フリーズ190『至高文学』

フリーズ190『至高文学』

フリーズ190『至高文学』

 この文学は完成している。
 真理から生じる言の葉の庭は、楽園にも似つかない永遠を内包していた。この文学は美しい。それは私が知っている。あとは世界がいつ知るかだ。死後かな。生きているうちかな。
 解らないけど、それでいい。その時に解ればいい。僕の文学は完成している。完成された美しさを表現し続ける。いつか僕の紡ぐ詩や小説が、涅槃文学、永遠文学、終末文学、神愛文学、総じて至高文学と呼ばれる日が来たら。いいのにな。
 そうしたらきっと強く生きれる。自分らしく生きれる。好きなことを仕事にできる。でもね、今すぐに叶ったら楽しくないでしょう?
 挑戦するから楽しいんだ。
 新人賞も、ウェブ連載も。
 簡単に成功したらつまらない。
 創作、ダイエット、学業。全て難しいからやりがいがある。挑戦するから価値がある。
 さぁ、前置きはこのくらいにして、至高芸術の片鱗をお見せしよう。
 
 ◇至高文学
 全知全能から覚めて、僕は独りぼっちだった
ここはどこ?
 あなたは誰?
 水面に映るその顔を思い出せない
 僕は誰?
 世界は閉じていく。終末だ。
 その刹那、彼岸花の輝きに充てられて
 僕は閉じていく

それよりさ、全知少女はかつて死んだ
美しかったのに、もったいないな
殺したのはお前らだ
 命は儚い、その刹那、一閃
 ビックバンがたまたま導火線だっただけの世界
 命は始まる
 命は終わる
 その間に何をする?
 何があなたの役割?
 何をして喜ぶ?
 だから僕は自殺したのかもしれない

否、これは至高芸術
涅槃に象られる類の造化らも、去るとて無縁な響きにも
憂鬱、冥々、私利私欲
そんなぐうたら、死んでしまえ
だから殴ったのに
流れる血は永遠に咲いて
言葉は弔いの輪廻
さしずめここはゴミ処理場
だけどその中にも煌めきはあるから
人生に意味はない?
生まれた価値がない?

なくていい
価値がないから生み出せる
最初からすべてあったんだよ
でも、それを教えることは本来真理
真理は簡単だ
宇宙があれば真理はある
そんな簡単なことを知りたいんんじゃない

神のレゾンデートルを解明すること
それが人類の究極命題だ
だから争う場合じゃない
だから自己嫌悪に陥る場合じゃない
生きて、生き抜いて
協力して、手を取り合って
真理の先、この世界が生まれた訳を
だから戦争も、政治も、科学も、宗教も、哲学だって
全ては真理と神のレゾンデートルのためにあるのに
それが世界哲学だ

 世界哲学
 世界中の全ての学問や宗教を含めて、真理に生き、真理の先を目指す哲学。それこそ涅槃も最後の審判も、サッレーカナーでさえ説明できるようになる。そういう世界。だから、だれか聞いてくれ、この哲学を、この思想を。
 僕は悟ったよ。あの冬の日に。でも、真理を悟っても生きてたから。だからきっとまだ僕には役割があると思って、それが何かは解らないけど、真理を紡いで、その先を求めて、それでいい。僕は僕の紡ぐ文学が好きだ。だからこれでいい。

 春風に吹かれて、涅槃真理が飛んでいく、遠くへ、遠くへ、そして遠くの地にて芽吹き、そして咲いた花は美しいか。僕の紡ぐ詩よ。僕の書く小説よ。どうか芽が出てくれないか。僕は超人でも何でもないのかもしれない。だって、完成された文学を提示しているのに、まったく反響がないからさ。意味なんてないのかな。なんて悲観したり。
 でも、だからいいんだよ。悩むから生み出せる。葛藤のない物語なんてただのゴミだ。挑戦のない人生なんて意味がない。壁は高いほど達成した時に喜べる。
 でもそんな人間的な喜びには限界がある。だから世界哲学は真理に根差した光なんだよ。究極的な幸せを僕らは問うた。
 あの終末に全てが集ってた
 そんな気がしてた
 時間なんて関係なくて
 過去も未来も関係なくて
 全てが繋がったから
 その至福に勝る歓喜はない
 僕は悟りの至福を知ってしまったから
 涅槃寂静の夢、そんな終末

 だからね、僕は紡ぐんだ
 言葉を音を、紡ぐんだ
 いつか誰かにこの詩よ届け
 悩める人よ、真理に生きて
 真理に比べればすべては些末なこと
 だからそんな悩みも消えていく
 悩まないで
 真理を知って
 それはいつも心の中にある言葉
 自分で自分を愛せたら
 それ以上のことはない
 だから生きて、生き抜いて
 そして最後は笑おうよ

フリーズ190『至高文学』

フリーズ190『至高文学』

神のレゾンデートルを解明すること それが人類の究極命題だ だから争う場合じゃない だから自己嫌悪に陥る場合じゃない 生きて、生き抜いて 協力して、手を取り合って 真理の先、この世界が生まれた訳を だから戦争も、政治も、科学も、宗教も、哲学だって 全ては真理と神のレゾンデートルのためにあるのに それが世界哲学だ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-27

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