白い現 終章 白い現 二
剣護は自ら作った結界に相川鏡子を招き入れ、彼女に若雪の面影がある理由、彼女がの死がもたらすものを聞き、真実を知る。
終章 白い現 二
二
そこは、それまでにいた荒んだ空間とは比べものにならないくらい、鏡子にとって心和む、穏やかな世界だった。
この世で最も愛する色。剣護の瞳の色が、身を包んでいる。
それだけでも幸せで泣けてしまいそうな鏡子の前に。
「…よお、相川。お前、また痩せたんじゃねえの?」
優しく笑う剣護が、佇んでいる。自分を見ている。
Tシャツに裾の擦り切れたジーンズという、あくまで飾り気の無い格好に加えて素足だ。
彼自身も最後に会った時より、少しやつれたように見えた。
「門倉君」
「うん。俺な、今からお前の望み、叶えてやる。けどその前に、答えてくれないか」
「――――何?」
何にでも答える、と鏡子は思う。
今、剣護が口にしたことへの喜びと引き換えになら。
「どうしてお前は若雪に似てる?…ただの偶然にしちゃ、出来過ぎだ」
鏡子の顔が、固まる。
剣護がその問いを口にするのは、詰まる所、真白の為だ。
真白の為に、彼女が嘆く可能性を排除しておこうとしている。
いつでも、剣護の行動の指針になるのは真白の存在なのだ。
自分と二人でいて、自分の望みを叶えてくれようとする、こんな時でさえ。
悔しくて寂しくて、妬ましかった。けれど鏡子は答えよう、と思った。
現在、こうして剣護が傍にいるのは自分だからだ。
自分の傍にいて、望みを叶えると約束してくれたからだ。
彼は決して約束を破らない。
「…門倉さんの前生は若雪。門倉君、あなたの妹さんだよね。彼女とその夫である嵐の間に、子供がいたことは知ってる?」
「ああ。小雨(こさめ)、だろ?」
「そう。私は、彼女の子孫。若雪と嵐を中興の祖に持つ、望月家の末裔。相川は、母方の姓なの。世が世なら、私が次の望月家当主となる筈だった」
剣護の胸に衝撃が走った。
〝透主〟
〝当主〟
…透主は〝とうしゅ〟だからだ。
竜軌の言葉の謎が解けた。
真白や、荒太ですら、刃(やいば)を向けることは難しいだろうと語った理由。
(そうか。そういう、ことか。…確かに)
知れば真白は、恐らく娘を彼女に重ねるだろう。
若雪が死ぬ前に、嵐に宝として託した、大切な娘の面影を。
知ってしまえば荒太も、きっと同様に。冷徹な彼の飛空であっても、鈍らずにはいられまい。若雪亡きあと男手一つで育て上げ、送り出した娘である小雨の花嫁姿を、最も感慨深く記憶しているであろう荒太だ。
〝まさか俺たちに姪っ子がいたとはね〟
〝しかしそうなると、この現代に、若雪の子孫がいるかもしれないって話になるよな〟
真白が禊の時を終えて覚醒した晩、怜と交わした会話を思い出す。
こんな形で、当事者と相対する日が来るとは、夢にも思わなかった遠い日。
いや、正確にはあの会話をするずっと以前に、剣護は若雪の子孫である鏡子と出逢っている。剣護たちがそうと気付かない内に、とっくに、ここに至る物語は始まっていたのだ。
鏡子は剣護の反応を窺うような目で見ている。保健室で彼女が頻(しき)りと見せた、懐かしい目だ。繊細な小動物にも似た目。
