ヒトとして生まれて・1151

第3部  萩・津和野・安芸の宮島の旅情

はじめに

 萩や津和野といえば久々の訪問で、かなり前に旅路の思い出はある
が些細な旅情については思い出せない。そんな訳で僅かな記憶を頼り
にしての旅程となった。

 毎度、お馴染みの阪急交通社の旅で、毎回、満足の行く旅程に安心
しての参加であったが、今回は、出発時間の案内に衝撃を受けざるを
得ない旅となったのは残念であった。

 今回の旅の申し込みにおいては、最寄り駅を始発で行けば羽田空港
には、ぎりぎりのタイム・スケジュールとなるものの、なんとか間に
合うという算段で申し込んだのだが、旅案内が届いて、正直、驚いた。

「羽田空港の第1ターミナル集合:午前6:40」
「羽田からのフライト時間:7:30」を観て驚愕した。

○ 最寄り駅の武蔵藤沢駅で始発に乗っても間に合わない
○ 所沢からリムジン(空港直行バス)の始発に乗れば間に合うが
 朝が早すぎて入間からのハイヤーは営業時間外であるため所沢駅
 までの交通手段がない

 そこで急遽、かつて別荘としてセカンドハウスを構えていた大塚の
アパホテルを予約、空港までのアクセスをシミュレーションしてみた
が、羽田空港まで約1時間かかることが分かりキャンセル。

 空港羽田の周辺にはビジネスホテルの空きがない。やっと見つけた
のが「蒲田駅前のビジネスホテル」 1部屋だけが空いていて予約。
蒲田駅から直通で羽田空港までバスが走っていて約25分。

 それでも蒲田のホテルでは午前4:30起床、5:30ホテル発、
空港までの直通バスには5:50乗車と忙しい行動が求められる。

 前日は入間ケ丘公民館において卓球の練習もあるので15:30に
練習を終わって、すぐに着替えて、蒲田駅まで、18:30頃には駅
に到着、そのまま、ホテルでチェックインして外出、羽田空港までの
バス停の場所などを確認して、レストランで夕食。

 食後は、ホテルで自慢の四季の湯(大浴場)に入湯、清潔感のある
入浴を済ませて、いつも通りの午後11時の就寝、モーニングコール
で4:30に起床、5:30にホテルを出て、予定通り5:50出発
の羽田空港行きのバスに乗り集合時間の6:40よりも20分の余裕
で6:20に指定の集合場所に到着

 現地では、当日の旅程の添乗員が、まだ到着していないと云うこと
で、ザワザワとした空気感の中で整列をしての添乗員待ち、通常なら
定刻前に受付が始まり、定刻には、ほぼ受付が終わっているというの
が通例だが、今回は定刻からの受付対応のため空港内の荷物検査など
にも出遅れ感があって、飛行機の出発時間の7:30までには余裕が
なかった。

 それというのも宇部空港までの便は通常の直結の出発口とは違って
空港内専用のバスに搭乗して機体の処まで行く方法を採っているため
その分だけ余計に忙しい。

 そして実際のフライトでは、搭乗者の到着遅れのためフライト時間
を少し遅らせての出発となったが、この謎解きの機会が旅を終わって
羽田空港からリムジンバスにての所沢までの帰路に判明した。

 その旅行仲間のご夫妻は、出発日に所沢からのリムジンバスに乗車
早めの出発時間に乗車したので、集合時間の6:40には余裕で対応
出来ると考えていたところ、リムジンバスが都内の道路に入った処で
大渋滞に巻き込まれて「今回の旅程はキャンセルか?」と、ご夫婦で
諦めかけていたところ、旅の添乗員から携帯に電話がかかってきて、
「残念ですが今回の旅行は諦めます」という意思を伝えた処、その後
も添乗員から何度も励ましの電話があり「空港には7:20に到着」
それから脱兎のごとく空港内を走り抜けて空港内専用バスに乗り込ん
だのだと云う。

 思えば、我々も「自家用車で所沢からのリムジンバスのルート」を
選択していれば、同じ思いをしていた可能性もあり、結果、蒲田での
前泊を選んだ訳だが、我々にとってもアナザーストーリーの可能性は
あったと云える。

 そして添乗員についても、集合時間の6:40ギリギリに姿を現す
遅滞ぶりには非難ごうごうであったが、一方で、航空会社と交渉して
リムジンバスで渋滞に巻き込まれたツアー仲間を救っている。この陰
の努力を他のツアー仲間は知らない。

 かつて、渋谷における「IE実践研究会」において異業種交流会の
場でIE(管理工学)の面から、ご指導いただいていた芝浦工業大学
の津村教授が・・・

「例えば、目の目で居眠りをしている人を観て、即、非難は思慮不足」
「その背景では人命救助をしてきた人物かもしれない?」という高説
を解説されていたが、今回の体験で、津村教授の顔を思い出した。

 そして、今回のツアー参加者36名という盛況ぶりにも、航空便の
確保が難しくなってきている背景があるのかもしれない。

 前回の北海道旅行ではツアー客のサイズは約28名規模のケースを
体験してきており、その後、時間の経過に伴って、団塊の世代などが
夫婦旅をする周期に入ってきておりツアー客のサイズが大きくなって
来ている印象はある。

 またコロナ禍への対応が第5類に移行したため旅行者の急増もあり
「70歳代や80歳代の旅には、出発は、ゆっくり旅の選択も賢明」
なのかもしれない。

 今回の「萩・津和野・安芸の宮島の旅」は、旅の中身が充実して
いただけに、前泊という強烈な印象で、旅のスタートを切ることに
なったが、時代は動いているということなのかもしれない。

 そして「いつの時代にも知恵者は居るもの」で今回のツアー仲間
で親しくなった3人組のお仲間からの情報で・・・

「私と同年代のご夫妻は、前泊を嫌って、ツアー参加をキャンセル」
「旅の案内には、1週間前の旅のキャンセルについては、旅行代金
の半額は返金されないことになっていたが粘りに粘った交渉の結果
全額の返金に成功した」という(あっぱれ同世代は居るものだ)

(続 く)

ヒトとして生まれて・1151

ヒトとして生まれて・1151

萩・津和野・安芸の宮島の旅情

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-19

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