 「無駄だ。」
 栄次が凪いだ場所にはもう天御柱神はいなかった。そしてまた、同じ場所に突然現れた。
 「……なんだ?斬れん……。」
 栄次は刀を構えなおすと戸惑いの色を見せた。
 「……俺は魔風だ。つまり風。斬れるわけねぇだろ。」
 天御柱神は冷静に低い声で三神に威圧をぶつけ続けていた。天御柱神の表情は鬼のお面でよくわからない。
 「ではこれはどうでしょう?」
 ナオは手からアマテラス大神の巻物を取り出し、素早く天御柱神に投げつけた。
 「……っ!?なんだ!これは!」
 巻物は天御柱神にぶつかるとまばゆい光を放ち始めた。するとすぐに天御柱神が苦しみはじめ、頭を抱えてその場にうずくまった。
 「アマテラス大神の力はあなたには真逆なはずですから辛いでしょう。先に行かせてもらいます。申し訳ありません。」
 「……これは……太陽神のサキとかいう女の力か?ああ……まいったな。俺と……あの女は絶対に相入れない存在だ。壱の世界(反転の世)では知らねぇが……。うぐ……。」
 天御柱神が動けない内にナオ達は金色の天守閣内に入り込んだ。
 「ま、待てっ……くそ!今、ワイズは……。」
 天御柱神は必死で呼び止めていたが、ナオ達はさっさと先へと進んでいった。
 中はホテルのロビーのような感じだったが階段を上るにつれて和風の部屋が目立つようになった。こちらは剣王の居城とは違い、廊下を神々が歩いている。しかし、どの神もナオ達に手を出してこなかった。
 「……なんだか導かれているみたいだね……。」
 ムスビがナオにこそっとささやいた。
 「ええ。ワイズはすべてを見透かしているのでしょう。正直あまり良い予感はしません。」
 ナオ達は黙々と階段を上る。最上階に来ると部屋は三部屋あった。
 一番奥の部屋の障子戸のみ金の装飾がしてある。
 「あの一番奥ですね。」
 「YO!やっと来たNE。」
 ナオ達が奥の部屋へ向かおうとした時、障子戸ががらりと開き、不思議な格好の幼女が現れた。カラフルな帽子をかぶっており、その帽子から赤い髪が触手のように伸びている。          
やけに三角形なサングラスに羽織袴だ。奇抜な格好の幼女は不気味に笑いながらナオ達を見ていた。
「……あなたはワイズですね。思兼神……。」
「そうだYO。天御柱はやられちゃったみたいだNE?と、いうことは太陽からアマテラス大神の巻物を盗んだと。……それで?私の記憶も覗きにきたってわけかYO?」
ワイズの質問にナオは大きく頷いた。
「あなたが天御柱神に私達を捕まえるよう指示したのは私の手にアマテラス大神のデータがあるかどうかを調べたかったのでしょう?これはしばらく渡せませんよ。使いますから。」
ワイズはナオの発言で笑い出した。
「まったくほんと、おもしろいYO。」
「何がですか?」
「なんでもないYO。」
ナオがワイズを睨みつけたがワイズはすぐに口を閉ざした。
「あなた、何かを隠していますね?」
「隠してないNE。……あー、お前らの事もどうにかしないとと思っていたけどYO、それよりも繊細で重要な案件があってNE……。」
ワイズはきれいにはぐらかした。
「……重要な案件って龍雷水天神(りゅういかずちすいてんのかみ)、イドさんの事じゃなくて?」
ムスビがワイズと距離を取りながら尋ねた。
「大当たりだNE。あいつは私の側近だYO。今ちょっと問題を起こしていてNE。困っているんだYO。だから、お前らには大人しくしていてもらおうか……。」
 「!」
 ワイズが口を閉ざした瞬間にナオ達の体がまったく動かなくなっていた。
 「なっ……なんだよ!身体が動かない!」
 「うかつでした……。知らぬ間に神力の鎖を巻かれました……。」
 ムスビとナオはなんとかして体を動かそうと試みたが体はまったく動かなかった。
