俺たちが生きるイミ

真実とは

果てしない世界に俺たちはいた。
何かが生まれては死んでゆく。
変化と進化を遂げ、それらは星の消えてゆくように、すべての終わりに向かっているのだ。
その光景を知る者はいない。
時と波の流れはこの世界のどこまででも続いていて、いつかは散りゆくことを知っている。
かつてあったこと、これからあること。
因果と波動を超えた夢の隙間に俺たちは佇んでいるにすぎない。
なんと儚いことか。
すべてが流れゆくときのなかの風に過ぎず、その価値はどこかで消えていく。
万物を統べた存在は今日のようにそこでそれらを見つめているのだ。
悲しきかな、哀れかな。
病めるときも健やかなるときも、この世界に表情は見られなかった。
それでも生きた証拠を見せ付けんばかりに膨れ上がる彼らを見て、散りばめられた宝石たちは哀れだとつぶやく。
法則と秩序の枠外に位置する存在は、深淵の慈しみに抱かれて舞い降りるのだろうか。
罪にとらわれていながらその鎖が見えない彼らにとっては価値あるものもわからないのではないか。
喜び、悲しみ、愛し、憎み、嬉しくも憂い、尊び、蔑む。
存在しない場所に物を求め、錆びついた世で命を知る。
なんと幸せなことか。
俺たちは何も知らずして朽ち果てる魂そのものなのだ。
理想と希望あふれるなかにおいても見えるのはひとときの快楽と絶望だけだ。
俺たちが生き死にゆくここは、一体どこなのだろうか。
まだ見ぬ世界の真実を得ないまま息絶えていくさだめでもよいのだろうか。
許容されない現実に苦しみ、絶え絶えの重荷を背負って地に埋もれてゆくだけの存在なのだろうか。
暗闇のなかでさえ彼らはすがる思いで扉の向こうへ歩もうとする。
明け放たれた先にあるものを求めず、その行動原理に価値をつける。
日が沈み、星々が天を覆うとき、大地は安らかな静けさに染まる。
風と共に波を起こし、生命の誕生に貢献した大海原は繁栄と開拓の命を授かって生きている。
はるか遠い昔から繰り広げられてきたこの偉大なる生きた証は今日もまた、旗をひるがえすのだ。
生きとし生けるものが誕生し、魂と存在意義を宿してここに降り立った。
俺たちが見えている空間はあまりに狭すぎる。
尊くも麗しきかな。
命と心の地平線を俺たちはまだ見ることができないまま、死にゆく道に立ち続けるのだろうか。
すべての事象の源とその先にある真実とは何なのだろうか。
生きるとは何だ。
生きているとは何だ。
すべての終わりに俺たちは何を見つけられるのだ。
叶えられぬ夢と里程標に無意味な自論を植え付け、故意に狭められた現実という名の演台に立たされる。
この世界の裏にある真相も知らぬまま、こうして世界の歯車はいつからか狂いだすようになった。
俺たちはまだ、掲げられた旗の代償を天にゆだね、一瞬の先を学ぼうともしないまま生きている。
果てしない世界に俺たちはいた。
何かが生まれては死んでゆく。
森羅万象を覆す万物流転とその帰結。
すべてはまだ闇のなか。
俺たちを迎える未来は、俺たちが創る未来である。
尽きることなきこの世界の真理を俺たちは、今日も探してゆかねばならない。

俺たちが生きるイミ

俺たちが生きるイミ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-04-15

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