「ギレンが面白がって、二重の意味をかけて私を透主と呼んだのが始まり。…彼に言わせれば、私は先祖返りなのだそう。そもそも神の眷属である若雪の子孫には、代々、神つ力が命脈と共に細々と受け継がれていた。それも今では随分と弱まったけれど。私は稀(まれ)に、力が濃かったらしいの。魍魎が、私を喰らい切れなかったのはそのせい。でも、門倉君たちみたいに、喰らわれても忘れられない程ではなかった。すごく、中途半端だった。結局、そうした半端な力の素地が、私を神でも魍魎でもない化け物に変えた。魍魎を生かす代わりに、私もまた彼らから、力を貰わなければ生きられない身体になってしまった。あの、赤い鎖と足枷は、私を縛ってもいたけれど、私と彼らの生命線でもあったの。……もうすっかり全部、置いて来ちゃったけど」
最後の言葉は、どこか清々しく語られた。
剣護は鏡子の右足に目を遣る。そこには今、鎖も足枷も見出せない。赤いワンピースの裾からは、痛々しい程に細い足首が見えるだけだ。
―――――これはどういうことだろう。
剣護には良く解らなくなった。
目の前の少女が真実を語れば語る程、何が悲劇の根幹であるのか、解らなくなる。
若雪が子を産まなければ良かったのか。
若雪と嵐が出会わなければ良かったのか。
自分たち三兄弟が、吹雪を呼ばなければ良かったのか。
理の姫たちが、摂理の壁の崩壊を望まなければ良かったのか。
それとも、もっと単純に、鏡子の両親の仲が円満であれば良かったのか。
そうは言っても、人の心もまた恐ろしく難物だ。
時に神々さえ手を焼く程に。
考えてもきりが無い。自分が答えの出ない疑問に囚われていることに、剣護は気付いた。
悲劇の根幹を探っても、過去を辿っても目前の現状は変わらない。それだけの時間も猶予も、自分たちには残されていない。
向き合える対象は今だけだ。人の手には所詮、今しか持たされていない。自他の未来を想うのも、今があってこそ出来る行為だ。
だから剣護は、もう一つの問いを口にした。
「相川。お前は、知ってたのか?」
鏡子が不思議そうな顔をする。
「何を?」
剣護が口を歪めて笑んだ。
「自分が死ねば汚濁が飛散し、俺らの住む町の一つくらい軽く覆うだろう、ってことをさ。伊吹法でも追いつかない。神つ力も持たない普通の人間は、ひとたまりもない。…だろう?」
鏡子が顔をひくつかせた。
それが答えだった。
剣護は鏡子の非をあげつらうでもなく、静かな瞳で彼女を見た。
「…だよな。お前、透主だもんな」
剣護は鏡子を透主と知り、彼女のことを思い出してから、そのことに気付いていた。
〝町が沈む――――――――〟
鏡子の体内に潜む汚濁の営みは、彼女の命が尽きると同時に世に溢れ出る。
真白の祖母も剣護の両親も、市枝や荒太の家族、舞香、友人も含め皆、亡くなるだろう。
正確な規模までは剣護にも解らないが、少なくとも鏡子の亡骸を中心とした地域一帯は、ほぼ壊滅状態となる。犬猫や鳥など、人以外の動物に至るまで死を免れない。草木にもその影響は及ぶ。
そして、変わり果てた廃墟の中で真白は泣く。
きっと絶望の内に果てた鏡子をも想いながら。
(…あいつは泣き虫だからな)
一遍に失わせるのは、可哀そうだ。
最終的に、剣護に決意を促したのはその思いだった。
(頼むよ、神様。その為だったら)
その為であれば自分の全部を投げ出しても良い。剣護はそう思っていた。
―――――鏡子は自分の死が招くものを解っていた。
追い詰められ、狂気に苛(さいな)まれ、なりふり構っている余裕が彼女にはほんの僅かも無かったのだ。
ただ、同じように人々を巻き込むのであれば、剣護の手にかかりたいと願った。
剣護は鏡子を責めなかった。
両腕を広げて朗らかに笑った。