 「お?栄次だけ免れたかYO。さすが剣術使いだNE。野生の勘で私の神力を見破ったか。」
 いつの間にかワイズの後ろには栄次が立っていた。
 「ナオ達を解放してもらおうか。」
 栄次はワイズに刀を突き付けると低い声で言った。
 「はん?お前は私を斬れないだろうがYO。そういうくだらない要求にこたえるつもりはないNE。私は何もできないが私を斬った所でお前達も何もできないYO?」
 ワイズがほほ笑んだ刹那、ワイズと栄次の前に天御柱神が現れた。
 「先程は手こずったが今回はそうはいかんぞ。」
 「風か……厄介だな。」
 睨みつける天御柱神に栄次の頬から冷汗が流れた。
 「……歴史神達は動けない、栄次は御柱には勝てない……お前らがノコノコ来るという前提で策を練ったが練るまでもなかったようだNE。」
 ワイズはもがくナオとムスビを眺めながらクスクスと笑った。


 天御柱神が栄次を拘束しようとした刹那、突然目の前が光りだした。
 「ん?なんだ?これはワープ装置か?」
 天御柱神はいったんワイズを光から遠ざけた。
 栄次もとりあえず距離をとる。
 急に光りだした部分からアヤとヒメさん、イドさん、そしてミノさんが陽炎のように現れた。
 「こんな時に……お前らが来たかYO……。」
 ワイズはため息をつきながら突然現れたアヤ達を呆れた目で見つめた。
 「……ここはワイズの城じゃな?おかしいのぅ……剣王の城に着くワープ装置じゃったのに……。」
 可愛らしい顔つきのヒメさんが若干ふくれっ面でなぜかイドさんを睨みつけていた。
 「さあ?僕を睨みつけても何も変わりませんよ。そのワープ装置、ワイズの元へ行くワープ装置だったんじゃないですか?」
 銀髪ゆるゆるパーマの龍神、イドさんはヒメさんににこりと笑みを向けた。
 「また、おたくが邪魔したのか?おたくは敵なのか味方なのかどっちだよ。」
 金髪の狐耳、ミノさんがヒメさん同様にイドさんに鋭く言い放った。
 「ミノ、落ち着いて。ケンカしている場合じゃないわ。」
 「ケンカじゃねぇよ……。」
 アヤの言葉にミノさんは深くため息をついた。
 話を聞く限りだとこの四神はあまりうまくいっていないようだ。
 なんとなくそれを感じていたがナオはそれには触れずにアヤに小さく尋ねた。
 「アヤさん……どうしてここへ?」
 「ナオ……私達はここに来るつもりじゃなかったのよ。でも、さっきからなぜかずっと誰かに邪魔されてて……。」
 アヤはちらりとイドさんを見る。イドさんはほほ笑みながらアヤを見返してきた。
 「アヤさん達は一体何がしたいのですか?」
 「……それは……。」
 アヤが詰まった刹那、ワイズがヒメさんに神力の鎖を飛ばした。
 「お前がすべての原因、ここで捕まってもらうYO。」
 ワイズがそう言葉を発し、神力の鎖がヒメさんにぶつかる寸前、別の神力が激しく辺りを動かした。
 「ワイズ、話が違いますよ。」
 強い神力でワイズの神力をはねのけたのはイドさんだった。
 「何が違うんだYO。人間を消滅させようとたくらむそいつはもう放っておけないだろうがYO。」
 ワイズは不機嫌そうにイドさんを睨みつけた。
 「行方不明の冷林を僕が元に戻すまで彼女には手を出さない約束のはず……。」
 「おい、どういう事だ?」
 イドさんの発言にミノさんが訝しげに声を上げた。
 その時、ナオ達はワイズの神力が消えている事に気がついた。先程のイドさんの力で拘束されていた鎖も切れてなくなったようだ。
 ナオはチャンスだと思い、思兼神の巻物をワイズめがけて投げた。巻物はムスビを通り過ぎてワイズの元へとまっすぐ飛んでいった。
 「……っ!」
 あまりの不意打ちに天御柱神もワイズも反応ができなかった。
 辺りはまた真っ白に染まった。

七話

