短歌de1998

はじめに

 日々の暮らしを俳句として詠んでみようと考えて、インターネット
上で俳句投稿を始めて、仲の良い俳句仲間にも恵まれて凡そ25年間
も俳句交流が続いた。なかでも俳号「シェフさん」「雪絵さん」とは
一緒に旅をするなど親交も深まり、日々の暮らしの中で、元気なども
いただいた、その様な俳句交流もインターネット上のクローズを迎え
25年間のお付き合いを経て俳句投稿の機会も修了となったが、最近
になって「短歌」の魅力に目覚め、1998年から投稿を始めた俳句
に、自分の気持ちを加えて、短歌にすることに興味が湧き・・・

 また俳句仲間のシェフさんや雪絵さんの俳句にも寄り添う形で短句
を加えることで「短歌にする」ことにも、大いなる興味が湧きトライ
してみることにした。

 題して「短歌de1998」としてみた。上手く行けば「短歌de1999」と
して、その続編や更に飛躍して、続々編にもチャレンジを続けてみる
考えでいる。
(万田竜人は、私の俳号です)


【 短歌de1998 】 時に56歳、今は82歳
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001  小さくも胡瓜の形花付けて
        見付けた気持ち詩にしてみる

小さいのに胡瓜の形に感激しました
万田竜人  98/7/5 18:15
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002  武蔵野路小鳥紫陽花夏野菜
        漢字を並べ漢文調に

東京都田無市までの通勤は、私だけの「俳句の道」を
通って、作句しながらの楽しい時間です
万田竜人   98/7/7 19:32
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003  万緑の木漏れ日を浴び梅雨の朝
        ペダルの上に脚を預けて

いつも通りの「俳句の道」ですが、梅雨挙がりを予感
させる様な気持ちの良い朝でした
万田竜人  98/7/8 18:26
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004  満天星に蜘蛛の巣張りて梅雨の玉
        宝石のごとキラリキラキラ

みずみずしい印象でした
万田竜人  98/07/09 18:59
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005  父親とバージンロード百合の花
        背筋伸ばして優雅に歩む        

同じ職場の女性の結婚式の風景です
万田竜人  98/07/11 07:57
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006  主の言葉うなずくうなじ夏化粧
        風が吹き抜け二人を繋ぐ

神父さんの説話にうなずく彼女が初々しい
万田竜人  98/07/11 18:19
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007  母親に物腰の似ておじぎ草
        言葉に出来ぬ雰囲気の在り

結婚式で母娘ソックリDEショーでした
万田竜人  98/07/11 21:24
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008  デザートのメロンが知らす夏の宵
         刻を忘れた我に気付けり

メロンが出されて、若い二人だけの世界に
万田竜人  98/07/12 06:36
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009  炎昼やハンバーガー店に若き列
         ステーキの時代今は昔に

池袋サンシャインシティーの映画館前の風景です
万田竜人 さん 98/07/13 19:32
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010  隣家よりメロン戴き香りたつ
         伊豆のお土産お相伴なり

相性のいい隣組で長男が伊豆高原でレストランを
営んでおり、伊豆からのお土産です
万田竜人  98/07/14 19:54
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011  打水の音に飼犬逃げ回る
         その跳ね脚の愛くるしさよ

愛犬の名は「シェリー」 犬種は「シェルティー」
今は夏なので五分刈りのため柴犬風です
万田竜人  98/07/15 19:09
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012  朴咲くやつがひの鳩の雨宿り
         葉隠れの技身に着けたるや

平和な愛の風景ですが、ちょっと見には気付かない
光景ですね(鳩のつがいも賢い)
万田竜人  98/07/16 19:03
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013  梅雨空にひよどりの声澄み渡り
          あたりの空気晴れに転じる
         
耳に余韻のアルファ波が活性化される様な鳴き声
でした(脳内が活性化)
万田竜人  98/07/17 19:28
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014  飼犬の裾を刈り上げ更衣
          駆ける姿も軽快そのもの

ワンちゃんにも早々と夏季対策です
万田竜人  98/07/18 09:02
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015  婚礼の行列に風夏木立
          カメラ向ける人に外国人

