予期せぬ出来事 ④
夕方、定刻通りに会社を出て、いつもの道を使って駅に向かっていたときだった。
その日は、ボクの前を4歳か5歳くらいの女の子がパパと手を繋いで、ゆる~く歩いていた。
流れる風が気持ちいい、夕暮れの中での散歩なのだろう。
でも、そんな父娘のことは、ボクにはどうでもいいことだった。
ボクは、赤羽マクドで珈琲を飲みながら、ゆったりをした自由時間を過ごしたかったのだ。
それゆえボクは、両足のピッチを普段より2割増しで回していたのである。
そして、今まさにその父娘を追い抜こうと……
そのとき女の子が
「あ~、ここ、おばあちゃんの保育園だ」と横の建物を指差したのだ。
パパはちょっと複雑な顔をして
「そうだね」と女の子に優しい声で言った。
ボクの足は、完全に止まってしまった。
そして、うんうん、と何度も頷いていた。
そこは、デイサービスの施設だったのである。
おしまい
予期せぬ出来事 ④