 ふとナオの前にワイズと剣王が立っていた。ナオは咄嗟に構えたが彼らが記憶の中の彼らであることに気が付き、構えを解いた。
 「剣王、じきにこの世界を生きる神々はこの世界が分裂した事も私達の元の姿も忘れる……。皆再生される……お前も……変わるのか?」
 ワイズは剣王に静かに言葉を発した。
 辺りは真っ白な空間だ。特に何もない。先程の剣王の記憶の続きのようだ。
 「いいや、それがしは変わんないねえ。それがしはKにこの世界を見守る役として選ばれたんだ。見守る役は元の世界の状態も知らないとさ。君と同じだよ。それがしと君だけこの世界では異物になるねぇ。いや……遺物かなあ。それがしらはこれから何にも知らない再生された神々の中でうまく溶け込んでいかないといけない。かつ、しっかりとこの世界の元の姿を覚えておかないとならない。今の世界のデータをちゃんと覚えておかないと新しい世界になった時、データの修復ができないでしょ。Kは弐(夢、幻の世界)にしかいられないし。」
 剣王はやれやれとため息をつくと真っ白な空間を見つめた。
 「そうだね。私にはKの一部が入り込んでしまったし、私も記憶を失うことなくこの世界に居続けるんだろうね。向こうに行ったアマテラスや月読、スサノオなんかは大丈夫なのかね?まあ、私は知らないけどよ。」
 ワイズはケラケラと笑いながら剣王と同じように白い空間に目を向けた。
 白い空間は徐々に消えていき、結界のようなものが張られ始めた。結界が張られた奥は白い空間ではなく、真っ暗な宇宙が広がっていた。
 「ん?お前は……。」
 「さて、始まったよ。他のKも結界を張るのに大忙しさ。」
 剣王とワイズの前に先程のツインテールの少女が現れた。
 「そうか。」
 ワイズがKと名乗った少女に小さく頷いた。
 「言っておくけど……私達、全世界のKがこの世界を創るんじゃないからね。私達はあくまで世界のシステム。平和を願った人間達や、動物達、そして神々の感情エネルギーがデータとなって私達に命令をしているだけだから。私達は創っているんじゃなくて手伝っているだけ。」
 Kと名乗った少女は結界の外を眺めながらほほ笑んだ。
 記憶はそこまでだった。またも砂のように映像が消えていった。
 辺りは徐々にワイズの居城へと戻って行き、白い空間は完全に消え失せた。
 「……K……。」
 一緒の記憶を見たらしいアヤはぼそりとつぶやいた。アヤがぼうっとしているとすかさず隣にいたイドさんがアヤの手を握った。
 「とりあえず、行きましょう?」
 「え?」
 「おい!ちょっと……。」
 イドさんは他のミノさん、ヒメさんの手も取ると一度ジャンプをしてワープ装置を起動させた。
 「私達も行きましょう!」
 ナオも素早くムスビの手を握り、栄次を呼び寄せた。
 「あ!待てYO!お前らは……」
 ワイズの声を最後にアヤ達他、ナオ達も同時にワープし、その場から消えた。
 「っち……参ったYO……。ナオに逃げられた……。くそっ!」
 「ワイズ、あのナオとかいう女はなんなんだ?何をしようとしている?」
 全員が消えてしまってから天御柱神が頭を抱えながらワイズに尋ねた。
 「……あのナオって女は自分の首を自分で絞めようとしているだけだYO。ただそれだけSA。」
 「……?」
 ワイズの答えに天御柱神は首を傾げたがおそらくここから何も言わないだろうと判断し、そこから口を閉ざした。


 ワープ装置が高天原北を差していた。ナオ達は高天原北へとワープしたようだった。
 「高天原北に来たようですね。」
 辺りは砂漠のような砂地で神が住んでいる感じではない場所だった。
 ナオ達がふうと一息ついた時、すぐ近くでワープ装置の数字が回っていた。
 「……?」
 「うえ?な、なんだよ!」
 ムスビが叫び、身を引いた刹那、アヤとミノさん、イドさん、そしてヒメさんが現れた。
 「どういう事よ!」
