独立祓魔官の愛ある日常 ~喧騒と喧騒と静寂と~

ハローハロー、漆黒猫でございます。

研修×鏡鈴×泰純・隼人・・・みたいな。
伶路さんは株とかやって儲けてそうだ・・・。←遠い目

もう何が何だか判らなくなったので、適当なトコでブチ切ってアップ。
要するに何が書きたかったのか、着地点が判らん。

お泊まり? 使役式?
・・・エロ、書きてぇなぁ・・・。

無駄に長いブツですが、少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。

独立祓魔官の愛ある日常 ~喧騒と喧騒と静寂と~

 陰陽庁地下・練武場。

「山城・・・ぶっ殺す・・!!」

「何でっ?! ちょっ、倉橋師匠っ!!!」

「学べ、山城。」

 薄い背中に黒炎を背負った『陰陽庁のアイドル』が、本格的な構えを取って、殺意に満ち溢れた碧眼で隼人を捉えている。
 彼が生涯の師と仰ぐ陰陽庁長官は、ニッコリ笑顔であっさりと直弟子を崖から突き落とした。



 組織に所属して、一番困る事はナニか。
 そう訊けば、大抵の祓魔官・呪捜官は『修行の時間が取れない事』と答えるだろう。
 陰陽師は生涯学習が前提の職業だ。3年や4年、修行したくらいでは一人前には成れない。大成を求めれば求める程、時間など幾らあっても足りはしないのだ。
 現実の任務に対応する為にも、陰陽塾卒業時のままのスキルでは困る。あまつさえ日々の雑事に紛れ、戦士としての覚悟や腕前が鈍っているようでは。
 組織としての弱体化にも繋がってしまう。ソレはマズい。非常にマズい。
 と、いう訳で。

「スキ有りや♪」

「無いわ、よっ!」

 ほんの束の間、出入り口に気を逸らしていた鈴鹿は、陣の振り下ろしてきた手刀を簡単に薙ぎ払う。
 あからさまなフェイクだ。
 2撃目の手刀も難なくいなし、逆に脇腹めがけて打ち込んだ鈴鹿の掌底はしかし、その威力の半ば以上が陣の握り拳に受け流され、霧散してしまう。
 死角からの蹴りを腕で受け止め、崩されたリズムを取り戻す為に、鈴鹿は目算で3m以上の距離を飛び退った。
 緩んでいた左のリボンが、スルリと解けてスニーカーの足許に溜まる。

「膝、悪いんでしょ? ジジイが無理しない方がイイんじゃないの?」

「鈴鹿クンこそ、忙しい割に3ヶ月前より強いやないの。
 若いウチから筋肉付けると、胸が成長せぇへんで?」

「うっわー、マジムカつく。上から目線もセクハラ発言も、全てが超ムカつくんですけど?
 そのクチ、地ベタに這いつくばらせてやるわ。」

 右のリボンも解いて足許に捨てた鈴鹿は、好戦的な笑みで可愛らしい唇を彩ると、碧眼を光らせて果敢に『現役呪捜官』に挑んでいく。
 壁際で水分補給していた禅次朗は、隣で汗を拭いていた伶路を見遣った。

「鏡、」

「先に言っときますけど、俺、胸のデカさとか拘り無いんで。
 更に言えば、まだ鈴鹿に手ぇ出してないんで。」

「・・・・・・。」

「何だよ、その『有り得ねぇ!』みてぇなツラぁよっ!!
 未成年押し倒す筈ねぇだろ?! むしろ質問自体おっかしいだろーが!! テメ、それでも健全爽やか系広告塔かよ?!」

「あぁ、堪忍したってや鏡クン。禅次朗はヤンデレむっつりタイプやさかいなぁ。
 だから彼女が出来んのや。健全爽やか系広告塔のクセに。」

「何だよ2人してっ! 健全爽やか系広告塔にも欲望くらいあるんだぞっ?!」

「ちょっと3人共っ!
 猫被り属性カワイイ系広告塔の前で、高校生みたいな猥談やめてくれる?! 聞いてて超恥ずかしいんですけどっ!!」

 ・・・という訳で。
 所属する陰陽師たちの成長の為、陰陽庁では頻繁に研修を開催している。特別講師を招聘した単発開催もあれば、ほぼ一定の講師で実施する定期開催もある。内容も座学から実技、普段は使わない種類のモノから、即戦実益まで様々だ。
 陣を相手に見事に背中に土を付けられて終わった鈴鹿が、伶路の手から自分のスポーツドリンクを受け取る。
 今回4人が参加予定の研修は『徒手格闘』。
 対人呪術が多く制圧格闘スキルが重要な、呪捜官。霊災から霊障を受ける危険を減らしたい、祓魔官。将来的にソレらへの異動を考えている、研究系。
 参加者は概ね、そんな所だ。今回は1泊2日の泊まり込み。それもあって少ない方だが、20人程が集まる予定だった。とは言っても本番は明日からで、前夜の今、4人がこうして泊まっているのは、自主練以外の何物でもないのだが。
 陰陽師になる為に才は必須。だがソコから更に頭角を現せられるのは、努力した者だけ。
 どの世界でも普遍の真理である。

「っ、宮地さんっ♪♪♪」

 ずっと気にしていた出入り口に現れた、人影。
 待望のヒトの姿を見出して、鈴鹿が歓声を上げる。つい今し方まで伶路の傍で笑っていたのに、彼に向ける以上の輝く笑顔で磐夫に駆け寄った。
 猫被り属性広告塔の激レア『子供らしい笑顔』に、見ていた『彼氏』と先輩たちのカオがベタ塗りになっている。

「鏡・・・ドンマイ。」

「うるせぇ黙れ錆び刀。『養い親兼上司(の片割れ)』なんて反則だろうが。
 ノーカンだ、ノーカン。」

「宮地さん、あのねあのねあのね、宮地さんっ♪♪♪♪」

「はいはい、ステイステイ。」

「安定のワンコ扱いっ?!
 あのね、さっき『黒子(シャドウ)』と組み手したの。初めて両手両足を使わせたわ。苦節数か月、初戦じゃロクに相手にもならず、手刀だけであしらわれて負けたのに比べたら、同じ負けでも進歩したでしょう?」

「現役呪捜官、それも十二神将相手にか。確かに頑張った方だな・・・負けは負けだが。
 実戦だったら死んでるぞ。」

「うぅっ、お説ごもっとも・・・。
 じゃ宮地さん、約束は? 覚えてる? 約束よ、宮地さん。アイツに両手両足使わせたら、新しい攻撃の型、教えてくれるって言ってたもの♪♪」

「ちょぉ待ってや、宮地室長。勝手にヒトの事、物差し扱いせんで下さいな。
 そんな約束、してはるの知ってたら死に物狂いで片手で対応しましたで?」

「フッフッフッ♪ 死に物狂いで片手で対応されるんだろうなって、知ってたから敢えて言わなかったに決まってるじゃない、『黒子(シャドウ)』。
 あたしの作戦勝ちよ。
 ね、宮地さん?♪♪♪」

