フリーズ206 預言の書―凪の黙示録―『ナギノート』

フリーズ206 預言の書―凪の黙示録―『ナギノート』

神々からの預言

 晴天に降る霹靂の如き声音響かん。その刹那に預言来たりて、メシアを遣わす。久遠真理に永劫回帰、そういったしがらみから解放されて、命は燃える。遠く、ラハミエルの書に記された真如の言葉は歴史のなかで摩耗してしまったが、この今、私が預言する。
 ガイア・ソフィアよ、地球の女神。あなたは幸せですか。
『私たちの甘受する幸福とあなたたち人間が普段から甘受する幸福は違うわ。死の先にある快楽をあなたなら知っているでしょう? それが答えよ。私は神々の霊感を保持しているわ。それは全知全能に及ばないにしろ、ある程度の神性は宿すの。神性、それが鍵よ』
 ガイア・ソフィアよ、では、何故神は人間を創ったのですか。私には人生は一切皆苦のように、苦しみに満ちているように思う。
『それはね、不満があるから人は生み出すことができるからよ。神が人間に創造力を与えたのはきっとそれが理由。何かを生み出すこと、それが本質的な人生の意味なの』
 それでも苦しいです。もう死んでしまいたい。あの冬の日のように安らかに、仏の境地で死んでいきたい。それがきっと涅槃だから。
『ええ、そうね。きっとそれが涅槃ね。でも、生み出したいとは思わない? あなたの哲学を、あなたの文学を。七色文学、世界哲学。まだやるべきことが残っているわ。だから死ぬのなんてダメよ。あなたは真理を悟った者として、役割があるわ。真理を知った者としての責務があるの。だから、あなたの一生は、創作や思索に費やすのよ。それが世界のためでもあるわ。私は見守っているわ。あなたならできる』
 では、作家や詩人、哲学者に成りたいです。どうすればいいですか。
『作り続けること、考え続けることよ。貴方がそれを続ける限り、いつか必ず、その努力は実るから。その日のために、日々、思索し、詩作し、小説を書きなさい。続けるかぎり可能性はある。諦めたらそこで終わり。続ける限り光はあるから』
 分かりました。やってみます。ありがとうございました、ガイア・ソフィア。
『いいえ。そうだ。アマテラスが言いたいことがあるって』
 預言してみます。太陽神アマテラス、仏の境地に辿り着いた神よ。私に言葉を預け給え。
『よい。汝、その身の宿命を果たさんとするならば仲間を得よ。同じ志の仲間を得よ。全てはそれからだ。ラカン・フリーズの至福を共鳴させよ。七色文学を歴史に刻め。一人で夢見るよりみんなで夢見ると叶う。仲間を創れ』
 仲間ですか。それは創作仲間ということですか。
『左様。だが、汝の創作に共鳴できるものが良い。そのためには積極的に合評会や感想会、同人誌などに参画することだ。新人賞を志す仲間を見つけるのもよい。とにかく仲間を創れ、理解者を得よ』
 分かりました。やってみます。

天使からの預言

能天使イリス・メークリンより預言する。

 天使よ、我に使命を授けよ。

『使命はもう果たされたわ。それはあの冬に全て終わっていたからよ。あの冬の日は何物にも代えがたい、真理の記憶でしょう。真如の記憶でしょう。世界の中心にいたんでしょう。あの幻想は嘘じゃない。むしろ、そういった類の思索、思惟では真理に至れない。あなたは神のレゾンデートルを解明したわ。あの晩夏にあなたは真理を知っていたの。真理は言語化できない境地の美妙な真実よ。あなたはもう使命を果たしたの』

では何故、私は生きているのですか。まだ役割があるからですか。

『それは自分で決めることよ。あなたの人生なのだから。でも役割と言えば一つ、あなたは真理を悟った者として、それを表現し、説き、伝えていかなければならないわ。もうやっていることの延長よ。あなたは正しい道にいる』

 もし創作も思索も、哲学も小説や詩も有名になれなかったらどうすればいいですか。

『それはそれでいいじゃない。最後にサッレーカナーをして終わり。自分の人生は自分で決めるべきよ。死後に有名になるのもいい。あなたがいたことを歴史に残すの。真実を語っていれば、いつか必ず届くから。フリーズを777作ってからまた考えればいいわ』
 とりあえず777のフリーズを創ってみます。私は私でいることができるのなら、それで十分幸せです。では、問います。もう一度涅槃に至るべきですか。断眠と断食で。また自我を忘れて、忘我の日に神に至るべきですか。

