その夜のふたり
べた甘のラヴストーリーの続きです。
状況設定などは、前作「あなたとココアを」を読んでからお読みください。
官能小説として書いていますので、18歳未満の方はご遠慮ください(笑)
前作「あなたとココアを」はこちらです。
http://slib.net/44486
風呂から上がった知美は、バスローブの前をしっかりと合わせて戻った。
髪をバスタオルで包みさっぱりした様子だが、内心はちょっとだけドキドキしている。
バスローブの下には、一日の汗を流してさっぱりした裸身だけが包まれている。
普段ならこんな姿にはならないのだが、今日は特別だ。
文彦を迎えに出かけ、誘われるままにドライヴして、そのまま泊まることになってしまったので、着替えも持っていないのだ。
一日身に着けた下着は、特別汗にまみれているわけではない。だがやはりこの先に起こる事を想像すると、文彦の前でそれを着けるのはためらいがあった。
既に先にシャワーを済ませている文彦は、戻った知美を優しく抱き寄せると唇を重ねてきた。こんなシーンはもう何度も経験してきている。この先の二人のコンチェルト(協奏曲)へと続くプレリュード(前奏曲)のような優しい行為だ。
バスローブの上から文彦の腕が知美の肩を抱きしめ、次第に背中へ腰へと位置を下げて行く。知美の腕も文彦の背にまわり、やがて二人は崩れ落ちるように、抱き合ったままベッドへと身を移す。
文彦の左腕は知美の首筋に位置を変え、自由になった右手がおずおずとバスローブの合わせ目へと伸びてくる。
右手は侵入をためらうように、知美の頬を撫で、鎖骨の上を愛撫し、しっかり合わされたバスローブを、氷を融かすかのように緩めていく。
その時文彦は、知美の状態がいつもと違う事に気付く。
肩から伸びるストラップと胸のふくらみを覆いその部分をカバーし強調するようなカップが指先に感じられないのだ。滑らかな肌と柔らかいふくらみが、直接指先に鮮烈な感触を与えている。柔らかなふくらみを、その先端までたどれば、山頂のケルンのような陰影を持つ頂きが、そのまま指での登頂を許している。
「今日は着けてないんだね。」
確認するように文彦が問う。
その事実を知られたことが、妙に恥ずかしく思えて、知美の言葉は途切れがちになる。
「だって、今日は、お泊りするなんて、思ってなかったから・・・」
「だから、積極的なの。」
「そうじゃなくて。着替えの下着を持ってないから・・・」
「お風呂上りに、今日一日着けてたのを、また着るのが嫌だったから・・」
「ああ、そういう事か。」
文彦は、知美が下着を着けていない理由を飲み込めたようだ。
にっこり笑って、また首筋に唇を這わす。
「じゃあ、もしかして、こっちも。」
そう言いながら、右手はバスローブの合わせ目を下に辿る。バスローブは鋏で切り裂かれるように左右に分けられ、胸の谷間から臍を通り、さらにその下までの肌があらわにされて行く。やがて右手は叢に辿り着き、柔らかくそこを撫でる。
「こっちも着けてないんだね。」
知美はちょっと羞恥を覚えながらも、その首筋と叢への刺激に身を任せてしまう。
「ああ、恥ずかしいわ。」
「どうせ、僕が脱がせてしまうのにね。」
「だから着けなかったのよ。一日分の私の匂いが付いたものを、あなたの手で脱がされるのは、もっと恥ずかしいから。」
「知美の香りなら、どんな香りだって素敵だよ。」
文彦の耳元での囁きすら、知美には優しい愛撫のように感じられてしまう。
知美の両腕は、文彦の背にまわされていたが、やがて文彦のバスローブの合わせ目へと進入し素肌の胸を撫でる。
文彦の素肌の胸にある黒子のような印を知美の指先が捉え、抓むように弄ぶ。二つの印を行き来しながら、白い平面に埋もれた小石を掘りだそうとするかのように、切りそろえられた爪先で印を抓む。文彦の体は素直にその刺激に反応を示し、黒い小石のような突起が左右の胸それぞれの中央に輪郭を現す。
