流れるように、風に、風に、夢を見たいだけ。

流れるように、風に、風に、夢を見たいだけ。

流れるように、風に、風に、夢を見たいだけ。

 どうしても抜け出せなくなった穴の中に私がいたりして。芝生が揺れたくらいでとっても動揺したりするのは、どうしようもない物言いの中には存在しない何かに圧力のせいだと思う。
「ハルタ!」
彼の名前を叫んでみても、もちろん彼が振り向くことなんてないのは、彼は私の恋人でもなければ、恋人に近しい親しい仲でもないからであって、別に仲が悪いわけじゃない。

 私はずっとハルタに恋をしている。もう一年くらい。
 高校に入学して彼を見た瞬間に私は彼が輝いて見えて、もう、どうしようもないくらい、としか表現ができない。それくらいに彼は輝いて見えたし、他の男子とはどうしたって違う生き物のように見えた。
 だけどハルタには中学の時から付き合っている彼女なんかがいてさ。「いや、別に当たり前じゃん。あんなに格好いいんだもの」なんて自分に言い聞かせてみたりしたけど、それが一体何の意味を持っているのやら分からない。それで私の気持ちが軽くなった訳でもないし、いや、そう思うえばより一層彼が好きになっていったりして。

 暴走機関車。
 友達のミズキが私に名付けたのは、全く色気が感じられないそんな名前だった。ミズキはこの学校で知り合った友達。一番仲のいい友達。
「もうまるでその通りなの!あなたを見ているとただ暴走している機関車にしか見えないの!」
ミズキはそう言いながら笑っている。機関車って……。もう少しまともなネーミングが良かった。それは私があまりにも機関車過ぎるのか、はたまたミズキのネーミングセンスが目も当てられない程にひどいものなのか……。
 ”暴走機関車”
 漢字で書くとより一層色気が感じられないから
 ”ぼうそうきかんしゃ”
 ひらがななら少しは柔らかくなる。
 私たちの学校での一日なんてそんなことをしていたらあっという間に終わってしまう。本当にあっという間。びっくりするくらいに。

「ハルタ!」
学校の屋上で叫ぶのももうやめようか。でもこうして叫んでいると、なんだかとてもスッキリするし、私は彼への好意をより一層身近に感じれらた。隣ではミズキがお腹を抱えて笑っている。
「ははー!どうせうまくいかないんだからー!」
笑いながら随分と残酷なことを言うミズキを私はどうしても嫌いになれなかった。いや、大好きな友達だった。
「ハルター!!」
私は声は大きな空の中へと吸い込まれてすぐに消えてしまう。私と彼の距離みたいに、空はずっと遠くにいた。
 傾いた太陽の光が眩しくて、私はぐっと目を閉じた。
 まだまだ!私の高校生活は、まだまだずっと続くんだから!
「ハルター――!!!大好きっ!!!」
その言葉はすぐに消えてなくなってしまう。隣に残るのはミズキの楽しそうな笑顔だけだった。

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流れるように、風に、風に、夢を見たいだけ。

流れるように、風に、風に、夢を見たいだけ。

ずっと、好き、あのひと。

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更新日
登録日
2016-02-27

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