明治神宮で英会話研修をした時に遭遇した光景ですが
外国人が歓喜して花嫁姿を撮影していました
万田竜人  98/07/18 20:03
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016  飼犬や生き活きとして薔薇を嗅ぐ
          優美な姿ファンタジック

狭山市智光山のバラ園で愛犬と散歩していた時の
体験です(シェリーちゃんはレディー)
万田竜人  98/07/19 11:58
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017  菖蒲園行き交う人の夏衣
          色鮮やかに香り来たりて

智光山には菖蒲園もあり、隣接する薔薇園からの
帰路の光景です
万田竜人  98/07/19 18:18
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018  嫁ぐ娘の笑顔眩しく風薫る
         翼広げて共に二人で

末娘の結婚式の時の印象です、旦那さんも優し
そうな雰囲気の方で安心です
万田竜人  98/07/20 07:20
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019  テーブルに紫陽花飾り披露宴
         色とりどりにアレンジメント

お花の先生との合作とは後で知りました
万田竜人  98/07/20 07:24
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020  シャンパンを注ぐ花婿五月晴
         視線集めて男冥利に

今日は彼氏にとっても晴れ舞台そのものです
万田竜人  98/07/20 07:26
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021  奥入瀬散策の道風涼し
        暑さを忘れ我が道を行く

十和田湖周辺のハイキングコースを家内と
一緒に避暑を兼ねての散策です
万田竜人 98/07/21 21:05
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022  中尊寺能楽堂に蝉の声
        踊る姿を心に描き

松尾芭蕉の研究をテーマにして東北の旅には
三年連続で通いました(家内同伴でした)
万田竜人 98/07/22 19:14
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023  食卓に枇杷を飾りて里の家
        その佇まい自分にはない

そのセンスの良さに思わず脱帽しました
万田竜人  98/07/23 20:28
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024  紫陽花や一輪残し人を待つ
        粋な職人それとも友に

彩の森公園の管理人の粋な心意気に何かしら
感じるものがありました
万田竜人  98/07/24 20:24
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025  刈り込みの終りし庭に蝉の来る
          天空からの客の到来

蝉もどこか上空から観察しているのでしょか
万田竜人  98/07/25 20:54
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026  夏の朝いろとりどりにポーチュラカ
         我が庭のごと鎌を片手に

会社の駐輪場の傍に、花好きの女性が園芸家
の様に、毎朝、手入れしています
万田竜人  98/07/26 08:59
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027  稲妻や水道止まる夏の夜
         諦めて寝る明日に希望を

今「9連休中」で早起きをしての俳句投稿です。
これぞ「健康の素」と考えて、土曜・日曜日の
休日もほとんど朝の投稿を心掛けています。
万田竜人  98/07/27 07:58
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028  馬車で行く湖畔の木陰涼新た
         子供の頃は湖面でカヌー

群馬県の榛名湖での追憶です。時代は変わって
今、榛名湖ではブラックバスが繁殖して困って
いる様です
万田竜人  98/07/28 08:08
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029  露天風呂秋めく森に山の風
         肌にも届く秋風の在り

暦の上では8月8日と云えば「立秋」ですが
梅雨が明けたばかりの印象で「秋に入る」の
も珍しいことです
万田竜人  98/08/08 07:40

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030  俳人や五百人もの夕涼み
         主宰を慕う弟子の多さよ

031  大句会主宰の汗もデジカメに
         一人舞台を双肩に背負い

032  新人賞眩しさの中夏終わる
         次の賞待つ俳人の居て

今夏は珍しくテニス三昧の生活を堪能です
その合間に、都内の句会の主宰である早大
の高橋教授が開催された句会に出席した時
の模様を句にしてみました
万田竜人  98/08/29 19:04
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033  竹の春隣家に伸びし根から伐る
         驚くべきは居間にも出現

034  葛花や歳時記で知る秋の花
       インターネットで再確認する

035  二階から見下ろす芙蓉朝は白
          夕暮れ時は朱色に変身

036  栗飯に小豆を入れて我が女房
          料亭の味にも勝れりて

037  Eメールながら族して梨食らふ
          膝の上には飼犬が居り 

               
都内の俳句誌「海の9月号」への投稿句です
万田竜人  98/09/15 16:23
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038  曼珠沙華百万本花白一輪
       注目を浴びフォーカス三昧

