ヒトとして生まれて・1153
002 秋吉台の風景と広島のプリンスホテルからの眺望
旅路の2日目は朝の「秋吉台の風景」を眺めることからはじまった。
大昔は海底であったという風景には、家内の記憶と、今の風景に違い
があると云う。家内の記憶にある風景は「白色の岩が目立っていた」
と云う。しかし目の前の風景にあるのは「黒色の岩石だ」そんな会話
を交わしていると、同じ旅行客の声で「昔は白い岩だったわ」と。
これらの岩は「大昔は海底のサンゴ礁だった」という現地の売店の
方の説明からも「これらの岩石は白かった」という話に間違いはなく、
歳月を重ねて風化、やがて黒色に色を変えたようだ。
それにしても、秋吉台の広々とした風景には、大昔、海底であった
という話に、信ぴょう性があり、納得の行く異様さは感じ取れた。
秋吉台の広々とした光景を展望台から眺めた後は、今回の旅程にて
ビッグイベントともいえる「車海老づくしのフルコース」を提供する
老舗の料亭にての美食三昧の昼食会だ。
車海老専門料亭と謳うだけあって食卓に用意された料理皿には色彩
豊かな料理が並べられていて、華やいだ気分に座を盛り上げていた。
車海老のお造りには、海老の頭も添えられていて、海老のお刺身を
食した後は、海老の頭の部分をから揚げにして提供するのだと云う。
昼間からはビールを呑まない私でも、ビールを呑みたいところだが
なにせ36名のツアー客とあって「仲居さんの人数も少ない」という
こともあり、全員が、お茶を選択する。
テーブルに並んだ料理のあれこれからも、ビールを置く場所もない
ほどの豪華な盛り合わせで、全員が「納得」の歓待ぶりであった。
この車海老専門料亭では、宿泊客も受け入れていて、宿泊客の場合
は、もてなす料理の品数は約2倍になるのだというが想像が難しい。
ほぼ全員が満足して、バスに乗り込むと、一路、津和野の街へ繰り
出す。バスがお土産店に到着すると店主が自ら津和野の街並みを案内、
街並みを賑わす存在としては、掘割を泳ぐ鯉の群れにツアー客の目が
注がれる。大きく太った鯉は街並みの歴史を感じさせる存在と云える。
津和野では「鷺を模した踊り」が名物ということで大きな鷺の被り
物を踊り手が被り、優美な踊りを披露するのだと云う。鷺の被り物は
頭上の遥か上までの存在感なので、踊り手も上方に位置する鷺の作り
物を操作することになるので大変な操作が想像される。
街並みの案内を巧みに語る土産物の店主によれば安芸の宮島の厳島
神社の舞台で「鷺の舞」を披露したのだと云う。土産店に戻ると自慢
の銘菓がツアー客に試食として振舞われて、ツアー客はそれぞれ列を
なして、お土産を購入していた(勿論、我が家でも、お土産に購入)
その後は、地元の稲荷神社に参拝して、広島駅まで直行、広島名物
の「お好み焼き」などを味わうことになった。駅構内にはお好み焼き
の店が連なっていて、どこの店にも、お客の行列が出来ている。
ツアー添乗員のお勧めは「いっちゃんのお好み焼き」ということで、
いっちゃんの店は大行列に違いなと考えて構内を散策したが、やはり
「いっちゃんか?」と、いうことになって、いっちゃんの店頭に並ぶ
ことにしたところ、ツアー仲間も待ち行列に加わっていた。
並んでいる間に、手持ちのショルダーバッグを開けると昨夜の夕食
の御品書きが出てきた。暇つぶしに眺めていると「長州鮑付会食」の
表題になっていて、食前酒の「サンザンドリンク」から始まって、
〇 前 菜 「季節の和え物」
〇 お造り 「二種盛り」
〇 鍋 物 「ふくちり鍋」
〇 揚げ物 「ふく唐揚げ」
〇 台の物 「鮑の踊り焼き」
〇 蒸し物 「茶碗蒸し」
〇 酢の物 「ふくの叩き」
〇 食 事 「山口県産米」
〇 香 物 「三種盛り」
〇 留 椀 「清汁仕立」
〇 水菓子 「オレンジ・パイン」
昨日の夕餉を思い出しながら、お好み焼きの順番を待っている間に
私と家内との間で話題になったのは、昨日の夕餉の会食で、食事係の
女性から「鮑の踊り焼きは、途中で裏返しにして下さい」と云われて
私は「裏返しにした」が、家内は「そのままにして、食したものの」
昨年、鎌倉ファミリーと一緒に、伊豆の老舗旅館で「鮑の踊り焼き」
を食した時には「そのまま食したよね」という話になり・・・
そこで、お好み焼きを食する順番が回ってきた。
私と家内が注文した「お好み焼き」は焼きそばに豚肉を載せて更に
牡蠣をトッピングにしたもので、生ビールとの相性も良くて、昨夜に
食した長州鮑付会食にも負けていない美味であった。
案内された店内のテーブルに座ってみれば周りは今回のツアー仲間
で固めた様な席並びでバスへの戻り時間には余裕をもって集合出来た。
お好み焼きを食した後は、旅程におけるお薦めのAランクホテルと
なっている「グランドプリンスホテル広島」に直行、バス内での話題
はホテル到着後の大浴場の利用には、別料金で2150円だと云う。
ツアー客の多くが「スパ(大浴場)は利用しない」という。ホテル
の部屋に入ってバスルームを覗くと、外国のホテルなら、部屋付きの
バスルームで済ませるわねということになったが、その前に自宅まで
まとめ買いしたお土産や下着類の洗濯物などを宅急便で送って身軽に
なろうということで、入浴の前に、宅急便の段ボールを入手するため
ロビーのある1階までエレベーターで降りることにした。
1階のロビーまで降りて、岸田総理の時代に「G7サミットの会場」
として選ばれただけにロビーからのファインダービューは素晴らしく、
しばし電飾された風景を楽しんだ。
その後、せっかくなので、スパ(大浴場)に出かけて、2150円
の別料金を支払って、私と家内は「男湯と女湯」に、それぞれ入浴を
楽しんだのだが、今回のツアー仲間のほとんどは部屋の風呂で入浴を
済ませて眠りについた様であった。
私と家内は、その後、段ボールにお土産と洗濯物を詰めて、ロビー
で宅急便の手配を済ませてから就寝したが、翌日の出発は10:00
であったので、スパ(大浴場)でゆったりと朝風呂を浴びて朝食会場
に向かった。広島のプリンスホテルは周囲が海の立地条件のため朝食
時の周囲の景色は素晴らしく大満足であった。
(続 く)
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