ロウソクの隙間

ロウソクの隙間

ロウソクの隙間

 ふーっと吹いたロウソクが消えて、部屋が真っ暗になった。

 そしてお母さんが電気が点けたら、その瞬間に僕は七歳になる。

 僕はこの間がとても好きだ。

 六歳でもない、七歳でもない、ちょっとだけ時間が乱れてしまったような、特別な時間だと思う。

 そんな時間の中にずっといたいと思ったり、でも、七歳になるのも楽しみだったりして。

 そんな自分の心の揺れる感覚も好き。まるで雲の上に心を置いているみたいに不安定で、そしてちょっぴり気持ちよかったりもする。

 お母さんが立ち上がったのが、気配で分かった。

 電気はもうすぐ点いてしまう。

 僕が六歳でも七歳でもない、この間の特別な時間もすぐに終わる。

 だからもうちょっとだけ目を瞑っていよう。

 そしたら電気が点いても、少しだけその時間の中にいられるような気がするから。



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ロウソクの隙間

ロウソクの隙間

その間の特別な時間。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-02-04

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