突然変異でしょうか、多くの人が珍しそうに
花一輪を取り囲んで鑑賞していました
万田竜人  98/09/23 08:26
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039  秋茄子や頬に広がる旬の味
        皮の薄さが美味を誘うや

040  待宵は月の明かりと夕焼けと
          贅沢な景俳人冥利

041  十五夜は雲間の月となりにけり
       あら恥ずかしや雲に隠れて

042  酔芙蓉台風の朝紅と白
         初体験に恥じらう様に

043  運動会スピーカーの声天高く
        子供の歓声かき消す如く

044  時の鐘に明かりが灯り秋惜しむ
          まだ宵闇の訪れは先

045  行秋の小江戸の街に人の波
        寄せては返す人垣の在り

046  薩摩藷大きさ揃え店先に
        売り物ゆえに光沢も良く

最近の三年間「同人誌」に投稿して選に入った
俳句を集めてみました
万田竜人  98/10/03 20:25
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047  濁り酒ろれつまわらぬ二三人
         甘口ゆえに油断の在りて

048  新米や魚沼産を買ふて炊く
       その炊き上がり予想を超える

049  新米や二合半炊きまだ余る
         楽しみ残して食材思案

050  秋霖や行ったり来たりアンブレラ
        映画のシーン思い起こせり

051  銀杏や枝にたわわに黄色帯び
          幸せ感を呼び込む様に

052  通草(あけび)の実スプーンでしゃくる
       白果肉 珍しきこと目を丸くして

053  酔芙蓉紅を帯びしが恋模様
       夕暮れのなかロマンチックに

054  虹鱒や宙に躍りて竿しなる
        初めての釣り山の賑わい

055  カヌー削る木の香りする秋の山
         名工の在り眼下に湖畔

056  十月のはじめの月はおとこ顔
         どこか凛々しくきれ感のあり

057  栃の木やわれ一番に初黄葉
         例年のごと行事始まる

058  十並び体育の日に登山会
          遠い昔の行事感なり

秋は俳句が湧き出すように浮かんできますね
寄せ書き俳句を並べてみました
万田竜人  98/10/11 10:49
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059  松茸を丸かじりして夢世界
         新米を食み食道楽する

こんなこともあるんだという小宇宙でした
万田竜人  98/10/17 07:25
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060  山あいに月出でて山眠る
         ドライバーには眠りは厳禁

061  仕事場は宇宙の色紙秋深む
           宇宙飛行士自らサイン

062  宙に舞うテニスボールや冬うらら
          日向ぼこ兼ね休日の舞い

063  今朝の冬髭剃りあとに風染みる
         深剃りの感顎をさすりて

064  行く秋や信号待ちに月仰ぐ
         夜空のショーに久々の感

065  みかん剥く手に飼犬の目釘付け
           面白いの妻に声かけ

066  ぶどう畑棚一面紅葉の海
         思わず雲海の景色想う

067  釣橋の向ふの山に紅葉茶屋
          脚を速めて正体探る

068  山越へて紅葉の色さらに濃く
         奥多摩の山踏み込んで行く

仕事場は宇宙の色紙は宇宙から帰還した向井千秋さん
のサイン入りで、宇宙から帰還した時に、いただいた
我が家の「お宝」です
万田竜人 98/11/14 07:11
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069  紅葉路星狩りのひと大渋滞
          早朝のショー昼まで余波が

流星群の早朝のショーを観ようと山間部に集まった人達
の車の群れはショーが終わって帰路につき集まり過ぎて
山道から都心部までの大渋滞。その人波は昼頃まで続き
会社の連絡バスも渋滞に巻き込まれパニック状態でした
万田竜人  98/11/19 19:56
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070  庭前の満天星紅葉赤く燃え
         今に伝わる家宝のごとく