 アヤは地面に足をつけるなり、イドさんに掴みかかった。
 「どういう事とはなんでしょう?」
 イドさんは首を傾げ、おどけたようにアヤに尋ねた。
 「世界の仕組みを一緒に調べようって仲間になったんでしょ!なんで私達が危険になるワイズの所にワープしたのよ!」
 「アヤ……落ち着けよ。」
 興奮しているアヤをミノさんが慌ててなだめる。アヤはミノさんを見向きもせず、イドさんをまっすぐ睨みつけていた。
 「あー……そうですねぇ。ワイズからあなた達を捕まえろと言われていまして……『あなた達が危険だから』なのではなく、『あなた達が危険になる』んですよ。このままだと。」
 「どういう事よ?まったくわからないわ。」
 「ですから、世界の仕組みを探る事は『あなた達が危険にさらされる』という事です。ワイズ達はあなた達が危険にならないようにしているんですよ。それから僕はハナから仲間ではありません。」
 イドさんはふふんと鼻で笑った。
 「仲間じゃないならなんでワイズの所からワープしたの?私達を捕まえたかったんでしょ?あなた、意味がわからないわよ。矛盾しているもの。」
 アヤはイドさんの虚言を暴こうと必死だった。
 「まあ、それは色々と問題がありまして……。」
 イドさんはちらりとヒメさんを見た。
 ヒメさんはイドさんを鋭く睨みつけながら何かを考えていた。
 「色々な問題って何よ!ヒメを助けてくれたことは感謝するけど……。」
 「……イドさんは娘さんを……守ったのですよ。」
 アヤの話し途中でナオが小さくつぶやいた。
 「……?」
 ナオの言葉にアヤ達は訝しげな目を向けた。
 「ヒメさんはイドさんの娘さんで先程、ワイズがヒメさんを拘束しようとしたため、仕方なく逃げたのです。ヒメさんが何をしたのかはわかりませんがワイズが言っていましたよね……『人間を消滅させようとたくらむそいつはもう放っておけない』と。」
 ナオはしんと静まり返った一同を見回しながら静かに言い放った。
 「イドさん、私はヒメさんが何をしようとしているのかはわかりませんがあなたはすべてを知っていたのでしょう?」
 ナオの言葉にイドさんは強い威圧を発した。
 「僕にはわかりませんねぇ。それから僕はヒメちゃんとは顔見知りなだけです。娘じゃありませんよ。残念ながら僕には娘はいないんです。」
 イドさんは笑みを浮かべながらナオを睨みつけていた。イドさんの言葉を聞いたヒメさんは少し期待に満ちた顔をしていたが悲しげな顔に変わっていた。
 ナオはイドさんの威圧に耐えられず、膝をついた。
 「ッ……やはり強い……。」
 「ナオさん!」
 「ナオ!」
 ムスビと栄次が辛そうなナオのそばに寄り、背中をさする。ムスビはイドさんを睨みつけ、叫んだ。
 「……うそつけ!あんた、ヒメちゃんとの親子関係を隠しているそうじゃねぇか!」
 「……親子じゃないと言っているでしょう。そんなに顔が似ていますか?今はジョークの気分じゃないんですよ。」
 「じゃあ、あんた、なんでそんなに辛そうな顔してんだ。」
 ムスビの言葉にイドさんは奥歯を噛みしめ、顔を歪ませていた。
 「……やっぱりやめるのじゃ……。」
 イドさんとムスビが睨み合っているとヒメさんが小さくつぶやいた。
 「え?」
 突然のヒメさんの発言でまた皆は静まり返った。
 「……ワシは取り返しのつかない事をしようとしておった。実はアヤの仲間になったわけではないのじゃ。」
 「どういう事よ?あなた、一緒にこの世界のシステムについて調べてくれるって言ったじゃない。高天原に入る方法もやりかたもあなたが教えてくれたんでしょ。」
 アヤはヒメさんの言葉に動揺していた。どうやらヒメさんとアヤは世界のシステムについて一緒に調べようとしていた仲らしい。
 「ワシは人間をすべて消滅させる計画を練っておった。」
