河童の冬

河童の冬

 生まれて初めて、河童というものを見た。
 河童はつるつるの肌をしているものと思っていたが、存外毛深くて驚いた。黒く細い毛が、水に濡れたようにぺたりと寝ている。頭の皿にまで短い毛が生えていた。
 よく見れば、人間の顔に似ている。黒い毛並みと黒いクチバシを除けば、眼などは人間と同じ理知的な鋭さをおびている。
「河童のつがいが冬眠しているんだ」
 庭先で、友人が事も無げに話す。
 傍らには背格好の変わらない河童が一匹座っている。おまけに電話で何かを話している様子だ。
 友人が指差す方を見ると、盛り上がった土の山に穴が空いている。中の空洞には、二匹の蝦蟇が冬眠をしているように見えた。どうやら、これが冬眠状態の河童らしい。
「背中合わせにして、頭の皿をくっつけないように寝かせてやらなければいけないらしいよ」
 友人がのんきに説明してくれた。電話中の河童が眼だけ動かして、こちらの様子を窺っている。その眼は、驚くほど私たち人間とそっくりなのだ。
 私はなんだか恐ろしくなった。

 すべて、夢の話である。

河童の冬

実際にこんな夢を見ました。文章におこしてみた昔の作です。

河童の冬

生まれて初めて、河童というものを見た・・・短篇。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2015-01-12

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