071  酔芙蓉朝方少し紅を付け
         見飽きぬ姿変幻万華

072  秋の陽にベコニアの葉の照り返り
         つややかな色目線で追えり

073  文化の日葉牡丹三つ植ゑにけり
         家内の手付き慈愛に満ちて

074  連山の紅葉燃ゆる奥秩父
         佳境の境地しばし呆然

075  黄葉の山ふところに滝の糸
         冷感の来て身震いをする

076  堰の音近づくほどに肌寒し
         水清くして水底を覗く

077  初時雨飼犬の待つ帰路いそぐ
         車窓の景色観る余裕なく

078  暖房のスイッチ入れし今朝の冬
         肌寒を越えガウンを羽織る

079  雨上り陽光眩し冬の朝
         合掌をして今日もよろしく

俳句「日曜講座」を受講してから投稿をはじめて3年間が経過
11月頃の題材で「選」に入ったものを並べてみました
万田竜人  98/11/23 09:13
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080  花豆を買ふて信州の秋を煮る
         キッチンからの香ばしさ届く

081  サンタさん冬ざれのなか缶コーヒー
          寒さ対策兼ねて旨そうに

信州旅で愛用の「ザウルス」に俳句を詰め込んできました
万田竜人  98/11/26 20:37
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082  冬の蜂パソコンに降り逃げもせず
           動きも鈍く観賞用に

083  鮭雑炊熱さ冷ましに洋梨酒
           これは行けると盃を空け

これは「お気軽俳句」に分類ですね
万田竜人  98/11/26 21:15
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084  行秋やチェックマークが旅はじめ
            添乗員の搭乗確認

085  車窓から岩肌近し冬近し
手の届くほど至近距離観
          
086  はらみ犬日向ぼこして耳を掻く
           悠々として我を行く様

087  線香の煙を浴びて冬うらら
         さする仏もすり減りてをり

088  境内の照紅葉のシャッター頼まれ
          我が女房にカメラを渡す

089  饅頭手に冬菜をつまみお茶を飲む
          信州の旅こその道行や

090  冬菜漬け買ふて定刻にバスに乗る
         自宅で食すイメージも載せ

信州の旅のシリーズを俳句に詠んでみました
万田竜人  98/11/28 19:02
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091  牛に引かれての民話を聞きながら
           冬季の信州をひた走る

092  人の列冬の闇に向けて牛歩
           闇の先には御開帳の場

善光寺の御開帳は久々のこととあって、地下に
通じる御開帳の場までは、まさに牛歩でした
万田竜人  98/11/28 19:33
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093  スマッシュのボール見上げる冬の空
           絶好球に笑顔はじける

094  打ち下ろすボール飛び込む冬木立
          小鳥跳び跳ね静寂破る

095  年よりも若いと云われ万年青の実
          されど足腰若くはないと

096  風もなく勝気も捨てて冬うらら
          並行陣に隙なく並ぶ

097  飛び交いしボールの傍に冬の鳥
        遊ぶつもりか逃げもせず居り

098  長トレも短パンもいる冬ぬくし
         うっすら汗も額を拭う

099  ロッカーで木の葉髪拭く支配人
         目配り気配りプロ仕様

100  がん陣形一息入れて冬構
         並行陣を常に視野に入れ

久々のテニスは絶好調、一瞬、スマッシュが決まる
と、その日は幸せ気分です、業務スケジュールにも
積極策を組みこんで行こう
万田竜人  98/11/29 14:28
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101  参拝の頭上をかすめ冬の鳩
         人馴れしての歓迎ぶりか

102  差向い山菜蕎麦にとろろ蕎麦
         箸先に違いの在りてムフ        

103  紅葉背にタイマーかけて走り寄り
       カメラに向かいVサインする

104  千曲川流るるままに冬ざるる
         寒風の吹く河川敷連れ

105  林檎狩り知らぬ人とも笑み交わし
         園内を行くチームの如し

106  冬の鳥啄む林檎いと甘く
         鳥に教わる甘未の秘密

107  林檎の尻をひょいと持ち上げて採る
          手振り身振りの園内の人

108  露天風呂初雪の降る旅の宿
          案内人も恵比寿顔して

109  あんず酒に缶ビール加えて雪見
           食前酒には信州の味

110  旅の宿山懐に抱かれ寝る
        この感覚は信州ならでは

111  冬の朝露天の風呂の熱きこと
         雪を加えて天下泰平

112  今朝の味噌汁玉ねぎの美味きこと
         甘未と味噌の和えの絶妙

113  雪の朝定刻よりも早く出る
          地元の知恵が渋滞予想

信州の旅は、林檎狩り体験やスキーのジャンプ場の見学、
浅間山の絶景など見どころ満載でした
万田竜人  98/11/29 16:57
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114  諸鳥や林の中を枯葉の舞い
           不思議な光景眼が点になる

