予期せぬ出来事 11

 ある夏の日の会社帰りの高崎線。
 ボクは赤羽から運良く座席に座ることが出来た。
 鞄を膝の上に乗せ、早々に文庫本を開く。
 ガタゴトと心地よい振動。
 そして電車は浦和駅に着いた。
 そこで数人の乗客が降り、ボクの隣の席も空いた。
 その空いた席に、20代の女性がツカツカとやって来て座った。
 その座り方がヒドかった。
 ドカっ……と勢いよく座席に尻(ケツ)を落とすやいなや、ガシっと足を組んだのだ。
 何だこいつ、隣の人のことも考えてもちょっと優しく静かに座ってくれよ。
 とボクは心の中で悪態をつきながら、どんな奴なんだよ? とその女性をチラ見するために顔を上げた。
 その女性は、すまし顔でスマホを見ている。
 そして偶然に、その女性のスマホの画面が目に入った。
 画面には友人から送られて来たであろう動画が映し出されていた。
 画面の中では、二人の女性が、ビキニ姿で笑いながら浜辺で身体をクネらせていた。
 ……
 まぁいいか許そう。
 これまでの横柄な態度は、水に流してやろうじゃないか……。
 ボクは再び、文庫本に目を落とした。

 おしまい

予期せぬ出来事 11

予期せぬ出来事 11

まぁいいか許そう

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-02-16

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