届かない
来ない手紙を待っている。
他人には滑稽に見えるらしい。叶わない夢を見て、毎朝毎夕、からの郵便受けを眺めているのだから。
不思議なことに、いつからか私の所へは一通も郵便が届かなくなった。
何故だろう。
この話をすると、人は小馬鹿にしたような眼で私を見る。
当然じゃないか、と誰かが言った。
私には分からない。極当たり前のように言えてしまう彼らの思考についていけない。
いつでも私は、何故、と問う。
彼らの答えはすぐ返ってくる。
だって郵便事業は廃止されたのだから。
私には分からない。
日々、膨大に送られてくるメールの着信を見つめながら、たった一通の郵便を待ち続けている。
それは馬鹿馬鹿しいことなのだろうか。
届かない