予期せぬ出来事 04

 通勤で高崎線を利用していたある朝の出来事である。
 ほぼ満員の電車の中、ボクはサラリーマンが座っている席の前の吊革に捕まりながら電車の揺れに身を任せて文庫本を読んでいた。
 サラリーマンは、膝の上の鞄に手を投げ出して気持ちよさそうに眠っている。
 やがて……、大宮駅に電車が停まった。
 すると突然、眠っていたサラリーマンが顔を上げてキョロキョロと辺りを見回し始めたのである。
 そして立ち上がるやいなや、慌てて電車から降りたのである。
 ラッキー座れる。
 だがしかし、ボクの足の甲の上に、サラリーマンの膝から滑り落ちた鞄が乗っていた……。
 サラリーマンは、自分が鞄を持っていたのを忘れて降りてしまったのだ。
 一瞬ボクは、その鞄を棚に乗せ、何食わぬ顔をして座ってやろうかと思った。
 寝ぼけてンじゃねぇよ!
 ボクはその鞄を持って電車を降り、サラリーマンを追いかけたのでした。

 おしまい

予期せぬ出来事 04

予期せぬ出来事 04

寝ぼけてンじゃねぇよ!

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-29

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