「まぁ使わせたのは本当だ、師範の許可が下りたら、教えてやるさ。」

「やったっ♪♪」

 倉橋流・近接徒手格闘術師範・倉橋源司。
 陰陽庁長官殿は当代『最高』の陰陽師。近接格闘技も極めた異能のヒトである。術、武、学問、雅芸。文武両道、などというレベルではない。
 名家・名族というモノに逆偏見のある伶路でさえ、(鈴鹿の事を抜いても)一目置かざるを得ない突出した才能の持ち主だ。
 そして磐夫は、その源司と同じ師に付いて学び、源司の次席をキープし続けたヒトである。ちなみに武についての話だ。術の方は、専門が違い過ぎて比べる対象ではない。
 更に言えば鈴鹿は、その主席と次席、両方から薫陶を受ける身。両人の(武の)直弟子と言っても過言ではない。
 倉橋流は元々、宗家である土御門家の為に整えられた、護身の武術。複雑な身の上の彼女を案じ、防御の技を教えたのが源司。独学で歪んだ型を覚えそうになった鈴鹿に、きちんと体系だった攻撃の技を教えたのが、磐夫。
 サラブレッド。どこぞの双子霊視官より余程デンジャーなタイプの。
 それが陣と禅次朗の結論である。

「ひとつ、注意喚起しておこうと思ってな。特に鈴鹿に。」

「あたし?」

「明日朝イチの研修に、土御門泰純氏と山城隼人が来るのは聞いてるな?」

「はい。」

 世間話の延長に、さりげなく。
 『注意喚起』は鈴鹿ひとり。他の3人には、注意喚起した事実と内容を知らせておきたい、といった複雑な所か。
 無垢な碧眼で『師父』を見上げる少女の乱れ髪を、磐夫は穏やかに撫でつけた。

「山城の方は構えなくてイイ。倉橋長官の直弟子だ、いずれ陰陽一種試験を受けさせるし、合格もするだろう。同じ十二神将として陰陽庁の為に働く事になる。
 今回はその前フリ、職場見学のようなモノだ。
 鈴鹿は猫被りの必要はない。むしろ、するな。最初から本性見せておかないと、後で余計な苦労をする事になるぞ。そして鏡は山城をイジメないように。」

「イジメねぇよっ! 鈴鹿に手ぇ出さなきゃなっ!
 ついでに言えば、コイツの本性見て手ぇ出す物好きなんて俺くらいだろうよ。イヤホント、マジで。自分の趣味の悪さに泣けてくるわー。」

「ちょっとっ! 鏡はガチで、宮地さんもさりげなくヒドくない?!
 鏡、後で殺す!」

「その調子で本性出していけ、鈴鹿。」

「宮地さんっ!!」

「土御門泰純には、近付くな。」

「っ、」

 前髪の奥に隠された瞳、ソコに宿った真剣な光に、鈴鹿が目を瞠る。霊災現場で何度も見てきた『炎魔』の瞳だ。真面目に泰純を警戒しているのだろう。
 理解すればこそ、聡明な鈴鹿の心に、疑問がよぎる。

「宮地さん・・・長官も、前にあのヒトを倉橋家に迎えた時にも、同じ事言ってたわよね。土御門泰純には気を付けろ、宮地さんから離れるなって。
 どうして?」

「お前が泰純氏を嫌いだからだよ、鈴鹿。」

「理由になってないわ、宮地さん。
 正直あたし、土御門サン嫌い。それも不思議なの。別に何されたって訳でもなくて、あのヒト単品に、パッと見で危ないトコも、『生理的嫌悪』ネタも無くて・・・。
 あたし自身、人見知りなのは自覚してるけど・・・宮地さんなら、『人見知りを直せ。』とか言って、むしろ積極的に土御門サンの前に突き出しそうな気がするんだけど。」

「・・・ヤツは・・、目的の為に手段を選ばない。
 俺や倉橋長官にもそういう所はある。指揮官職には必須の資質だろう。が、俺たちの場合は『任務達成』が起点。ヤツの起点は、自分の欲。
 そういう人間に、お前は近付かない方がイイ。」

「それって、土御門サンが隠れ犯罪者ってコト? あたしの中の禁呪を利用したがってるとか。大連寺至道がしてた、何かの研究を欲しがってるとか。
 三流ミステリーにありがちな『謎の手帳』的な何かなんて、あのドグサレ外道から継いでないけど。
 宮地さん?」

「・・・・・・。」

「素直に吐いちまった方がイイっすよ、宮地サン。鈴鹿は好奇心旺盛で行動力もあるから、下手に隠すと暴こうとして、かえって『土御門泰純』に近付きかねねぇ。」

「言い付けは守るもんっ。
 宮地さんか長官か鏡と、ずっと一緒に居ればいいんでしょ? 簡単だものっ。」

「・・・・・・倉橋の秘術、知ってるな?」

「? うん。」

 知っているも何も、先日、施術してもらったばかりである。
 きょとんと純粋な表情で首を傾げる『秘蔵っ子』の、その柔らかな金髪に手櫛を通しながら磐夫は観念した。ありのままを話せば話すで、警戒心を煽り過ぎる事になる。故にあまり気が進まないが・・・仕方ない、事実は事実だ。
 どうせ『やらかした』泰純が悪いのだから。

「13で呪捜部に保護された時、鈴鹿の体は衰弱死寸前でな。点滴だのでは間に合わんってコトで、倉橋長官が術者となって、秘術を使う事になった。」

 禁呪を宿している事など、見る者が見れば一目で判る。保護された時の環境も劣悪だったし、それでなくてもテロリストの娘だ。生かしておいてもロクな結果は生まれないだろう。そう危ぶむ声もあった。
 見殺せ、と。
 その声を黙殺する程度には、その時既に、源司は鈴鹿を大事に想っていた。
 そしてその『大事な娘』の施術の場に、土御門泰純は・・・無断で入り込んだ。

「泰純は主家筋だし、腕利きの呪術医も抱えてる。それもあって、お節介な誰かが余計な気を回して知らせたんだろう。
 力場から少し目を離した隙に、すぐ傍まで近付いていてな。」

 コレが他の子供だったら、例えば『倉橋京子』でも、そんなには怒らなかったのかも知れない。だが・・・『鈴鹿』だった。他の誰でもなく。
 そして秘術は『水の』術。被術者は水球の中に浮かぶ。『一糸纏わぬ全裸』で。

「室長、それって一番あかんパターンやないですか?
 倉橋長官からすると『風呂場で寝てる愛娘のハダカを、覗き野郎に公然と覗かれてもうた』ってコトですよね?
 そりゃ長官でなくても怒りますわ。」

「泰純からすれば、鈴鹿というより術を観察していただけ、なのだろう。
 彼は星読みで、学者タイプの術者だ。人体実験に走る程の狂気は無くとも、人並み以上の知的探求心は持ち合わせている。水球の中の鈴鹿を見上げていたのも、霊水の質だの霊気の流れだの、使われている円陣の種類やその影響だの。
 術を分析していただけだと、当時も言っていたがな・・・。」

「その言葉自体に嘘はない、とは、僕も思います。
 でもやっぱ、そら泰純サンが悪い。もうちょい常識・・つかデリカシーちゅうモンを持ち合わせとくべきやったと思いますわ。
 普通の医療でも、男の外科医や内科医に抵抗感を持つ女性患者は居てはりますえ?
 まぁそこら辺の感覚の薄さは、学者系術者にありがちとはいえ・・・なぁ。
 長官にとって、鈴鹿クンは術の実験台やない。『娘』なんやから。医者でもあらへん野郎の目に晒して、気持ちええ筈あるかいな、ゆうハナシや。」