「ここなら大丈夫だ、相川。俺が、すっげー丈夫にこの結界、作っといたからさ。な?お前さ、あいつらから力貰わなけりゃ死ぬんだろ?臥龍を使うまでもねえよ。お前が逝くまで、俺が抱いててやる。音痴で良けりゃ、子守唄でも歌ってやるよ」
鏡子の頬を、涙が幾筋も伝い落ちる。
(――――――私の太陽)
最後の最後で、私を救う。
「来いよ」
剣護が手を差し伸べる。大きくて、声と同じく大らかな手だった。
そろそろと、まだ信じられない心地で鏡子は剣護に近付く。剣護はその様子を見て、全く小動物だな、と思い笑った。そしてやっと、赤い少女に手が届いた。
彼女の細い腕を掴んだ剣護は、その身体をしっかり抱き寄せた。
早くもひんやりと冷えかけている鏡子の体温が、悲しかった。
眉根を寄せ可哀そうに、と思う。
(ずっと独りだったな――――――お前)
唯一残った家族の母親にも死なれ、自分を望まず、既に再婚した父親のもとに戻ったところで、その実家に鏡子の居場所がどれ程あっただろう。魍魎に喰われてからは一層、孤独の境涯となった。せめて最期くらいは、誰かに寄り添われて良いだろう。
「よっしゃ。…捕まえた。よしよし。辛かっただろ。ごめんな?もう、大丈夫だからな。もう大丈夫だ。俺も一緒に、行ってやるから」
大丈夫だ、と剣護は繰り返した。
鏡子が泣きながら目を閉じる。
太陽に抱かれて、少女は幸福に泣いた。
(門倉さん。お願い。門倉君を、剣護君を、私にちょうだい…。お願いします)
これっきり。たった一つ、これだけを私にください。
少しでも、あなたが私を哀れんでくれるなら。
これまでに直接顔を合わせたことのない少女。恐らく剣護が彼女を想うのと同様に、剣護を大切に想っているだろう少女。そして自分の先祖である尊い女性の、生まれ変わりでもある少女に、鏡子は切に願った。
真白だけではない。
誰からも愛される剣護。陽光を思わせる少年。
(私は太陽を略奪する女)
彼さえいてくれるものならば、そう呼ばれ、後ろ指を指されても構わない。
謗(そし)りも死も何も、怖くはない。
「……ん?何だこりゃ」
そこで剣護が場違いに、訝(いぶか)しそうな声を上げた。
「えーと。相川、お前…。――――――肩に花、が…咲いてんだけど…」
困惑した剣護の声に、鏡子も違和感を感じる左肩に目を遣ると、そこには確かに、花があった。宿主すら気付かぬ内に、それは見事に開花していた。
艶(つや)やかな花弁を持った、赤い花。
大輪が、華麗に花開いていた。
「ちょっと羽っぽくて、天使みてーだけど…一体、これはどういう」
「剣護先輩!!」
突如、耳に飛び込んで来た馴染んだ響きに、剣護が驚いて顔を動かす。
緑色の空間に、片手に鏡子の肩に咲く花と同じ、赤い花を携(たずさ)えた荒太が、怜と共に降って湧いた。
煌煌(こうこう)と照り輝くその赤い花は、生きているかのようだった。
竜軌から受け取った種から芽生えたそれは、確かに荒太を鏡子の元へと導いた。
但し、育つまでに思った以上の時を要した。
やっと機が熟したと悟った荒太は、待ち侘びていた怜にこれを知らせ、彼を伴い鏡子と、彼女と共にいるであろう剣護のもとへと駆けつけたのだ。
真白が再び笑う為に。
剣護は驚いていたが、その驚きはどこかぼんやりとしたものだった。
来るかもしれない、という可能性を考慮していたことを、表情が物語っていた。
「あぁ。来ちまったか……」
苦く笑いながら、そう言う。
荒太も怜も息を弾ませていた。無理矢理に、花の呪力のみを頼りに剣護の結界に侵入したのだから、相応の負荷がかかって当然だった。
