予期せぬ出来事 ④

 夕方、定刻通りに会社を出て、いつもの道を使って駅に向かっていたときだった。
 その日は、ボクの前を4歳か5歳くらいの女の子がパパと手を繋いで、ゆる~く歩いていた。
 流れる風が気持ちいい、夕暮れの中での散歩なのだろう。
 でも、そんな父娘のことは、ボクにはどうでもいいことだった。
 ボクは、赤羽マクドで珈琲を飲みながら、ゆったりをした自由時間を過ごしたかったのだ。
 それゆえボクは、両足のピッチを普段より2割増しで回していたのである。
 そして、今まさにその父娘を追い抜こうと……
 そのとき女の子が
「あ~、ここ、おばあちゃんの保育園だ」と横の建物を指差したのだ。
 パパはちょっと複雑な顔をして
「そうだね」と女の子に優しい声で言った。
 ボクの足は、完全に止まってしまった。
 そして、うんうん、と何度も頷いていた。
 そこは、デイサービスの施設だったのである。

 おしまい

予期せぬ出来事 ④

予期せぬ出来事 ④

31 保育園

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-01-05

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