「同感だ。
 長官は烈火の如く怒り狂ってな。普段は冷静な人なんだが、鈴鹿絡みだから。ただでさえ疎遠だったのが、今は更に険悪になっている、という訳だ。
 泰純の方は今でも、長官が何を怒っていたのか。今イチ理解はしていないようだが・・・悪意あっての行動ではない分、余計にな。その態度が更に、倉橋長官の怒りと警戒心を煽る悪循環という訳だ。同じ事をしかねないと。
 今回は仕事と割り切っているのだろう。特別に、星読みを目指す者の研修の為に呼んだ。本当は他の者を呼びたかったそうなんだが、倉橋美代塾長に強く言われたとかでな。」

「・・・長官、お母さんとも仲、あんま良くは・・・。」

「言ってくれるな、大友。
 被術中、鈴鹿の意識は一切なかった。とはいえ意識の深層には、不快感が残っているのだろう。鈴鹿が泰純に隔意を持つのは、あの辺りが原因だろうと長官も言っていた。
 だから、鈴鹿。」

「宮地さん。」

「悪いのは事皆すべて、土御門泰純。
 お前がヤツに懐かないのは、ヤツ自身の不徳。お前は悪くないんだから、気に病まず、堂々と距離を取っておけ。
 ガチの性犯罪者ではないから、暗がりに引き摺り込むような真似はすまい。だが、無神経で人心の機微に疎い面があるのは『あの一件』で実証済みだ。
 口も利かなくていい。
 ヤツが帰るまで、鏡や大友たちの目の届く範囲に居なさい。」

「はい、宮地さん・・・。」

 納得する部分在り、改めて恐怖する部分あり、といった複雑な所か。
 しゅんと大人しくなってしまった鈴鹿の頭を、穏やかに撫でながら磐夫は意識して、話を変えた。

「明日、三善が休暇から帰ってくるぞ。」

「海外旅行でイギリス行ってきたんだっけ。」

「あぁ。鈴鹿への土産は魔導書だそうだから、楽しみにしておくといい。」

「やった♪ 三善さん大好き♪♪」

 多少空元気っぽくはあるが、笑顔にはなった。
 鈴鹿が三善十悟に懐いているのは事実である。天然マイペース特視官の方でも彼女を気に入っていて、何処かへ出かける度に手土産を買ってきてくれるのだ。
 経緯は理解した。改めて、源司や磐夫に『守られている』と実感する経緯だ。

「あと、鏡は泰純を殺さないように。
 流石に後始末が面倒だ。」

「いやいやいや、殺さねぇよ? 鈴鹿に手ぇ出さなきゃな♪♪」

 伶路の笑顔の裏に、『1歩でも近付いたらブッ殺す♪』と大書されているのが透けて見えて、鈴鹿たちは苦笑した。
 まぁ、問題はあるまい。土御門泰純が『徒手格闘』の研修に参加する事は無い。その次に予定されている、星読みの講師なのだから。せいぜい泰純を、伶路といちゃつく・・・もとい、絆を深める理由に使えば良いのだ。
 鈴鹿は安心して笑うと、彼の指先にそっと触れた。



 明けて、翌日。
 無事にモブ連中向けのエキシビションを終え、壁際に戻ってきた鈴鹿は、出る前と変わらぬ伶路の仏頂面に思わず笑ってしまった。
 普段の暴力行為を知っている身としては、『鬼喰い』の不機嫌などカワイイものだ。

「鏡、殺気飛ばし過ぎ。
 宮地さんも言ってたでしょ? 殺しちゃダメよ、鏡。」

「宮地サンにも言ったろ、鈴鹿。
 アレ以上お前に近付かなきゃ、殺しゃしねぇよ。」

 アレ・・とは、アレだ。今この瞬間も鈴鹿に注がれている、泰純の視線の事だ。
 星読みの講師は講師らしく、授業の準備でもしていれば良いものを。何と言って理由を付けたものか、2人とは反対の壁に凭れてずっと『見学』しているのである。その視線はモブはおろかエキシビの相手だった禅次朗ですらなく、鈴鹿ひとりに固定されていた。
 最初の挨拶以降、話しかけてくるでもなく、笑顔という訳でもなく。無表情で。
 普通にコワい。

「お前は大丈夫かよ、鈴鹿。怖くないか?」

「あたしは平気。宮地さんの話聞いて、かえってスッキリ割り切れたわ。嫌いなのは変わらないけど。
 鏡が守ってよね、あたしの事♪」

「攻撃は最大の防御ってのは、セオリーだよなぁ?」

「殺しちゃダメだって、鏡っ♪」

 流石に冗談でユラリと重心を移しかけた伶路の、その細く見えるが筋肉質の腕を、鈴鹿もまた冗談で両手を絡めて抱き締める。
 モブ連中が班ごとに分かれて準備運動を始める中、気の緩んで見える2人に、勢い良く声を掛けたのは『倉橋長官の直弟子』だった。

「大連寺・独立祓魔官、一手お手合わせ願いますっ!!」

『・・・・・・。』

 鈴鹿より3歳上、だったか。
 練武場中に響けとばかりに張りのある声を響かせたのは、黒髪黒目の、目許に幼さの残る青年だった。17歳という実年齢より下に見えるのは、瞳に宿った、理想と正義感に燃える真っ直ぐな光のせいだろう。ヤクザにしか見えない伶路と『陰陽庁のアイドル』鈴鹿を前にして、かなり緊張しているようだった。そういえば最初の挨拶の時も噛んでいたか。
 山城隼人。
 彼を前にして、同じ事を考えた鈴鹿と伶路は同時に溜め息を吐いた。

「土御門のオッサンも、こんくらいの可愛げがありゃぁな。」

「ね。考えが判り易きゃイイってモンでもないけど、判んないのもアレよね。」

「え? えぇっ?! 今何かディスられた気が・・・。」

「気にしなくていいわ、山城。相手したげるからいらっしゃい。」

「ちょっと待て、私の方が年上だぞ?! 敬語というモノを、」

「うっさい、あたしの方が祓魔官として先輩よ、試験も通ってない未受精卵野郎。
 それとあたし、苗字そんな好きじゃないの。あたしの事は『鈴鹿先輩』って呼びなさい、山城。」

「なっ・・!!」

「んじゃ俺は『神通剣』ブッ潰してくるわ、鈴鹿。
 長官の直弟子っつってもよ、実戦もまだの、所詮は見学者だ。殺すなよ?」

「りょーかい。そっちもエキシビで多少は消耗させてる筈だけど、殺さないでね、鏡。」

「りょーかい。」

 最後にコツンと拳を打ち合わせて、伶路と鈴鹿は背中を向けて、正反対の方向に歩いていく。伶路は禅次朗を誘いに行き、鈴鹿は隼人を連れて場所を探す。
 2人の間には、エロだけではない独特の妖艶さすら滲んでいて。
 修行一筋で免疫が無いのだろう隼人が、頬を染めるには充分な『大人の色気』だった。