それでも二人の眼差しは、剣護に強く訴えていた。
行くなと。
嫌な目をしやがる、と剣護は思う。
(決心が揺らぐだろうがよ…)
先に息の整った怜が口を開く。秀麗な顔が、いつになく硬い。
「相川さん、やめてくれ。―――――俺が代わりに行くから」
今では怜も荒太も、鏡子の死がもたらすものに気付いていた。数日に渡り強力な緑の結界を創り上げた、剣護の意図にも。
(もっと早くに気付いていれば)
剣護一人に背負わせることもなかったのに、と怜は深く後悔していた。
自分はいつも一歩、大事なことに気付くのが遅い。
鏡子は怜を見て微かに首を横に振る。
「江藤君。門倉君の弟さんだと知って、あなたにも声をかけたけど、やっぱりあなたじゃダメなの」
「―――その人を、太郎兄を、連れて行かないでくれ。あの子が泣くんだ。真白が泣くんだ、きっと、ずっと。……心が、…壊れるかもしれない。太郎兄は俺たちの、命綱なんだよ」
怜はこれ以上ない程、必死だった。懸命に、鏡子に懇願していた。嘆願していた。
そんな彼に、鏡子は悲しく微笑む。
「私は悪い女だね、江藤君」
「そんな風には思わない。あなたの孤独が、少しだけど俺にも解らないでもないんだ。けど、それだけはやめてくれ」
後生だ、と怜は言った。
荒太も叫んだ。
「なら、俺が行ってやる!どちらにしろ誰か一人、結界を完全に閉ざす為に残らなくちゃならないんなら、俺が残る。俺のほうが専門家だ!」
「…嫌。あなた、女心が解ってないわ」
「お前は駄目だ、荒太。真白を一人にすんな」
眉を顰(ひそ)める鏡子に続いて、剣護も荒太を諌める。
「その言葉、そっくりそのまま返すわっっ!!」
すごい剣幕で、荒太が剣護を怒鳴りつけた。ぎらついた彼の眼は剣護を険しく睨み据えている。荒太の本気の怒りが、緑の空間をビリビリと震わせるようだった。
返す言葉が無く、剣護が頭をがしがし掻きながら、弟に目を向ける。
「次郎、真白を頼む」
「―――――出来ないよ、俺には太郎兄の代わりは無理だ」
剣護がふと笑う。
「代わりとかじゃねえ。お前、そのまんまで良い男だよ」
言葉を詰まらせた怜の声ではない、静かな声がその時響いた。
「どうして?」
白いワンピースを着た真白が、雪華を手にして立っていた。
神聖な空気を従えた少女はひっそりと降臨していた。
「しろ…」
剣護が痛いような表情で呼ぶ。
真白は表情の戻らない顔のままで、非難がましく言った。
「犬みたいに呼ばないで」
「―――――お前、年に一回くらい、それ言うよな…」
とりわけ神つ力に秀でた、雪華が真白をここまで導いたのは明らかだった。
主の嘆きに神器が動いた。
真白はゆっくり、視線を鏡子に据えた。
どこか神界にも似た平和な夢の中で、鏡子は確かに真白に告げた。
真白は思い出していた。
〝だって私は、あなたの子孫だから〟
鏡子が、怯んだ表情を見せる。
「……小雨?」
真白の呼びかけはこの上なく優しく、慈愛に満ちたものだった。
その場にいた誰もが、ハッとした。
「小雨なの?…私です、母ですよ」
嘗ての娘の面影のある鏡子を見た真白の中で、若雪の記憶が混同されている。
「こんなところで…、迷ったのですか?また、嵐どのと、お父様と喧嘩したの?嵐どのが、心配なさいますよ。小雨。憶えてる?あの、春の日。菫(すみれ)の花を髪に飾ったあなたは、春の精のようだった…。私はきっと、嵐どのが、あなたのお父様、あの意地っ張りな方が、あなたのお嫁入りには必ず泣かれるだろうと、そう思ったものです」