 「なんだって!」
 ミノさん、ムスビ達が叫んだがナオとアヤになだめられ静かに戻った。
 「ワシはアヤの持っている時神の能力とワシの持っている人の歴史を管理する能力を使って人が存在しないという定義のシステムを創る予定じゃったのじゃ。つまり、アヤを騙したのじゃ。それで……たまたま、人の縁を守る縁神(えにしのかみ)、北の冷林(れいりん)が人間の願いを聞き入れて力を使いすぎてしまった故、弱くなっておったからワシは人間を直接管理している冷林を消せば、後はワシとアヤの能力で人間を消滅させられると考えて弱くなった冷林を封印したのじゃ。じゃが……人間を消す事はワシらが消滅することになると気が付いた……。ワシらは人間の祈りから生まれたのじゃからな。」
 ヒメさんは目にじんわりと涙を浮かべながら切れ切れに言葉を紡いだ。
 「ちょっと待て……なんで人間を消そうなんて思ったんだい?」
 ムスビがヒメさんの様子を窺いながら尋ねた。
 「……もういいのじゃ。ここまでやっても来てはくれんかった……。」
 ヒメさんは切なげに空を見上げた。
 「……お父様に会いたかったのですか?」
 ナオが切なげに空を見上げているヒメさんに静かに尋ねた。
 「……もういいのじゃ。取り返しのつかない事をすればずっと姿を現さなかった父上が叱りに来てくれるかもしれぬと浅はかで自分勝手な考えを持っていた……。ワシは最悪じゃ。」
  ヒメさんは暗い瞳でナオを見据えた。
 「……ヒメさん、きっとあなたはお父様であるイドさんに守られていたのですよ。彼は先程、ワイズに『僕が冷林を元に戻すまで彼女には手出しさせない』と言っていました。」
 「え……。」
 ナオの言葉にヒメさんはそっとイドさんを仰いだ。
 「……勝手な事を……。あなたの話は仮説でしょ?」
 イドさんはやれやれとため息をついた。
 「……では証拠をお見せいたしましょうか!」
 ナオはこの強敵なイドさんの歴史を見る事ができるチャンスだと思い、素早くイドさんの巻物を手から出現させるとイドさん目がけて飛ばした。
 「やっ、やめなさい!」
 イドさんの焦った声を最後に辺りは真っ白に染まった。

八話

 「お前は凶悪な龍神だ。『あいつ』の関係者なんだろ?」
 ふと男の声が響いた。辺りは海辺に変わり、たくさんの龍神が砂浜に群がっていた。その真ん中にはイドさんが座っていた。
 一体いつの頃の歴史かはわからないがだいぶん前の事のようだ。
 「お願いします!竜宮に入れてください!僕だけではなんの力も……。天津様の力を借りなければ……。」
 「今更何を……お前はあいつと同じ神力だ。本当はあいつなんじゃないのか?」
 イドさんはぼろきれのような着物を纏い、龍神の男達に頭を下げている。しかし、龍神達は皆、厳しいまなざしを向けていた。
 「違います!僕はあいつとは違う!違うんです!」
 「ムキになると余計にあいつの神力が漂ってくる。あいつのせいで俺達もひどい扱いをうけたんだ。信仰はスサノオにとってかわられた。まあ、スサノオ尊がなんとかしてくれたから俺達も助かったんだがな。」
 「僕はあいつの事を知らない!あいつじゃない!」
 イドさんは必死に男達に叫んだ。
 「おい、こいつも罰した方がいいんじゃないのか?龍神の禁忌を犯したやつだ。天津様が制裁を加える必要はない。俺達でやろう。」
 「そんな……。僕は……。」
 「お前、自分の嫁も自分で殺したんだろ?ずいぶんと残忍な殺し方をしたそうじゃないか。」
 「それは僕じゃない!僕じゃないんだ!僕じゃない!」
 イドさんは頭を抱え、目を見開いて叫んでいた。
 「今更罪の意識か?女神殺しも立派な犯罪だぞ。……ラチがあかない。やるぞ。」
 「なっ……何をするのですか!」
 イドさんは着物を脱がされ地面に押し付けられた。