「あの・・・ふ、祓魔官同士って、やっぱり・・、付き合い易い、んですか・・?」

「山城。」

「はいっ?!」

「色ボケしてないでとっとと構えなさい、腐れ×××。
 倉橋流・近接徒手格闘術。
 直弟子なんでしょ? あたしより長く長官から教えてもらっといて、まさかあたしに負けるなんてコト有り得ないわよね?」

「い、いやだなぁ鈴鹿先輩、ソレ本気で言ってます?
 現役祓魔官、それも十二神将と、試験も通ってない見学者ですよ? 勝敗なんて決まって、イタイイタイイタイっ!!!」

「うっさい黙れ三下っ!! 長官の直弟子からそんな情けない台詞、聞くだけで腹が立つのよっ!! 相手が強けりゃ負けてイイなんて道理、現場には無いんだから!
 本気の『神童』を負かして泣き入れさせた、くらいの伝説は作ってから受験なさい!!」

「はいっ!!」

「鈴鹿の事は、鏡に任せて正解だったようだな。」

「はぁ、左様で。」

 『愛娘』に飛び蹴り食らう『直弟子』の姿は見えんのか、この『天将』は。
 ツッコミたいのをどうにか堪えて、陣は隼人から目を逸らした。遠くから見るだけでも、結構痛そうだ。すまんな青年、文句なら師匠に言うてくれ。
 そう心中でのみ無意味な謝罪をする陣の手には、書類があった。土御門泰純に関する調査書だ。そもそも陣は、真面目に徒手格闘の研修など、受ける気は無い。泰純が鈴鹿に手出ししないよう、陰から彼の動向を監視するのが任務である。
 一見すると溺愛も度が過ぎているように聞こえるが・・・。
 陣も納得する、ある理由があった。

「泰純サンの面会記録です。直近半年を洗い出しました。
 具体名は中に書いとりますが、まぁ、見事に統一されてますわ。鬼、それも『鈴鹿御前』の研究者一色に。
 元々そない人数の多い分野やないですけど。古代文献の読み手、鬼降ろしの術者、東北の『御前』や『悪路王』所縁の土地のモンまで。主な研究者はあらかた網羅してはります。彼らの中には、秘密結社めいた連中もおるようで。
 『ただお友達と会うとっただけです。』言うには、少しばかり無理がありますな。
 そこへ来て、鈴鹿クンへの接近や。
 なんかある。そう考えるのが適切でっしゃろな。」

「秘密結社か・・・。
 大友。その結社の中に『黎明会』という名はあったか?」

「はい。
 回数も人数も、そちらさんの構成員が一番、多かったです。定期的に連絡取り合うとるのがソコで、他は単発。ソコの為の情報収集、といった感じですやろな。
 『黎明会』、聞かん名前ですが、何かありますので?」

「お前や木暮の入庁前の話だ。
 神代に実在した女鬼・『鈴鹿御前』の復活を目論んで、大連寺家に手出ししようとした事がある。呪捜部の働きで事なきを得たがな。
 組織立った活動としてはソレが最初で最後だった。名を上げる前に壊滅させたから、お前が知らんのも無理はない。テロリストというよりは、カルトに近い者たちだよ。」

「カルト、ですか。
 僕は鏡クンと違うて、あんま鬼には詳しゅうはないのですけど。『鈴鹿御前』を復活させて、ナニさせようとしてたんで? 何で大連寺家なんです?」

「『御前』が所持していた、三振りの神刀『大通連(だいつうれん)』『小通連(しょうつうれん)』『顕明連(けんみょうれん)』。
 その三振りは今、大連寺家が秘蔵している。
 田村麻呂と『御前』の血は、武家としての田村家が継いだ。大連寺家はその田村家に仕える陰陽師だったらしい。主家の守り刀を預かり、未だに保管している訳だ。
 『黎明会』は破滅思考の強い集団でな。『御前』を甦らせれば、かの鬼が日本を滅ぼしてくれると本気で考えていたのだよ。元々彼女は、天竺から鬼の国を作る為に来日した外の鬼だった。その続きをしてくれるに違いないと。
 3振りの神刀を媒介に、霊的に『御前』と馴染み易い、大連寺家の女に『御前』を降ろす。
 ソレが当時の『黎明会』の狙いだった。」

「また随分と、丼勘定でお花畑な『狙い』で。
 今の大連寺家は、倉橋家が全資産を管理しはってるんでしょう? 刀を始めとする、呪具や美術品一切を含めて。
 神刀は後回し、取り敢えず『巫女』役を先に確保してまおう、ゆう事なんですかね。」

「新生『黎明会』は、その可能性が高い。鈴鹿さえ手に入れてしまえば、刀の方はあの子の身柄を盾に、倉橋家から脅し取れると思っているのかもな。鈴鹿も刀も渡さんが。
 ただ、そこに土御門泰純が、どう絡んでいるのか・・・。
 良くも悪くも野心という欲がなく、策略的な面倒を嫌う男だと思っていた。少し、評価を改める必要があるかも知れん。」

「どうですやろ。
 かなり天然入っとるお人みたいやから、或いはただ利用されてるだけ、という可能性はありません?」

「・・・余計悪い。」

 泰純をフォローしたつもりが、源司の声を一気に低音にしてしまった陣は乾いた笑いと共に口を閉ざした。こうなってしまうともう、何をどう言っても煽りにしかならない。
 源司は陰陽師らしく直感を大事にするが、反面、指導者らしく論理的な思考も好む。無知を嫌い、惰性で流される姿を厭う。感受性が強い鈴鹿に、論理と直感とを両立させる方程式を教えたのは源司だ。盲信を否定し、彼女にも隼人にも『自分の頭で考えられる人間になれ。』と教えているらしい。
 ・・・多分、実子の『倉橋京子』にも。
 何も知らずに諾々と、安易に利用される。そんな姿は、源司の最も嫌う所だ。

「『黎明会』の方は、天海に言って継続した監視役を付ける事とする。
 大友、お前は引き続き、土御門泰純の監視を頼む。鈴鹿にあまり近付けないでくれ。」

「了解ですわ。
 鏡クンがメッチャクチャにガン飛ばしてますさかい、僕はソレに紛れて、こっそり見守らせてもらいます。
 何やら『あの』凶犬が鈴鹿クンの事だけは聖域みたいに大事にしとって、鈴鹿クンも鈴鹿クンでごく自然に受け止めとるし。あの2人見てると僕も彼女欲しくなってもうて。
 まぁ一番の計算外は、倉橋長官が何の試験もせんと、鈴鹿クンを素直に鏡クンにやってもうた、ゆう事なんですけどね。『倉橋長官が止めてくれなかったっ!』ちゅうて、禅次朗が涙酒飲んどりましたわ。」

「・・・正直に言わせてもらえば、『あのヤクザ野郎っ!』的に膝をつきたい心境だがな。もうしばらく、子供扱いで猫っ可愛がりしていたかった。
 だが、まぁ、鏡ならギリギリ有りだろう。」