文彦の腕が知美の背に戻り、それに力が込められ、二人の素肌が合わされる。お互いの素肌のぬくもりをお互いが感じ合う。
しばらくの間、そのままお互いの鼓動を感じ合っていた二人だが、文彦が体を起こしながら、困った顔をする。
「実は・・・ちょっと困った事があるんだ。」
「どうしたの?」
「僕もお泊りになるなんて思ってなかったし、出張先からここまで来ちゃったから・・」
「着替えが無いの?」
知美の指先は、文彦の腰の周りにある布を確認している。そのゴムの部分をパチンと弾くように引っ張り、笑いながら訊く。
「着替えじゃないんだけど・・・身に着けるものが無いんだよ。」
「身に着けるもの?」
首を傾げた知美に、文彦は親指と人差し指で輪を作って見せ、それに息を吹き込むしぐさをする。
知美の表情がちょっと曇る。ここまでの状況を作っていながら、この先の展開が期待できないのだろうか。今日は大丈夫な日だろうか。文彦はどうするつもりなのだろう。
様々な思いが頭の中で交錯する。
今まで、絶対に安全だという日にも、それ無しで交わった事はなかった。もしも万一の事を考え、知美の事を気遣った文彦の配慮だった。そんな事も文彦の優しさなのだろう。
そんな思いを掻き消すように、文彦は知美の体に襲い掛かる。指先で弄んでいた胸の頂きに唇を這わせ、前歯で柔らかく噛む。
「ああっ、そんな事したら・・・」
「気持ち良くなっちゃう?」
悪戯っ子のような表情で、文彦が囁く。知美は大きく息を吐きながら頷く。
「だって、出来ないんでしょう。無いから。」
「いつものようには出来ないけどね。」
「入れるのは出来なくても、他のやり方で満足させてあげるよ。」
「そんな・・・」
今までは、二人の行為はほぼ同じパターンで繰り返されていた。
裸になりお互いの肌を合わせ抱き合った後に、それぞれの手でその部分を刺激する。
文彦のものが攻撃可能な状態になり、知美がその攻撃を受け入れられるようになると、薄いゴムの防具を装着して、互いの体を合わせるのだ。
ドッキングしたままで、上下が入れ替わったり、上半身を起こしたり、いくつかの変化はする事もあるが、その部分が交わらなかった事は一度も無かった。
どんな事をするつもりなんだろう。知美の脳裏を不安が過る。
優しい文彦のことだから、きちんと知美の事を気遣ってくれるのだろう。けれどやはり体が交わり快楽を貪る事は、秘められた部分への刺激を伴うものだ。その部分は羞恥を伴う。指先で撫でられるだけでも恥ずかしいのに、他にどんなことをされるのだろう。
そんな知美の思いに気付かぬように、文彦は胸の頂きを舌と唇で攻め続ける。
そして、指先でその突起を刺激したままで、唇はやがて下方向に少しづつ移動していく。臍の穴の深部に舌が侵入を繰り返し、同時に手は腰骨の部分から背後に廻され、臀部の丸みに沿って何度も往復する。その柔らかいタッチに快感を覚えながらも、知美はこの先を想像して、羞恥を先取りしてしまう。
このまま、文彦の唇と舌が移動攻撃しながら向かうのは、臍の下の叢だろう。そしてその先には、羞恥の塊の部分が待っている。もちろん、文彦の指先や、文彦自身をそこに迎え入れた事は何度もある。しかし、舌や唇は受け入れた経験が無い。舌を這わせるということは、その部分を目の前に晒してしまう事にもなる。やはりそれは恥ずかしい事だ。
臀部と背筋への愛撫は、背骨に電流のような快楽を起こさせ、その電流は極部へと流れ、知美の秘められた壺の内部を刺激し、次第にその部分を潤わせていく。
その潤いを自身で感じる事で、さらに羞恥は高められ、再度電流を起こさせる循環になっていく。
こんなになった部分にキスされたら、舌なんか入れられたら、指先で弄ばれたら、そして目の前に観察されるなら、そんな不安さえもが、感情を高めるような循環に加わる。