荒太が、顔を背けた。
鏡子は大きな目を広げて、真白の言葉に聴き入っている。
「―――――私を、母を恨んでいますか。まだ幼いあなたを残して、死んでしまった。あなたの花嫁姿を見ることも、叶いませんでした。だからですか?だから、私から、兄様を、太郎兄を取って行こうとして、困らせるの?小雨……」
真白は剣護に抱かれた鏡子に歩み寄ると、雪華を置き、剣護ごと、鏡子を抱き締めた。
肩に咲く花ごと、赤い少女の身体を抱き締めた。
「……お、かあ、さん」
か細い声で、鏡子が呟く。
「お母さん…」
天を仰いで、もう一度鏡子が呼んだ。真白も、鏡子も泣いていた。白い少女と赤い少女は、真実の母娘のように抱き合っている。
それを見守る緑の瞳からも、雫は滑り落ちていた。
「安心しな、真白。こいつは俺が救ってやるから」
「剣護」
「幸せになれよ」
「剣護」
「ありがとう。…さよなら」
「――――――剣護!」
トンッと柔らかく突き飛ばされた真白の身体は、怜の腕に収まった。
「相川も、もう余り長くない。手遅れになる前に、結界を密閉する。次郎、荒太、真白を連れて行くんだ。頼んだぞ」
怜の腕の中で、真白がしゃにむにもがいた。細くて白い腕が力の限り、あちこちに振り回される。
「――…っ…、叔母さんにはっ、ピーターには何て言うの、剣護。いやっ。嫌だ、剣護、剣護!!放して、次郎兄!いやだあっ!!剣護がいなくなるなんて、そんなのいやああっ!くれるって言った!!私に、くれるって言ったじゃない、剣護っ!?剣護お!!」
激しい真白の叫び声を聴きながら、怜はまだ目の前の現実を受け容れられずにいた。
三人で過ごしたあの夜。真白が子供のように屈託なく自分にじゃれつき、剣護が喚いていた、奇跡のような時間。現在の家族を傷つけてでも、手に入れたかった幸福に浸った。ずっと寒風が吹くようだった心が、確かに満たされたと感じた。荒野を抜けてやっとここに辿り着けたのだと。
(あれが、俺たちの最後になるのか)
まさかこうなることを見越して、せめてあの時間を、自分たちに残そうとしたのか。
奥歯を噛み締める。
真白はまだ泣き叫んでいる。普段は物静かな彼女が、髪を振り乱して涙を散らしている。
(それで良いのか、太郎兄。この子を、こんなにも泣かせて)
口の中まで噛んでいたのか、鉄の錆びたような味を舌に感じる。
どうでも良い、と怜は思った。自分の血の味など。どうでも良い。
「太郎兄っ!」
――――――――それで良いのか。
剣護は鏡子を抱いたまま、泣き叫ぶ妹の姿を目に焼き付けるようにして見ていた。
穏やかに自らも涙を流しながら唇にはごく淡い、笑みを浮かべて。
とても静かな表情だった。
(これが、お前が泣く最後になるように)
俺をあげるよ。
〝真白。お前に、いつか返すよ〟
〝何を?〟
〝そうだなぁ。心臓とか、魂とか?〟
〝…要らない〟
遠いあの日から、悪夢より救われた自分の命は、とうに真白のものだった。
いつか返すつもりで、ずっと生きて来た。
緑が閉ざされていく。
剣護は結界を重々しく閉ざしながら、尚も真白の顔を見つめ続けた。
最後の最後まで、惹き込まれたように見つめている。
真白。
俺の妹。俺の陽だまり。
――――最愛の命。
怜の腕に包まれた真白の意識は、次第に遠のいて行った。
薄れゆく意識の中、絶望と共に一つの確信を彼女は抱いた。
私はこの日を一生忘れない―――――――――。
私の世界から太陽が消えた日。
白い現 終章 白い現 二