「その心は?」

「大前提として『大連寺家の惣領娘』に、私は政略結婚というモノをして欲しくないのだよ、大友。政略結婚。アレは恐ろしい風習だぞ?
 『テロ行為をして死んだ男の娘』。複雑な立場だからこそ、『大連寺家に有利か不利か』に関わらず、鈴鹿自身が自分で選んだ男と添わせたい。
 選べるようになるまでは相応の時間が掛かろうし、それまでは心置きなく猫っ可愛がり出来ると、高を括っていた訳だが・・・。
 戦闘能力に加えて、鏡という男はアレで結構、情に篤く面倒見が良い。戦闘タイプの鬼を6体、控えさせているくらいだからな。統率できる人間がコミュ障な筈はあるまい。三下共との無意味な馴れ合いがイヤで『作って』いるんだよ。
 鬼という妖怪はプライドが高く、その高い矜持故に、あまり嘘を吐かない。孤高ではあるが仲間意識は強く、そして忠誠の何たるかを知っている。
 鏡伶路は、鬼のような男だ。
 鈴鹿の事も、一度心を決めたのなら、途中で怖じて放り出すような真似はすまいよ。鈴鹿がどんなトラブルに見舞われてもな。」

「長官にソコまで見込ませた鏡クンが凄いのか、その鏡クンに惚れさせた鈴鹿クンが凄いのか・・・。」

「何を言っている、大友。
 事皆すべて、ウチの鈴鹿が凄いに決まっているだろう。」

「・・・・・・・・あぁ、はい。一瞬でも疑問形で考えた僕がバカでしたわ。」

 こういう事を眉ひとつ動かさず、大真面目に口にする人だ、『ウチの長官』は。
 陣の脳裏に、呪捜部で渡り合っている大物犯罪者たちの顔がよぎった。源司と面識のない彼らは、『天将』の二つ名を持つ陰陽庁長官をそれぞれ理想化し、ある者はリスペクトすらしていたりするのだが。
 その実体はただの『義娘至上主義の行き過ぎた親バカ長官』。彼女を広告塔として用いているのすら、愛娘を世間に自慢したかっただけの職権濫用、と。そうとしか思えなくなってくるから不思議である。
 彼らに実体が知れたら、何と言われる事やら。

「っ、倉橋長官っ、いらしてたんですか?!」

 フッと気を緩めたら、元々軽かった隠形まで解けた。それは別に構わないのだが、隠形が解けた途端に見つけてくる『秘蔵っ子』の慧眼には恐れ入る。
 好きな人の姿は、たとえ古い写真の奥まった小さな影でも、目敏く自然に最優先で幾度も再発見してしまう。そういうモノなのだろう。
 鈴鹿はテテテっと何処か稚い様子で源司に駆け寄ると、しかし3歩程度の距離を空けて止まった。スポーツウェアの胸の前で固く両の指を絡め合わせ、見上げる碧眼にはキラキラと、敬意と好意に満ちた光が溢れんばかりに輝いている。
 それでいて距離は取る。周囲のモブ連中の『長官』を見る目に配慮して、過度に馴れ馴れしい態度は慎もうというのだろう。トップとしての威厳に関わるからだ。
 甘さを享受するばかりの愚かな14歳では、この配慮は無い。普段が『ああ』なのに、否、だからこそ、たまに見せるこういう健気さが余計に可愛らしいのだ、鈴鹿は。

「お疲れ様です、倉橋長官っ。
 この後のご予定、空いておられましたら、一手ご教授頂けませんか? 久し振りにお手合わせ頂きとうございます。」

「ふむ。そうだな。
 怪我から回復して以来、敢えて武術の鍛錬は控えてきた。この辺りでひとつ、今の状態を見せてもらおうか。
 私に1発でも入れられたら、何か褒美をやろう、鈴鹿。」

「3発、入れてみせます。そしたら長官、ご褒美、3つ下さいね?♪」

「大きく出たな。だが悪くない。
 山城にも、それくらいの空度胸があって欲しいものだが・・・どうにも殻が厚い。」

「殻の厚さは、そのまま成長の幅ですわ♪
 倉橋長官直々に見出されたお弟子ですもの、しっかり成果を上げて下さると信じております☆」

 超訳=長官の期待に応えられなかったら、あたしが山城をコロス☆

「副音声丸聞こえやちゅうねん。」

「あら大友先輩、何か聞こえておられますの?☆」

「いや? 鈴鹿クンはいつもお行儀ええなて、感心してん。」

「ありがとうございます。倉橋長官のご指導を、賜ったお陰ですわ♪」

 あはは。ウフフ。部下と愛娘の水面下の応酬を、敢えて止めもせず、源司はスーツの上着を脱ぐと当然のように陣に渡す。ワイシャツの両袖も肘まで捲ると、重心を整えた。

「♪♪ 暫しお待ちを♪」

 はしゃいだ声音で、しかし鈴鹿は源司を待たせてまで髪留めに手を伸ばす。両方のリボンを解いてツインテールを崩すと、水浴び後の猫のように頭を振って自ら乱す。
 手近で打ち合っていた伶路と禅次朗の許へ駆け寄ると、リボンを伶路に手渡した。
 2人はそのまま、戻って来た彼女にくっ付いて来た。

「俺たちも見てていいでしょう? 長官。」

「見稽古させて貰います。
 アンタが武術使うトコなんて、滅多に見られるモンじゃねぇんでね。」

「髪の乱れなんて気にしてたら、折角の機会に何も学べないもの。
 リボンも解いたし、あたしの準備は万端です、倉橋長官♪」

「学習意欲の高い部下を持って幸運だよ、私は。
 打ち込んでおいで、鈴鹿。」

「宜しくお願いしますっ♪♪♪」

 愛娘の打突を嬉々として跳ね返す源司を見て、陣は『こりゃ山城クン終了のお知らせや。』と苦笑した。若者たちの意気に当てられてか、普段冷静な大人である源司の口許も楽しそうに笑んでいる。さんざん鈴鹿に負け、隅の壁で失神させられている青年陰陽師は、後でこってりと絞られることだろう。
 何も知らぬ隼人は、夢の中で幸せそうな寝言をほざいていた。



 お泊まり研修。
 ・・・の醍醐味と言えば、やはりお泊まりである。1泊2日、一夜だけであろうが、場所が普段仕事している陰陽庁内部で、ただ地下になっただけであろうが。
 とにかく、泊まりである。

「掃き溜めに鶴、だな。」

「いやぁ、ええ眺めやねぇ♪♪」

「最近言う事がオッサンじみてきてるぜ、先輩方。」

 夜中まで武術漬けで稽古し、風呂場で汗を流した陣、禅次朗、伶路、そして隼人。
 ちなみにこの『仮眠室に併設された風呂場』とは、最新デザインの格好イイ『シャワールーム』などではない。レトロな公衆浴場を思わせる、古風極まりない共同風呂である。改築の要望は三下どもから絶えないのだが、『野宿、という選択肢も現場には有り得る。雑魚寝や共用風呂といった集団行動に慣れるのも、訓練の内だ。』と言われては、返す言葉も無い。実際に源司や磐夫も同じ風呂を使っているのだ。
 流石に女湯と男湯くらいは分かれているが。
 女湯から先に上がったら、ココで待ち合わせしよう、と。
 そう決めた場所に、果たして少女たちは待っていた。少女『2人』は。
 有象無象の群像の中に、スポットライトでも当てているかの如くにひと際輝く、健康健全な色気漂う風呂上がり姿の、共に14歳前後の少女たち。
 まさに、掃き溜めに鶴。他の群像共が霞んで見える。むしろ目に映らなくなる。

