ヒトとして生まれて・1152
001 宇部空港からの旅路
私たちが宇部空港に降り立つのは初めてのことである。宇部空港の
出口で、今回のツアー客の全員(38名)が揃ったことが確認されて、
今回のドライバーが待つ大型バスにツアー客全員が脚を運ぶ。
予め、指定された座席に、全員が着席すると「萩反射炉」に向かう。
明治時代の産業化初期の遺産として世界遺産に登録されている文明化
の象徴的な存在だ。金属(鉄)の溶解炉としての反射炉だが、結果的
には「鉄の溶解」に成功した設備ではない。世界遺産としての価値は
文明化に向けて山林一帯の樹木を丸坊主にしてまで取り組んだ心意気
に向けた評価といえる。
航空機の分野と比較すれば、ライト兄弟が原動機を活用して飛行機
を飛ばした前のタイミングにおいてゴムの弾力による動力を活用して
初飛行に成功した日本人の例に近く、世界的な脚光は浴びなかったも
のの、そのチャレンジ精神は後に続くものに勇気と感動を与えている。
次に訪問したのは「松下村塾」で、昔、訪問した記憶はあるのだが
今回ほど感動を大きくした印象は記憶に残っていないのは何故だろう。
萩の城下町では、角館の武家屋敷を思い出したが角館ではしっかり
と手を加えて観光に寄与していたが、萩の城下町では「あるがまま」
「廃れるまま」という印象であったが、観光という面からは、訪れる
観光客も少なく地域の人口減少の影が影響しているように見える。
石破総理が「地方の活性化」を謳っているが地方の人口減少は今や
日本国の少子化の課題同様に、防ぎようにない大いなる負の力を感じ
ざるを得ない。
今回の旅の最終日に広島を訪問して「多くの溢れんばかりの観光客」
の姿を散見したが、広島の観光客を、萩に連れて行きたいと考えた
のは、今回のツアー客の共通の思いであった。
その後は、絶景の「元乃住神社」と「角島大橋」を訪問、雄大優美
な大橋も観光客の少なさには残念な思いがしたが、政府の施策として
多くの外国人を誘導する方策などはないものだろうか?
長門湯本温泉なども、観光客が少ない印象で、地域の過疎化の印象
は強く、政府が地域の活性化を唱えるものの、過疎化の波はどうにも
ならないものなのだろうか?
長期間にわたって、影響を及ぼしたコロナ禍による影響は、地方の
観光地ほどその影響は長引いている印象だ。
日本の歴史を大きく動かした偉人たちの郷里だけに偉人たちが都市
部で成功を納め、都市部を発展させる原動力となったものの、郷里は
廃れて行くという循環社会において、郷里にも、好循環をもたらすと
いう秘策はないものだろうか?
その点において、郷里の新潟を大発展させた「田中角栄の存在」は、
これからの地方の発展において、なんらかの大いなるヒントを与えて
くれるかもしれない。
その様なことを洞察した時に今回のアメリカの大統領選挙において
「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプの存在感は産業の活性化
の波からおいてきぼりを食らったアメリカ人たちの貪欲な飢餓感から
の「起死回生を訴える姿」なのかもしれないと考えるのは、部外者が
感じとる的外れな感想だろうか?
多くの偉人たちを輩出しながらも寂れて行く「萩の街並み」を観た
時に「おらが町・ファースト」の貪欲さも、人として生き延びて行く
上での知恵なのかも知れないと感じた今日この頃であった。
(続 く)
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