 「ふん、死にたくなるような苦痛だよ。」
 男達はイドさんを押さえつけると龍の鞭でイドさんを叩き始めた。
 龍鞭は鉄のように固く、イドさんの背中に打ち付けられると重い音と同時に血が噴き出した。
 「うぐっ……がっ……。」
 イドさんは耐えがたい苦痛に悲鳴を上げていた。
 鞭で打たれた箇所は火花が散り、背中を容赦なく焼いた。砂浜はイドさんの血で赤く染まる。しばらくイドさんに暴行を加えた龍神達は最後に頬に刃物で傷を入れた。
イドさんの頬には竜宮に入る事が許されないプログラムが書き込まれており、それが血と共に流れ出ていた。
 「うっ……うう……。」
 イドさんは暗くなりつつある海辺で泣きながら呻いていた。
 「一つ聞く。お前、娘がいるか?」
 「……っ!」
 イドさんを暴行していた男の一神がイドさんに鋭く尋ねてきた。
 イドさんは目を見開き、黙り込んだ。
 「……いるんだな。」
 「いっ……いません!僕は独り身です。」
 「どこに隠した?あの家系の龍神は根絶やしにせんといけない……。俺達もお前の娘には手を出したくはないが……こればかりは仕方がない。神々は人間とは違う。気質を受け継ぐからな。娘も同じ事をやりかねない。殺しはしたくないから恐怖心を植え付けて俺達が管理していこうかと思っている……。俺達もこの世界を保たせるのに精いっぱいなんだ。わかるだろう?」
 「恐怖心を与えるですって……。まさか僕にした罰をあの子にも……。」
 イドさんの顔が青くなった。龍神達は皆、辛そうな顔をしていた。
 「俺達だってやりたくねぇ!だが龍神の管理体制を守るには仕方ないんだ!」
 男の内の一神がイドさんに向かって叫んだ。
 「……そんなの酷すぎます……。……い、いえ……僕には娘はいません。」
 イドさんはよろよろと立ち上がると血を滴らせながら海辺から去って行った。イドさんを追う龍神達は誰もいなかった。
 イドさんはしばらく歩き、森の中へと入って行った。森の中を歩いているときれいな川が流れていた。その川のすぐ横に人が一人分入れるくらいの洞穴があった。
 「……ヒメちゃん……ごめんなさい……天津様の神力をいただくことができませんでした……。それに僕はもう……竜宮には入れない……。」
 イドさんは穴にいた女の子をそっと抱くと優しく頭を撫でた。女の子はすやすやと寝ていたが信仰心が集まらず、衰弱しているように見えた。
 イドさんは女の子を抱きしめると静かに嗚咽を漏らしながら泣いた。
 「僕は……君を守れない……。僕じゃ君を守る事ができない……。」
 イドさんの涙が女の子の頬に当たる。女の子はその涙で目を覚ました。女の子はそっと手を伸ばし、イドさんの傷ついた頬を撫でた。
 「……また僕のなけなしの信仰心をヒメちゃんにあげます……。これで少しは楽になりますよ。」
 イドさんは女の子をそっと撫でると手から神力を発した。女の子は少し回復し、再び眠りについた。
 「……まだ物心がつく前に……僕は彼女と縁を切らなければいけない……。親子の縁を切って龍神の神格を消滅させれば彼女は『あいつ』の汚名を継がなくても済む……。彼女はひどく衰弱してしまうけれどダメもとで西にいるタケミカヅチ神に預けよう……。そうすればタケミカヅチ神の神力を少しは分けてもらえるかもしれない。別の神にもなれる……。僕は……正直どうなってもかまいませんが……ヒメちゃんをずっと見守らなければならないので東に亡命しましょうか……。思兼神(おもいかねのかみ)が僕を傘下にいれてくれるかはカケですが……。とにかく、ヒメちゃんだけでもタケミカヅチ神の傘下に……。」
 イドさんは女の子を愛しい目で見つめ、再び涙を流した。
 「離れたく……ないなあ……。」
 イドさんの最後の言葉を残し、歴史は風のように消えていった。


 「……。」