知美の考えた通りに、文彦の唇は臍から下に向かって移動する。
黒い柔らかな繊毛の叢に達すると、悪戯するようにその部分に顎を擦り付ける。いつもは、文彦の髭が伸びた頬に頬擦りしてチクチクする感触を味わうが、今日は風呂上りの文彦はきちんと髭は剃っている。逆に知美の黒い繁みが、文彦の頬との間でザラザラとした微かな音を立てる。
知美は文彦にされるがまま、ベッドの上に仰臥して頬を紅潮させている。
文彦は知美の両膝を立てさせ、その合わせ目を顎で開かせるようにしながら、さらに秘部に迫っていく。知美は羞恥を覚えながらも、抵抗する事も出来ない。
文彦の目には、初めて見る神秘な部分が飛び込んでくる。
いつもなら、全裸で抱き合い、手探りで刺激を与え、進入する時にちょっとだけ垣間見る部分が、目の前に拡がっている。息がかかるほどの距離で、それを観察しているのだ。
いくらか湿り気を帯びたその部分は、世間で言われるように貝を思わせ、貝柱のような核も目に入る。
その形から文彦は鶏頭の花を連想した。
躊躇いもせず、その鶏頭の花に唇を這わせ、さらに舌で押し広げる。
鶏頭を舌で味わっていると、さらにその深淵に菊の花を思わせる部分までも、目にすることが出来る。
貝柱のような核を歯で軽く噛み、鶏頭の花の蜜を吸いながら、さらに菊の花びらに指先を伸ばす。
知美の喉から、細い悲鳴のような声が漏れる。
「駄目っ。そんな処まで・・」
文彦は攻撃の手を止めない。鶏頭の花の蜜を指先に掬い取り、それを菊の花弁に塗り付ける。花弁が僅かに綻びかける
「そんな処。汚いわ。」
知美の抗議にも、手は止まらない。
「汚いなんて事ないさ。お風呂に入って来たばかりだろう。それに知美の体なら、どんな処だって愛しいよ。」
「だって、そこは・・・」
知美は抵抗が無駄だと悟り、逆襲に転じる。
ベッド上に横たわる文彦の体の下半身に体を寄せ、肌蹴たバスローブの下の露わになっている下着に手を伸ばす。それは、船の帆が風を受けたように大きく膨らみ、逞しい帆柱の存在を見せつけている。
知美は両手をそのゴム部分に掛け、一気に引き下げた。帆を外された帆柱は、一層逞しく見える。この光景も、普段この距離で知美が見る事は無い。自分の中に侵入する準備をしている姿を横目で見る事は有っても、目の前で帆柱が自分の顔の方を向いて屹立するなど、経験は無かった。
知美はおずおずとその屹立に手を伸ばし、柔らかく握ってみる。表面に血管が浮き出て、脈を打つのが感じられる。先端部は滑りのある液が滲み出ている。
文彦も興奮してこういう変化を起こしているのだと思い、知美はいくらか安心する。
私の蜜壺が濡れているように、彼の先端部分も侵入の準備を整えているのだ。
そう考えると、行為が二人の共同作業のように思える。一方的に体を貪り、快楽をやりとりするのではなく、準備段階からお互いに変化を起こすのだと思うと、その粘液と自分の粘液が、薄いゴムに隔てられ未だ混じり合った事がないのも、哀れにさえ思ってしまう。
帆柱の根元には、黒い毛が疎らに生えた柔らかい器官が寄り添っている。
帆柱の緊張感と対照的に、その部分は力なく垂れ下がり、リラックスしているようにも見える。
帆柱を左手で握りながら右手をその袋に伸ばし、中にある二つの球状のものを弄ぶ。
こんなに無防備に体の外に垂れ下がっていて、大丈夫なのだろうか。ぶつけるととても痛いという話は聞いたことがある。ぎゅっと握りしめてみたくなるが、文彦の苦痛を想像すると、そんなことは出来ない。
帆柱は逞しく硬いが、こちらだって生身の体の一部だ。どのくらいの力をかけると痛みを感じるのか解らない。硬いのだから、もしかしたら折れる事だって有るのかもしれない。硬い部分と柔らかい部分を手で弄びながらも、初めての経験で力加減が解らず、戸惑ってしまう。
