遠くへ

冬子

日が沈み暗闇と寒さがしんしんと積もる青白い部屋の中で、私は静かに目を閉じた。瞼の裏に赤と青がチラチラと現れて、サラサラと流れてゆく。身体は重くなり、何かにすっぽりと覆われてしまう。足の指先が痺れてきて、身体の感覚が全て奪われようとしている時、私はふと起き上がる。すると身体は驚くほど軽く跳ね上がる。浮かび上がる。目を開くと目の前に私がいる。眠っている私だ。そのままスイスイと部屋の中をまわってみる。思うように身体を動かせることを確認すると、窓を通り抜けて藍色に侵食され始めた空に私は飛び出す。もうここに帰らなくてもいいように、出来るだけ遠くへ行かなければならない。

遠くへ

遠くへ

使おうとして使わなかった断片

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-05-18

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