 イドさんの記憶を覗き、ナオ達は茫然と立ち尽くしていた。
 「……彼女は……僕の娘じゃありません……。娘じゃないんですよ。」
 イドさんは切なげにヒメさんを見ていた。風がイドさんとヒメさんを通り抜ける。
 「……父上……。」
 ヒメさんはあふれ出る涙を抑えながらイドさんをまっすぐ見つめた。
 「……ヒメちゃん……。」
 イドさんは複雑な表情でヒメさんを見据えていた。
 その視線のぶつかり合いに割り込むようにナオが入り込んだ。
 「……そういう事だったのですね。私達(歴史の神)を欺き、歴史の改ざんまでして娘さんを守ろうとした……そういう事ですね。もう……父親だと言ってもいいと思いますよ。この世界は一度、世界大戦時にKのシステム改変により変わったらしいですから。あなたはヒメさんとの事を覚えていたみたいですが現在の龍神達はおそらく記憶の消去がなされているのだと思われます。これにつきましては今度調査をする予定ですが。」
 ナオは少し同情しながら淡々と言葉を発した。
 「……システムの改変……ですか……。ワイズと剣王は色々と覚えているみたいでしたが……。」
 イドさんは覇気のない顔でナオに目を向けた。
 「はい。調査の所、彼らは世界大戦以前の記憶も持っているようです。今後、名前で出たKについても調べて行こうかと思います。」
 「……K……。」
 Kの部分で小さく声を発したのはアヤだった。
 その隣でミノさんはどこか落ち着かない様子で腕を組んでいた。
 「おい、それよりもよ、人間を消すという大罪を犯そうとしてまでもおたくに会いたがっていた娘が目の前にいるのにおたくはまだ隠すつもりなのかよ。」
 ミノさんはイドさんの態度が気に入らなかったらしい。どこかイライラしていた。
 「ミノさん……僕はもう縁を切っちゃったんですよ。……今回、ヒメちゃんがやった事は許される行為ではありません。ですが、冷林の封印までで押しとどまったので僕は少しほっとしているんですよ。今回の件に関しては僕も冷や冷やしました。僕がうまくヒメちゃんを止められなかったらどうなっていた事かと。あれでワイズはけっこう気持ちをくんでくれて僕の手助けをしてくれていたのですが……僕があまりにヒメちゃんをうまく止められなかったのでワイズが見かねて手を出してきたんですね……それで……剣王の方もヒメちゃんを気にかけてくれて僕が止めに入るのを待ってくれました。本当は僕の事なんて考えている暇はないはずなのに……。」
 イドさんはそこで言葉を切り、ナオ達に目を向けた。ナオは困惑した顔でイドさんにはにかんでいた。
 「そんなこたぁいいからよ。もう親子を気にしていいんだからさっさと抱きしめるなりなんなりしてやれよ!」
 ミノさんはイドさんがウジウジしているので背中を思い切り押した。
 「うわっとと……ミノさん、乱暴ですね……。……でもそうですね……。僕はもう隠す必要はとっくになかったのかもしれません……。」
 イドさんはヒメさんの元へと歩いて行き、そっとヒメさんを抱きしめた。
 「ち……父上ぇえ……。」
 ヒメさんは目から大粒の涙を零し、ワンワン泣いていた。
 「ヒメちゃん……ごめんなさい……。僕はずっとヒメちゃんを見守っていました。ヒメちゃんは紛れもなく僕の娘で僕の宝物です……。」
 イドさんはヒメさんの頭をそっと撫でながらしがみつくヒメさんをしっかりと抱きしめた。
 「ごめんなさいなのじゃ……。冷林はワシが元に戻すからの……。大変な過ちを犯すところじゃった……。」
 「そうですね……。これに関してはちょっとお仕置きが必要ですが今回は僕にも非があるのでこんなことを二度としないと約束だけしてください。いいですね?ちゃんと言いなさい。」
 イドさんは鋭い声でヒメさんを叱った。
 「うう……もうしないのじゃ。しない故、父上、ワシのそばにいてほしいのじゃ……。」