一瞬だが枯葉にしては不自然な動きが視界に入り、良く
見れば小鳥たちが林間を飛びまわっていました
(まるで枯葉を真似ているように)
万田竜人  98/12/03 21:38
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115  朝焼けの東の空に冬の雲
         凍てつく様な雰囲気のあり

116  南窓の銀杏黄葉や陽の透けて
         黄金色に両手合わせて

117  クリスマスツリーの下で音楽隊
          歳を忘れて拍手喝采

118  冬の鳥もつれるやうに二羽で飛ぶ
          恋を楽しむ若者のごと

119  生牡蠣をコンロで焙り白ワイン
          晩餐の場を華やかにして

120  冬木立飼犬と行く散歩道
          

同人誌で選に入ったものから並べてみました
万田竜人 98/12/05 08:21
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121  船盛や新潟産の紅葉添え
         その気配りに板前の顔

122  売店で初雪と聞き土産買う
       郷土の話題盛りだくさんに
         
123  ホテル前フォトに写るや息白く
         凍える手先両手をさする

124  馬刺食む味かげん良く天仰ぐ
         馬肥ゆる地の大盤振る舞い

125  秋の小布施に銀色のビートルズ
         飾りてをり何を意味するや

126  栗ソフトに巨峰を載せて秋寒
         贅沢な感味わいて吉

127  信州のおやきは割って熱冬菜
         地元の知恵が美味を引き出す

128  安曇野やアルプス連峰雪越しに
         大地の恵み水の豊かさ

129  姨捨は覗けども雪の中なり
         バスの車中で当時を想う

130  川越のインター下りて夜寒晴れ
         旅の疲れも中くらいなり

131  旅土産広げて夕餉に秋の暮るる
         ほっと一息お風呂を沸かす

旅の募集案内で「信州うまいものめぐり」とネーミングする
だけあって、2日間は食べまくりの旅程でした
万田竜人  98/12/05 20:25
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132  冬ごもりタイタニックでビデオ試写
           豪華客船の思い出重ね

今年のお正月に観て感動した、映画「タイタニック」のビデオ版が
発売になったというので、今日は我が家のビデオ試写会でした
万田竜人  98/12/11 23:41
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133  たらの木やイチョウの後に黄葉せり
          最後の最後トリのその後

黄葉の最後を飾るのは、イチョウと思い込んでいたところ、
その後に、たらの木(高級山菜のたらの芽が採れる木)が
黄葉することを知りました。
万田竜人  98/12/12 08:59
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134  冬の月郵便局の遅くまで
        ライト片手にスタッフ対応

135  火の番の拍子木の音懐かしく
        どんな顔ぶれ想像してみる

136  冬の夜いまどきは不夜城の増え
          コンビニ店の灯り煌々

137  冬至には南瓜を食し柚子風呂に
         家風に在りて束縛はなし

138  いま賀状書き終えし友に電話する
          来月までは待てぬ話を

年賀状は24日頃までというので冬の月を見ながら郵便局
に行ったら「賀状袋」で局員さんが迎えてくれた
万田竜人  98/12/24 22:06
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139  鯛一尾買ふて息子の帰省待つ
         家内の思いと胸算用

140  五十路超え優しさ増して春支度
         首長くして帰省子を待つ

家内にしてみてば長男の帰省は最大の楽しみ
万田竜人  98/12/26 13:59
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141  キッチンに蒸気が走る大晦日
         正月料理仕上がりの列

蒸気釜が銀河鉄道999のように汽笛をならして
驀進、家内の正月料理がドンドン仕上がっていく
万田竜人 98/12/31 16:28

【特記事項】
141の俳句は俳句仲間から大絶賛でした
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あとがき