文彦の唇は、攻撃の手を休めない。唇と舌と歯で、貝柱と鶏頭の花弁を刺激し続ける。
次第に知美の頭の中には、快楽の渦が満たされて来る。どうすれば良いのだろう。こんなに一方的に文彦から快楽を与えられ続けて、ひとりで昇りつめてしまいそうだ。
文彦にも何かしてあげたい。そう思って、知美は目の前の屹立した物の先端に、おずおずと舌先を伸ばす。
それが触れた瞬間、文彦はビクッと腰を引いた。何が起こったのか解らないままの自然な反射作用だったのだろう。
その後は、まるで知美に甘えるかのように、腰の位置は前に出てくる。
こうされるのが嬉しいのだろうか。気持ち良いと感じてるなら、知美も嬉しい。
そう思って、血管の浮き出た柱を手で支え、ツルツルとした先端部を舌で舐め続ける。
知美の舌と文彦の舌は、連動するかのように同時に動き、お互いの体に快楽を与え続ける。
知美は先端に唇も這わせる。唇と舌で先端を舐めるのは、ソフトクリームを食べているような感じだ。だが、ソフトクリームのように冷たく舐めると溶けてしまうものと違い、それは熱く、舐める程に大きくなるような気さえする。
この柱をそのまま口に含んでしまえば良いのだろうか。逞しいものだが、口に入らないほどではない。なんだか歯で噛んでしまいそうだ。思わずフランクフルトを想像してしまう。そうされた方が気持ち良いのだろうか。歯があたると痛いだろうか。あれこれ考えると、そこまでは出来なくなってしまう。
そんな考えが切れ切れに頭に浮かぶが、知美の頭の中は考えがまとまらないほどに混沌としている。
快楽が高まって、頭より体の反応の方が先に立ってしまう。
文彦は舌と目で知美の高まりを感じていた。貝柱も大きさと硬さを増し、鶏頭の花弁もいっそう淫らに綻び、花弁からの蜜も溢れ続けている。
やがて、知美の全身が細かく震え硬直する。頭の中が真っ白になり、その中心で閃光がいくつも弾け、一瞬の眠りのような、死のような沈黙が訪れる。
硬直が解け、全身が脱力し、知美の荒い息遣いだけが部屋の静けさの中に響く。
文彦は知美が達したのを見届けて、舌と唇の攻撃を止めた。もう一度、その部分に優しくキスをして体を起こし、知美と並んで寄り添う。
「どう。気持ち良かった?」
顔を覗きこみながら、知美に問いかける。
「うん。すごく感じちゃった。でも・・・」
いつもと違う行為、いつもと違う羞恥、いつもと違う知美だけの絶頂に、知美の頭の中は混乱している。
「なんだか恥ずかしい。私だけがこんなふうに乱れちゃって。」
「そんな事無いさ。いつもと同じだろう。逝った表情も素敵だよ。」
「だって・・・」
普段は二人一緒に昇りつめ、お互いに体を合わせたまま、荒い息遣いを鎮めるのだ。なのに、今日は知美の様子を冷静に観察されているようで、それも恥ずかしい。
「あなたは満足なの?」
文彦の体の反応は、いつもの行為で良く解っている。放出する事が到達なのだ。
その後は、硬さも大きさも変化し、まるで怒ってでもいるように聳え立っていたものが怒りを解き柔和な表情に変わったかのようになる。
今日は放出もしていないので、その怒張は表情も大きさも変えず、文彦の前方に大きく張り出している。
「いいんだ、僕は。知美が満足したんなら。」
「そんな事ないわ。私ひとりが逝かされるだけじゃ不公平よ。」
不公平などという、この場に似合わぬ言葉に、思わず二人で笑ってしまう。
「私の口じゃ気持ち良く無かった?続きをやってあげようか?」
「でも・・」
今度は文彦が口ごもる。
「凄く素敵なんだけど、イヤじゃ無いの?」
「なにが?」
「だって・・・オシッコの出る処だよ。」
「あなたがさっきまで舐めたりしゃぶったりしてたのも、私のそういう処なのよ。それどころか、後ろの方まで弄ったくせに。」
その行為を思いだしただけで、顔が赤らんでしまう。
「それに、口の中にピュッと出しちゃったら悪いし。」