「鈴鹿。那智。」

「っ、見て見て鏡、那智に結ってもらった♪」

「へぇ、カワイイじゃん。」

 伶路の短い呼び声に、彼女たちが駆け寄ってくる。
 金髪碧眼の華やかなゴスロリ少女と、黒髪黒目に、裾に蝶をあしらった黒い小袖の、しっとりした和服少女が。
 和服少女・・・伶路の式鬼・那智が、駆け寄ってきた勢いのまま彼の腰に抱きつく。ゴスロリのスカートの裾を翻した鈴鹿が、いつもと違う髪型を伶路に見せ、褒め言葉にご機嫌になる。
 金髪をあらかた下ろし、細い三つ編みを後頭で結わえた姿は身内の欲目を抜いても、確かに似合っていた。対する那智の方も、風呂上がりだというのに、腰まである黒髪には綺麗に櫛が入れられている。
 湯上がり美少女2人が、互いの髪の結い合い、梳き合いをして笑み交わしている図。
 想像した野郎連中の感想は、ひとつしかない。

「いつ見ても羨ましい・・・。」

「なんでこんなヤクザが美少女2人も侍らしてんねや・・・。」

「知るかよっ。
 鈴鹿はともかく、那智は俺の式鬼なんだぜ? 同じようなのが欲しきゃ、テメェで下せばいいじゃねぇか。使役式なり、護法式なり。
 性悪ヤクザに出来たんだから、アンタらにだって出来るでしょーが、先輩方。」

「うっわー、サラッと嫌味な後輩やな、キミも。
 鬼を下す。言う程簡単やないんやで? 鬼探し自体も骨やし、力押しで倒せば従う程ヤワな妖怪でもあらへんし。
 最近1体追加して、今6体やろ? なっちゃん入れて。
 鬼の倒し方よりむしろ、倒した鬼に何て言うて交渉して傘下に入れたのか、その交渉能力の方が気になるわ。シェイバ相手にす~ぐ手も足も出る暴力ヤクザのクセに。」

「っつってもなぁ・・・。
 シェイバは闇オークションで競り落とした日本刀が、無銘だと思ってたら真正の『髭切』で。ポン刀持ち歩くのがウゼェ、めんどい、と思って、じゃ『髭切』自体に歩かせりゃいいんじゃね? って発想から創った、人造式だし。
 創ったら創ったで、言う事聞かねぇし物覚え悪ぃし、挙げ句に禁呪指定食らって手間掛けさす問題児だったけど。」

「流石、鏡に創られただけはあるって感じだよな。」

「うっせぇ黙れ錆び刀。
 那智は、まぁ、込み入った事情があって、主になれる使い手を探してたんだよ。倉橋長官から『お前やってみねぇか。』っつって紹介された鬼でな。
 だから俺自身は、何も交渉してない。
 『酒呑童子』は・・・アイツ、ただの女好きのナンパ野郎だぜ?
 『俺と契約すりゃ、霊力補給の為に人を食う必要はねぇだろう。喫茶店出す金ならくれてやるから、そこで好きに店の客でも口説いてろ。』ってな。
 そう言ったら野郎、速攻で乗ってきやがった。今じゃ吉祥寺で、そこそこ有名な喫茶店のマスターやってご満悦だよ。
 鬼の霊気の質は、メンタルの満足に大きく左右される。俺は酒呑の霊力だけに用がある。奴は戦いたくないし、好きな店やって女に囲まれてれば満足だ。
 ギブアンドテイク。
 他の鬼も、それぞれ欲求をひとつ満たしてやれば大人しいモンさ。強くはあるが、好戦的な妖怪じゃねぇんだし。満たしてやれないような、異常な嗜好持ってる鬼とは契約しなきゃイイ。
 大事なのは交渉能力ってより、性格的な相性を見る目だろう。」

「勉強になります。」

 隼人から零れた呟きに、伶路が黙って肩を竦める。
 陰陽術の腕前は確かなのだろうが、源司も案じていた通り、殻が固そうだ。真面目で真摯な好青年・・・なだけでは、陰陽師として大成する事は出来ない。何故なら陰陽術の神髄のひとつは、人心の闇を自在に操る事だからだ。
 表裏取り交ぜて理解し、時に罪科を赦し、時に残酷に『利用』する。
 その辺りがまだまだ、4分の1人前、といった所か。

「鬼が欲しいなら・・・取り敢えず山城、テメェ、資金だけは確保しとけよ?」

「資金、ですか? 呪具とかではなく?」

「鬼相手に、小細工なんざ通用するかよ。最後は力押しで勝つしかない・・・というか、鬼の性格によっては戦闘にならない場合もある。
 俺が酒呑を下した時みたいにな。」

「戦わ、なかったんですか?
 私はてっきり、妖怪とはまず力で下さねばならぬものと。」

「陰陽師なら、そういう乙種言霊的な思い込みは捨てろ。
 酒呑の時は、ヤツが女攫おうとする所を押さえたんだよ。俺の式符を見て、ヤツが最初に何つったと思う? 『戦いたくないっ!』だぜ? 拍子抜けもイイトコだった。
 『なら何がしたいんだ。』って訊いたら、『店がやりたいんだ。』ってよ。
 何の脈絡もなく、いきなり店ときた。ちょっと待てテメェ訳判らん。日本の妖怪なら日本語喋れ。ってコトで、色々角度変えて質問してたら、いつの間にか話が纏まってた訳だ。
 『戦闘には使わない、メシ屋に全額出資してやる。生きるのに必要な霊力は俺がくれてやる。その3つの条件を満たす代わり、俺と契約して式鬼になって、霊力の全てを俺に寄越す。』ってな。
 結局、式符の一枚、禹歩の一歩も使わなかった。
 交わしたのは拳でも刃でもなく、100パー言葉だけだ。
 説明が下手な野郎でな。結局ガチで半日、話し込んじまった。東京の端っこ、場末の高架下で、野郎2人が12時間だぜ? 我ながら何やってんだって感じでよ。
 実はソレ任務だったんだよ。『女性連続誘拐事件』の解決っていう、呪捜官時代の。
 ハナシ纏めて、携帯見たら天海のジジイから何度も着信入っててよ。帰ったら帰ったで、電話くらい出ろってすげぇどやされたモンよ。戦闘中って訳でもなかったし、流石に言い訳出来ねぇわー、って思って大人しく説教されてたら、それが高評価だったのか、酒呑を俺の式鬼にって話は、意外とすんなり許可が下りた。」

「何というか・・・個性的な馴れ初めです、ね・・・。」

「使役式と主の出会いなんて、長話が隠れてて当然だろ。向こうだって、半端な覚悟で人間に頭を垂れる訳じゃねぇんだし。
 で、だ。俺が呪具より資金が大事っていうのは、酒呑みてぇな、力で解決出来ない要求を突き付けてくる相手を下したい、使役式にしたい場合の話だ。
 ぶっちゃけ言おう。
 そういう交渉事に掛かるカネ、一切は自分持ちだからな。『私物』扱いなんだから当たり前っちゃ当たり前なんだが。たとえ『任務にしか使いませんから半分持って下さい。』っつっても、補助金なんざ出やしねぇ。」

