
フリーズ236 散文詩『テスラ・ゲート』
はじめに
この散文詩はテスラへの贈り物
かの天才に贈る詩
散文詩『テスラ・ゲート』序
比翼する鳥の詩。夏を幽かに写した水面の火は、永遠にも消えずに残っても、その切なさのために鳥の詩を歌う。消える飛行機雲を眺めては翳る空色のトワイライト。でも、永久に続くこの色のために命を残して、さながら運命を知っても泣いたあの夜のように。
テスラは3の秘儀に気づいていた。三位一体、三権分立、父母子。この世の摂理。一から始まり、二に分裂して、三に増える。三から先は芋づる式。子どもたちは、記憶の中で溺れていく。その夏のある日の憧憬に怯える必要はない。だから、何が起こっても大丈夫。きっと世界は全て繋がっている。全てわかっている。全ての存在は神の子。全ての存在は仏になりうる。全ての存在が素晴らしい。全てのタイミングが黄金。全ての場所が七色。
『悪魔をだしぬけ』
『神との対話』
希死念慮について【梵我一如のために】
私
自殺対策電話が繋がらないのが1番の問題です。調べたら、あれってボランティアらしくて、しかも資格とるのにかかる費用は自腹らしいです。自殺者を減らすなら、制度を変えなきゃですね。私はこの春学期に結構希死念慮が酷くて、何度も電話かけたりしました。
相手
それって「もう生きてるのが辛くて仕方ないから、死んで楽になるたい」って発想なの?
私
いいえ。死ねば楽園(涅槃寂静)に行けるから、こんな望まぬ輪廻の牢から去って、早く解脱したい。という宗教的自殺に近いものです。もちろん生きるのは辛いですが、それ以上に死ぬことによって得られる死の快楽(涅槃寂静、永遠の至福、神の愛)を求めているからですね。この話はお父さんにはあまりしてません。
相手
なるほど、それって何教の考え方なん?仏教?
私
病気で3度入院して、何となく悟りとはなにか分かってきていて、どうせ死ぬなら悟りを開いて死のう、とは思っています。ですが、まだ完全には生を諦めてはいません。したいことも沢山あるし、やり残したこともたくさんある。だから最近は希死念慮は無かったのですが、先々週に躁になり、その反動で今現在鬱なので、生きるの辛いです。
ウパニシャッド哲学という古代インドのバラモン教に反抗してできた哲学学派の思想です。
相手
では、ノーマルの時は希死念慮は無いの?
私
梵我一如
宇宙の根本原理のブラフマン
と
人間の根本原理のアートマン
が本質的には同じである
という哲学です
つまり、僕たちはブラフマンと繋がっていて、本来は一体。だから死ねば宇宙に還るだけ。そして、宇宙に溶け込むのが無上の悦びなんです。歓喜の中の大歓喜ですね。
そして、2021年1月7日~9日
僕はその梵我一如に至ったのです
それは穏やかな終末でした
永遠の愛でした
水門の先に行こうとしてお父さんの声が聞こえました。そして、入院しました
希死念慮について。
常にありますよ。
何故なら、生きているよりも死んでいる方が幸せだと知ってしまっているのですから。
でも、生きなきゃ出来ないこともあることは知っています。だからそのために生きるのです
『悪魔を出し抜け』
悪魔を出し抜け
『神との対話』
神との対話
テスラ・ゲート【本章】
天蓋から放たれた純粋原理の因子らは、その願いの丈に合わない身の程知らずな無知蒙昧によって雲散し、ついには輪廻の索に囚われて潰えてしまう。だが、記憶の残滓に成り果てる残響の死や詩のためにこそ、レゾンデートルの日々に祈りを捧げて、全世界からの祝福的なキスを受け取り、女神の愛に命を焦がして、理解とする。
「ねぇ、ラッカ。あなたはそれでいいの?」