「大丈夫よ。出なきゃ満足しないでしょう。」
「舌と唇だけでしてもらってると、もっと奥まで無理やり突っ込みたくなっちゃうよ。」
やはり、そういう方法の方が快感が大きいのだろうか。知美も快楽を昇りつめたとは言え、秘所に逞しいものを受け入れた時とは感じが違っていた。
〈私の中に入りたいのね。〉
文彦のその部分を優しく撫でながら、知美はそう思った。
「じゃあ、いつものようにしよう。」
知美は一つの決心をして、文彦を誘う。
「私の中に入れて。そこで気持ち良くなって。」
「駄目だよ、そんなこと。今日は持ってないんだから。」
「いいの、無くても。直接肌と肌を合わせて、私の中に出して。」
「でも、もしも出来ちゃったら・・・」
「大丈夫。女の体は子供を産むように出来てるのよ。もしも出来ちゃったら産んで育てるから。」
「えっ。本気かい?」
「あなたと私の子供なら一生かけて守って育てるわ。あなたが自由にしていたいなら、一人でも大丈夫。今どきシングルマザーも珍しくないからね。」
そう言いながら、知美は積極的に文彦に挑みかかる。文彦の裸身を仰臥させ、その上に跨るようにしながら、文彦の張りきった帆柱を自分の鶏頭の花弁に導く。
既に充分に潤っているお互いの部分は、抵抗も示さずスムーズに結合する。
二人の粘液が混じり合う。その様子を思うと知美は安堵感を覚える。
本来こうなるべきものが、ようやく目的通りの役目を果たすのだ。
収まるべき処に収まってからも、文彦の躊躇いは続く。
「本当に中で出ちゃうよ。いいのかい?」
もう高まりに逆らえないような状況でも、文彦は抵抗を試みる。
「いいの。あなたも気持ち良くなって。私の中に出して。」
一度昇りつめた体は、熾火を残しているようで、二度目の延焼の拡がりも速い。
文彦も、自分が行った行為と自分にされた行為とで、長い助走をつけた後のテイクオフのように、急速に上昇して行く。
文彦に跨り、その両手で胸のふくらみを弄られながら、知美は二度目の頂上を迎える。
それと同時に、知美の中の文彦も大きく痙攣し高みに昇りつめているのを感じる。
声にならない声を出しながら、二人は一緒に達してしまう。
次の瞬間、知美の体は力を失い、文彦の胸に崩れ落ちる。二度の快楽の後の脱力感が体を包み、無重力空間を浮遊しているような気分に満たされる。
文彦は、下半身の脱力感を覚えながらも知美の体を下から支え、胸に抱きしめる。
お互いの結合は未だ解けず、鼓動がその部分でも、胸と胸でも感じられる。
それは体や心の結合のように同調し、自分の鼓動なのか相手の脈なのか解らないくらいに入り混じる。
文彦の唇が、知美の唇を探す。二人は長い口づけを交す。
やがて、文彦の唇は離れ、その口から一つの言葉が生まれる。
「結婚しよう。一生かけて守るから。君と、子供を。
もし今出来ていなくても、何度でもこうやって可愛い子供を作ろう。
二人で育てていこう。」
知美は無言で頷く。
その目は潤み、一粒の涙がぽとりと文彦の顔に降り落ちる。
了
その夜のふたり
前作のあとがきにも書きましたが、「かっぱ友の会」という
友人達の集まりがあります。男女混合の音楽関係者のグループで
普段はSNSなどでふざけたやり取りをしている仲間です。(下ネタも飛び交います)
その仲間の忘年会で、AVと官能小説の話題になりました。
男性はAVの方が良いけど、女性にしてみれば、官能小説の方が感じる(?)という話です。
それならば・・・と書いたのがこのストーリーです。
出来るだけ繊細にエロを追及し、なおかつ品位を落とさないように、
表現を工夫して、官能的な描写を心掛けました。
ストーリーとしては、ハッピーエンドのラヴストーリーですが、
描写は性行為のシーンですので、R18です。(笑)
まあ、人類の繁栄の基本となる行為ですから、特にタブー視する必要も
無いような気もするのですけれどね。