 「そうですか。いいですよ。」
 ヒメさんは子供の顔に戻り、イドさんを離すまいとしがみついていた。イドさんはヒメさんの頭を優しく撫でるとそっと抱き上げた。
 「……ここではない鏡の世界、壱(いち)の世界では彼女はもっと暴走していたようですね……。ここ、陸(ろく)の世界の彼女は何かに気が付いたのでしょうか。」
 ナオがヒメさん達を眺めながらぼそりとつぶやいた。
 「ん?ナオさん、壱の世界の事が見えたのか?」
 ムスビに問われ、ナオは首を傾げた。
 「いいえ。なんとなく程度です。イドさん、そしてヒメさんの記憶、歴史は世界大戦以前のものなので歴史が壱(いち)の世界とたまたまリンクしたのだと思われます。」
 「よ、よくわかんないけど……そうなんだね?」
 「それと……イドさんにはまだスサノオ尊との記憶が隠れている気がします。過去を放出すると言われている竜宮に行ってみましょう。」
 ナオは腕を組みながら唸った。
 「ええ!また無茶するの?あそこには天津彦根神(あまつひこねのかみ)がいてだね……。」
 ムスビはため息をついた。
 「竜宮だとここは北のようだから真逆だぞ。」
 いままでずっと黙っていた栄次がぼそりとつぶやいた。
 「ええ。それでも行きます。」
 ナオは栄次とムスビを見据え決意のこもった目で頷いた。
 ムスビと栄次はお互い見合うとため息を再びついた。
 「……では僕達はアヤちゃんの仲間から一度離れますね。冷林を元に戻さないといけませんから。」
 イドさんはヒメさんを抱きながらどこかすっきりした顔でミノさんとアヤに声をかけてきた。
 「あー、もうわかったぜ……おたくはハナから仲間じゃねぇんだろ。さっさと行け。まあ、後で酒でも飲もうぜ。」
 ミノさんはうんざりした顔でイドさんをはらった。
 「あ、ワシはアヤを手助けするのじゃ。冷林の用が終わったら仲間に加わるぞい。」
 「ちょっと……ヒメちゃん……。」
 ヒメさんの嬉々とした表情にイドさんは頭を抱えた。
 「……ええ。よろしく頼むわ。」
 アヤは先程から何かをずっと考えながらヒメさんに返事をした。
 「おたくは何を考えてやがんだよ。」
 ミノさんの突っ込みにアヤは頷いて答えた。
 「……Kという者について調べるわ。ミノは付き合ってくれるのよね?」
 アヤはにこりとミノさんにほほ笑みかけた。
 「……うっ……あ、ああ……そうだな……。」
 ミノさんはあからさまに嫌そうな顔をしたが同意の言葉を発した。
 アヤ達はアヤ達で動くようだ。そのうち、目的が同じになるかもしれない。
 ナオはそんなことを思いながらムスビと栄次を連れて歩き出した。
 「ナオ……。」
 アヤは小さくナオを呼んだ。
 「……はい。何でしょうか?」
 ナオは振り返ってアヤを見た。
 「ナオ……無茶はしないようにしなさいよ。」
 アヤは呼び止めたが何を言うか悩み、とりあえず一言だけ言葉を発した。
 「はい。ありがとうございます。アヤさん。アヤさんも無茶はなさらずに。」
 ナオはアヤに優しくほほ笑むと再び歩き出した。
 

旧作(2018年完)本編TOKIの世界書四部「明し時…3」(歴史神編)

旧作(2018年完)本編TOKIの世界書四部「明し時…3」(歴史神編)

本編四部ですが一部「流れ時…」のジャパニーズ・ゴット・ウォーとリンクしています。 今回は前々からよく出てくる神物も登場中。 歴史神ナオの歴史調査はまだまだ続く……。 改ざんされた歴史を暴けるのか!?

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-04

CC BY
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