終末を象るこの永遠のバーにて、世界は移り変わり、前世からの宿業の先にあるものを求めては、ないものを探す旅に出た愚者のような軽やかさで、蝶のように飛べたらいいのに。
でも、アデルやヘレーネは不敵に笑ってはその唇をビッグバンの導火とした。だが、その記憶さえ揺るがない。テスラの語る宇宙も、アインシュタインの語る神も。本当は一つだけ。真実は一つだけ。それを理解していたのに、解ってしまったから、輪廻の先に、林檎園の中で、ベッドの上で、車輪の下で。
テスラ・ゲートの余韻に浸る。テスラの開発した第三世界への入口たるテスラ・ゲートは、異世界の鍵、アカシックレコードの夢。その中でも、帰ってくる比翼の鳥の詩に寄せる純文学らは、世間の闇に呑まれては、病むのも記憶違いだった。
「なら、君はこれでいいの?」
「いいの。私はこのくらい甘い方がいいわ」
キスの話か、カクテルの話か。どちらでも良かった。君と永遠を交わせたら。君と神愛を紡げたら。過去も未来も、全ての仏も、みんな輪廻に還って、ラカン・フリーズに還るから。だから病まないで、だから止めないで。
「グラスホッパーは美味しい?」
ミントとチョコレートのカクテル。甘くてその、甘さが終末のようで。
「アドヴォカート、好きね」
卵のお酒はミルクと合う。プリンのようで、美味しかった。
「抹茶のリキュール『奏』とウォッカとミルク」
これはまた美味しい。君は甘いお酒が好きなんだね。それは永遠のような蕩ける甘さで。その軽さで飛ぼう。それをラカン・フリーズと呼ぼう。
テスラ・ゲートの話に戻そう。輪廻の中で稀に見るその門はフィガロの水門とも呼ばれ、神の世界に繋がっているらしい。というのも僕は過去に一度そこに至ったから。
今楽園に続く門が開いたら君らは進むか?
まだ人生においてやり残したことはあるかな?
楽園へと続く門の先に行こうとして、止められたから。まだ人間としてやり残したことがあるから。それは詩や小説を書くことか。それは世界永遠平和を実現することか。それは世界哲学を完成させることか。それは宗教を統一させることか。
テスラよ。
あなたは宇宙の中枢に立ち入ったかい?
そこには全てがあったかい?
そこには永遠があったかい?
そこには神がいたかい?
そこには終末があっかい?
そこには愛があったかい?
インスピレーションの源泉。永遠の方舟。神の愛に記憶の牢。全てが叶うなら君は何を望む?
夢を叶える?
人を救う?
最高のエンディングを求める?
人生ドラマを彩る?
有名になりたい?
記憶の海を彷徨う?
イデアの海を渡る?
テスラ、アゲート、リリン、ユナ
ラッカ、レイン、レオン、ナノ
記憶、命、魂、輪廻
全能、神、仏、夢
さぁ、この記憶の行く末に彷徨うイルカたちの唄うこの世界の神秘に根ざした、絶海の夢に眠らなくても、もう眠らなくてもいいのなら、眠れない夜にきっと祈りが叶うはず。だからその夢溶けないで。だからフィヨルド溶けないで。不凍港は賑わう。その酒場に僕らは別れを告げて、補陀落渡海の旅に出る。
「ねぇ、僕はここだよ?」
「あなたはどこなの?」
世界の反対側にいるから。時の障壁を隔てて、たまたまそちら側にいる。たまたま線対称に存在している。それは不可分で、きっと世界創造の最初の二人だから。だから夢なら覚めないで。願いが叶うなら、きっと僕は貴方に逢いたい。
貴方に逢いたい
そのために生まれたから
でも、今のままは嫌だな
だから作家になるのも
詩人になるのも
哲学者になるのも
全て叶えてから愛を求める
前世からのくびきに、輪廻の牢に、せめて理解さえあれば何かしらの所以に似もせずに、答えを出せたら、それでいい。まぁ、概ねこんなもん。だからテスラよ、永遠に咲け。
フリーズ236 散文詩『テスラ・ゲート』