 私が俳句を趣味としたきかっけは、48歳の時(1990年)にIHI
の大手町本社に異動になった時に、出会った上司である川合部長との
出会いがキッカケであった。

 当時、私が航空マンとして飛躍の舞台を与えられたのは、航空分野
における事業として、それまでの国内(官需)から世界市場(民需)
への飛躍のために、全社的な企業革新の必要性が切迫した企業課題と
して、その具現化のために具体的な課題として、当時の円高基調の中
で総コストの半減が求められ、従来の製造部門を主体にしたコスト減
のみでは、世界市場に対抗できないため製造部門だけでなくオフィス
部門の生産性向上が求められ、その端緒を手繰り寄せるために大手町
に作戦本部を起動させるため大手町の川合部長の下に、航空宇宙事業
本部長の直轄組織として、準備室が用意され、その中堅の旗振り役と
して、私が招集されたのだった。

 その様な縁の中で、川合部長から、趣味としてテニス一辺倒の私に
雨読晴耕の例えの例を引くまでもなく、晴れた日にはテニスも良いが
川合部長が感動屋さんと見立てた私には「俳句を趣味として加えたら」
という見立てから、川合部長から私に「一冊の書籍」が贈呈された。

 その書籍「月は東に(蕪村の夢・漱石の幻)」森本哲郎著は、その
執筆スタイルが推理小説のような筆致で俳句の面白さを探究して行く
のだが、読み終わった時には俳句の魅力に嵌まっていた。

 また文中に紹介されていた「人間の生き方の三つの道」としての
オランダの史家ヨハン・ホイジンガの説には大いに共感した。

 先日、書籍「月は東に・・・」の書籍を久々に書斎の書架から
取り出して頁を開くと当時、河合部長宛にしたためた礼状を兼ね
た感想文が頁の間に挟まれていたので紹介することにしよう。

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川合部長殿

 先日は 「月は東に・・・」の書籍をありがとうございました。
読後感をはじめとして、幾つかの俳句らしきものを作ってみましたが
自己分析をした結果「私の俳句は、俳句の中心に自分が居る」という
傾向があるようです。自己主張が強いのでしょうか

 例えば、読後感として
      「詫び錆を求める旅人春の夢」

 書籍を読んで、俳句が分かるのか、梅の開花を楽しみにしていた
 朝の雪をみた印象として
      「銀世界梅との逢瀬とおせんぼ」
 その後、楽しみにしていた梅の公園に行ってみたが
      「春霞青梅の梅路杉花粉」
 ちょっと川柳の要素が入って来ていますね

 いずれの俳句も、自称「自然流」とは云え、「月は東に・・・」
の読後感として達人の俳句には自分というものがない、達観の境地
にあるのでしょうか

「俳聖の達観した風景は、どこから来るのだろうか」

 そこで私なりの結論として、自分を中心に置いた自画像的な俳句
という境地もあるのか、これを脱皮するのは「どうしたら良いか」
という視点から「本格的に学ぶ必要を感じ取り」今度、俳句入門の
講座を受講することにしました。

 ちょうどタイミング良く、早稲田大学のオープンカレッジの一つ
に「俳句入門講座」があり5月から6月の間に、4回ほど、講座が
開催される計画があり、受講することにしました。

 また「心の働きを知る」という面から、休日を利用して放送大学
において心理学を学び、視点を変えた面からも 「俳句の境地」に
迫ってみたいと考え、具体的な計画をスタートさせました。

 その後は、IHIの大手町本社における「全社的な業務革新」の
旗振り役としての業務は多忙を極め・・・

〇 放送大学の心理学専攻に特化した入学は1995年4月に
〇 早稲田大学における俳句講座受講までは、長い道のりを経たが
 早稲田大学の高橋悦男先生(当時は英文科の教授)から1回目の
俳句の授業を受けたのが1998年5月10日(日曜日)、場所は
早稲田エクステンションセンターであった。

そしてインターネット上の俳句交流の機会に恵まれたのが1998年
の7月であったので、絶妙のタイミングでの「俳句の世界」への
参画であったと云える。

 そして今にして思えば、当時(1998年)詠んだ17文字の俳句に
現時点での「その心」を短句14文字として加えて、一つの完成形
としての「短歌」にすることは、当時、川合部長に宛てた手紙への
自分なりの答えなのかもしれない。
(短歌にしてこその自分探し)

そして本業については大手町本社の企画部「川合部長」との連携
において、どの様な「業務革新」を実践できたのか・・・

「ヒトとして生まれて・第15巻」で詳述して行くことにする。

(完)

短歌de1998

短歌de1998

新しい試みを始めてみた

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更新日
登録日
2025-01-02

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