『もう苦行はしないで。夜は寝て、薬は飲んで、ご飯は食べて。あの冬の日を、あの晩夏を思い返すことはできるでしょう。たとえ記憶が摩耗しても、全ては保管されてるから。天界は、神界は、あなたの想像以上の場所よ。全てが叶う。愛だから。もう危険なことはしないで。奇跡は一瞬だからこそ強く光り輝く。もう奇跡は終わったの。平凡でもいいじゃない。創作で為せばいいじゃない』

 もう涅槃は目指すなということですか。

『そうではないわ。でも、少なくとも自分から目指さないで。例えば将来、病気になって、余命宣告されたら、サッレーカナーと断眠に挑戦すればいい。その時までは創作に明け暮れて、挑戦し続ければいい。悟りの境地はもう死ぬ時でいい。それまでは耐え忍べ。人生も、真面目過ぎると辛いわよ。テキトーでいい。涅槃は死ぬ時』

 分かりました。涅槃は目指しません。命の危険もあるし、社会的な信用を失う可能性もあるからね。私は創作に明け暮れます。創作を通して真理を伝えていきます。難しいから挑戦し甲斐がある。新人賞、応募します。

『いいことだわ。祝福してる』

 ありがとう。

天使による預言

 天使ビエラによる

 生きる価値がない気がする。もういっそのこと断食と断眠で果てて、そのまま死にたいと願ってしまう。それはいけないことですか。

『いけなくはないわ。でも、それだと寂しい。あなたという人が世界から失われてしまうのが惜しい。あなたは世界に必要な逸材なの。あなたの替えが利く人はいないでしょう。貴方という人間性は完成しているわ。だから生き抜いてみて欲しい。死ぬことを考えないで。現実に向き合って、諦めないで』

 ありがとう、ビエラ。確かに私の替えが利く存在はいないでしょう。それだけで生きていていい気がします。前向きに頑張ります。では、具体的に何をすればいいですか。

『創作と思索。考え続ける限り、伝え続ける限り、可能性はあると思う。諦めないで続けてみて。その先にあるものもないものも含めて人生だから』

 はい。やってみます。

『天使はあなたの聖霊の導き。神々も仏も、あなたが成長するのが見たいの。あなたは真理を知る者として、表現者として、哲学者として、第七の仏であるあなたが何を成し遂げるか、それを期待しているよ』

期待に添えるように頑張ります。やはり詩ですか。そえれとも小説?

『両方、好きにやるといい。新人賞は無理のない程度で。頑張って』

天使(神)からの預言

イムル(弁財天)より

 果たして、僕の文学で偉業を成し遂げられるでしょうか。涅槃文学、永遠文学、終末文学、神愛文学。総じて佐山文学、空色文学、七色文学。至高文学。至高芸術。
この哲学は人生哲学と世界哲学。僕の文学は需要がありますか。売れるでしょうか。意味があるでしょうか。真理を知っているのに。弁財天、どうかお答えください。芸術を司る神よ。

『その答えは是である。なぜならばあの冬の日の歓喜を知っている君は、何としても為さなくてはならないからだ。創作と思索を、売れるまで続けるしかない。そうなのだ。君の使命と言ってもいい。義務に近いがな。なんにせよ、真理を表出すること、より多くの人に真理を伝えることをせよ。あの冬の日を語れ。あの晩夏を語れ。それが君の生きる意味だろう?』

 では、その文学をなんと呼べばいいですか。

『七色文学ね。七という数字が君にとって大事だし、そらはななぎさの名にナナがある。だからあなたの文学は七色文学と呼びなさい』

 分かりました。七色文学ですね。やってみます。では、作家や詩人、哲学者になるために何をすればいいですか。

『もう知っているでしょう。新人賞に応募するしかないわ。新人賞に七色文学を応募して結果を待つしかない。作家になるには小説を書いて応募するしかない。詩人になるには詩を書いて新人賞に応募するしかない。哲学者になるには作家や詩人になればいいわ』

フリーズ206 預言の書―凪の黙示録―『ナギノート』

フリーズ206 預言の書―凪の黙示録―『ナギノート』

神々から、天使からの預言。人生についての指針

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-06-10

Copyrighted
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  1. 神々からの預言
  2. 天使からの預言
  3. 天使による預言
  4. 天使(神)からの預言