「鏡先輩が『店に出資した。』っていうのも・・・?
 任務先で出会ったのに?」

「事件解決の手当ては給料の内。
 解決と、俺が酒呑を式鬼にしたのは別の話。」

「・・・・・聞くのが怖いんですが、参考までに。
 いくらかかったんですか?」

「敢えて、金額は言わねぇよ。額の問題じゃねぇからな。
 土地代、建築費、広告費。業務用冷蔵庫とかの調理機材費、スタッフの人件費、食材調達費。それ以前に、調理師学校の学費もな。
 一切だ。
 だから土地の名義人は、俺になってる。店の代表者名は酒呑の人間名だけどな。偽の戸籍を作っちまった訳だが、やってる事が平和的なのと、有事の際に陰陽庁の即席会議室にするって条件で、長官たちには黙認してもらってる。」

「学費っ・・・イチ式鬼の為に、そこまで出しますっ?!」

「うるせぇ黙れ。
 俺が酒呑と交わしたのはそういう契約だ。店が軌道に乗るまで、乗ってからも経営難の時の、建て直しに掛かるカネまで含めて、一切全てを面倒見ると。
 金額の問題じゃねぇ。酒呑と自分を相手に、何処まで義理を通すかの問題だ。
 山城よ、テメェも先々使役式を持ちたいってんなら、そこまできっちりスジ通すつもりで腹ぁ括っとけよ?」

「はいっ。」

 不本意だが、こんなヤクザ、倉橋師匠の足許にも及ばないのに・・・、それでもやっぱり格好イイ・・・!!
 青年のカオにそう大書されている、されてしまったのを、陣と禅次朗は遠い目でにこやかに眺めていた。確かに今の台詞を聞く『だけ』ならば、筋目を重んじる任侠ヤクザ、という解釈が成立しなくもない。それでもヤクザはヤクザだが。
 隼人が十二神将となり、間近で伶路の暴力癖を見た時に、どんな風に幻想が崩れるのかが楽しみ・・・もとい、心配な先輩2人である。
 そんな幻想など欠片も持たぬまま素の『鬼喰い』に惹かれた『神童』は、彼の話に上機嫌で耳を傾けていた。

「鏡って、意外と面倒見イイのよね。
 那智の為にだって、手話覚えたり、ご飯手作りしたり。宮地さんに火界呪習ってるのだって、那智の為が大きいんでしょ?」

「別に那智の為『だけ』じゃねぇけどな。
 那智は火の性が強い鬼。俺が火行に強くなれば、那智のハイスペックを100%近くギリギリまで引き出せるし、那智自身の霊力も更に嵩増し出来る。そんだけの事だ。
 色々と訳アリだからな、那智は。俺が居ない時でも、本人の思うように応戦できるようにしといた方が都合がイイんだよ。」

「那智にとって、ね。」

「手話だって『俺にとって』手軽な意思疎通手段が欲しいと思っただけなんだからな?
 ただでさえ普段は『声』を封じてて、一定の負担を強いてる。自由にモノが言える手段は、確保しとくべきだろうが。筆談だけじゃ、紙とペンが無けりゃ意見が言えねぇのか、って話になるだろ?
 ハンドパス覚える頭がありゃ、手話なんてすぐ覚えられんだよ。大した手間じゃない。」

「那智の為になる事だもの、そりゃ手間じゃないわよね。」

「テ・メ・ェ・なぁっ!」

『この色、れーじに買ってもらったけーこーペン。しんしょく☆』

「わ~売り切れ続出のヤツだ♪ 鏡、並んだんだ?
 良かったわね、那智♪♪♪」

「テメェら、どうあっても俺を『雨の日に捨て犬を傘に入れる不良キャラ』に仕立ててぇらしいな・・・あと並んでねぇ。予約だ。
 酒呑の店の贔屓が、ソレ出してる当の文房具メーカーの社長なんだよ。那智が好きそうな色を出すって聞いて、その場で予約したのっ。簡単な話だろ?
 こんなお手軽ネタで喜んでんじゃねぇよ、那智っ。」

『やだ。喜ぶ。うれしい♪』

 袂からB5サイズのスケッチブックを出し、手話ではなく敢えて筆談で、更に派手な色の蛍光ペンまで使って文字を彩って見せる和服少女。
 跳ねるような大きな文字に、明るい色遣い。和服だからと言って、お淑やかで大人しやかとは限らない。素顔の那智は結構な元気少女なのだろう。
 コレで沈黙は、確かに精神的にきついかも知れない。否、確実にきつい。
 そこを慮って与えた、筆談と手話。配慮できる洞察力。
 不自由すら、愛情表現の手段にしてみせる繊細さ。

「鏡先輩って・・・。」

「ツンデレっ娘の彼氏はツンデレ野郎でした、ちゅうコトやな。
 ちなみに青年、使役式を使う陰陽師。カッコ良くてモテるように見えても、意外とパートナーの出来る確率は低い。何でやと思う?」

「???」

「使役式と恋愛相手の相性が、大抵は悪いからや。
 女の主と、男の使役式。または男の主と、女の使役式。あるいは同性でも。大前提として、『霊的契約』っていう、色恋沙汰では超えがたい絆がある訳や。加えて戦闘タイプの陰陽師とその式神の場合、互いに命を預け合う『戦友』な側面もある。
 甘~い恋愛を楽しみたい子、自分が一番愛されたい子。そういう子ぉからすれば、そりゃもう妬ける関係性やね。
 だからゆうて、式神の方にもプライドがある。実際の現場、戦場で実際に主を守ってるのは自分や、ゆうプライドがな。
 陰陽師的にも軽々に手放せるモンでもあらへん。
 さっき鏡クンも言うとったけど、式神と陰陽師、互いに半端な覚悟で契約を結ぶヤツなんかおらへんねん。必ず長話が隠れとるもんや。
 嫁・小姑戦争・勃発。無条件に小姑の勝ち。嫁の勝ちな場合もあるけど、嫁を選ぶヤツは、大抵陰陽師としては大成せぇへんね。」

「俺の天狗たちも式神で、同性。しかもアイツらは人型ですらないんだが。
 それでも妬く女の子は妬くもんな。正直『どうして?』って思うけど。まぁ、いくら困惑しようと現実問題、醴泉(れいせん)たちが居ないと俺が困るし。そういう彼女とは別れるしかないんだけどさ。
 使役式を持ちたいなら、その辺りも覚悟しといた方がいいと思うぞ?」

「同じ陰陽師ですら、理解してくれへん子はおるもんやしな。
 そういう意味でも・・・。」

 陣の、そして禅次朗や隼人の視線が、鈴鹿を捉える。
 『彼氏の式鬼(女)と手に手を取って戯れる』鈴鹿を。
 視線に気づいたゴスロリ少女は、那智の白い手をギュッと握って満足そうに微笑んだ。

「あたしは那智の事、好きよ?
 同年代の女友達なんて、出来た事なかったもの。他愛のない世間話がマジ楽しい。鏡抜きでいつでも話せるようになりたくて、手話だって覚えたんだから♪
 まぁそれも鏡に教えてもらったんだけど。」

『那智も鈴鹿ちゃん、好き♪
 れーじは鈴鹿ちゃんのこと、大事にすべきだとおもうの。もっともっと、さいだいきゅうに大事にすべきだとおもうの。
 鈴鹿ちゃんにフラれたときが、れーじの恋愛運がつきたときだとおもうの。』

「主の恋愛運を線引きする式鬼が、何処の世界に居んだよっ!
 ぶっ殺すぞ、那智ィっ!!」

『あなたのとなりに、いつでもいかいはひろがっている・・・♪』

「お前ホント、そういうアニメネタ、何処で拾ってくんの?!」

「・・・そういう意味でも、僕は鏡クン、爆発して死ねばええと思うんやけど。
 禅次朗、どう思う?」

「うん。寝てる間にプラスチック爆弾とか、頭に括り付けてやればイイと思うな。」

「エラく具体的で、そんでもってエグい発想やなっ。
 そこら辺の発想がコワいから、女の子みんな逃げてくんとちゃうか?! 天狗のせいにするのは醴泉たちが可哀想やでっ。」

「そういう陣だって、一度書庫に籠ると1週間は出て来なくて放ったらかしにされるって、お前の彼女に泣き付かれた事あるぞ?!
 誕生日も忘れられた、もう耐えられないってっ。」

「仕方ないやろ、平安クラスの古文書なんて、現代語の訳本なんて売られてるかいな。自分で訳そ思うたら、1週間籠っても時間なんてよう足らんわ。」

「大友先輩ざまぁ♪
 俺には那智が居ますから? 古文書なんて全っ部、那智に読ませて訳させてますけど。」

「キミはもうホンマ、マジでそういうトコ可愛げないわー。
 偉大な先輩相手に、なっちゃん貸し出したろ、くらい思わんかいな。」

「那智、貸し出されたいかよ?」

『イヤ。那智はれーじ専用。れーじ専属の現代語翻訳家♪』

「だってさ。大友やっぱザマァ♪♪♪」

「死ね。次の任務で頭撃ち抜かれて死に晒せっ。」

「・・・・・。」

 我知らず、隼人は遠い目になっていた。
 この先輩たちの会話の中に、入っていける気がまるでしない。師である源司は、この数年の内、20歳前には陰陽1種試験を受けさせる、今回の見学もその一環だから、自分が任務に当たる姿を想定しながら研修を受け、内部を見学せよ。そう言っていたが。
 本当に自分は、この個性的な先輩に囲まれてやっていけるのか。不安になってきた。
 そうして不安に駆られている時でも、否、だからこそ、何かに縋りたくなるのか。目の端に引っかかるのは、流れるような金髪の癖っ毛だった。
 ドライヤーを当てていないのだろう、まだ僅かに湿っている。セットなどしなくてもソレがデフォルトなのか、とても綺麗なラインを描いて、蛍光灯の光を弾いていた。陽の光の下で揺れれば、更に美しいだろう・・・今日は1日屋内だったので、見る機会がなかったのが惜しまれる。
 隼人の視線に気付き、上機嫌の碧眼がトロンと、蕩けるように微笑む。
 瑚珀のような笑顔だと思った。
 その『瑚珀』が・・・欲しいと思った。伶路の隣で輝く『瑚珀』が。
 ほんの一瞬だけ。

「そろそろ消灯時間ね。
 ねぇ鏡、銃の手入れ、してから寝るでしょ? 見に行っていい?」

「構わねぇよ? しっかしテメェも好きだな、鈴鹿。
 ハンドガンだのライフルだの、バラして油塗ってまた組み立てるだけだぜ? 見てて楽しいのか?」

「楽しいわよ、そりゃ。何度見ても飽きないわ。」

「あ、あのっ、私も見ていて宜しいでしょうかっ。」

「あ? ダメに決まってんだろ、ンなモンよ。
 知らないようだから教えてやるが、銃火器の手入れは『暴発』と隣り合わせだ。猟銃の暴発事故で死ぬなんざ、猟師の間じゃ結構ありがちだぜ?
 『倉橋長官の直弟子サマ』なんて事故に巻き込んでみろよ、生き残る方が怖ぇわ。」

「鈴鹿先輩はいいんですかっ?!」

「鈴鹿はいーの、ぶっちゃけ事故んねぇ自信あるし。
 でもテメェはダメっ! 『兆に1つ』の可能性がある限り、『倉橋長官の直弟子サマ』はコンクリにでも詰められとけ箱入り息子っ!」

「さりげなく折り込まれる殺意っ?!」

「敏感だな鏡。」

「敏感やねぇ鏡クン。」

「? 何が?」

 隼人の横恋慕を無意識レベルの敏感さで感じ取り、本能レベルの反射神経で遠ざけようとする伶路。
 陣と禅次朗には丸見えで、気付いていないのは当の『お姫様』鈴鹿だけだ。きょとんと傾けた小首に合わせて、乾き始めた金髪がサラリと流れる。
 その時唐突にスピーカーが告げた警戒令に、5人の鼓膜に緊張が走った。

『伝令、伝令。
 木暮禅次朗・大連寺鈴鹿・鏡伶路・大友陣、および山城隼人。各人とも、速やかに司令室に集合せよ。
 災害救助任務・発生。鏡伶路は、私物の銃火器を携帯するように。』

「ですって、鏡。
 一度寮に戻る? あたしが取って来てあげましょうか。」

「いや、いい。一式纏めて、鍵の掛かるロッカーに入れてあるからよ。
 しっかし、室長たちも人使いが荒いぜ。私物って判ってて使わせるかフツー。」

「いいじゃない、弾薬とか全部経費で落ちるんだし。」

 そう言って笑う鈴鹿に、伶路もそれ以上はウダウダ言わなかった。知っているのだ。彼女が彼の射撃姿を、好ましく思っている事を。
 ふと、自分の腰に凭れるように寄りかかる、黒い式鬼に目を留める。頭を撫でる、という存外に優しい仕草と裏腹に、伶路の指示は極めて現実的だった。

「那智。
 テメェは引き続き、鈴鹿の護衛に付け。土御門泰純の動きに気を付けろ。天の災いなら、土御門家の策略って事ぁねぇ筈だが・・・。
 どうにも引っかかる。タイミングが良過ぎる気がしてな。」

『了解♪ 任せて、れーじ。
 れーじの大事なもの、那智が一緒に守ってあげる♪』

「頼んだぜ。」

「持つべきものは出来た式鬼、やねぇ鏡クン♪」

「はいはい、今ほど那智が女で良かったって思う事ぁないッスよ、マジで。俺が風呂場の中まで護衛する訳にもいかねぇし。
 まぁ女鬼なら、誰でもイイって訳でもないけど。
 シェイバの女版が居ても、安心して鈴鹿を任せられませんし? やっぱり『那智だから』安心安全ってね?」

「うーわー、とうとう開き直ってリア充満喫し始めちゃったよこの子。」

「羨ましいなら、彼女の誕生日くらい書庫から出てきやがれこの甲斐性なし。」

『十二神将、早く来いっ!!』

「は~い!!」

 見計らったような磐夫の叱声に、ようやく『十二神将』が走り出す。
 この独特なノリについて行けるのか。隼人はやっぱり不安になってきた。



                ―FIN―

独立祓魔官の愛ある日常 ~喧騒と喧騒と静寂と~

独立祓魔官の愛ある日常 ~喧騒と喧騒と静寂と~

研修×鏡鈴×泰純・隼人。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-01-13

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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