編む

編む

草を編んで宙にうかべる

向かい風か
追い風か
草を編んで風に浮かべる

蔦は絡み
花は千切れ
葉は青い汁を垂らし

強く強く
ちぎれるほどに強く

遠く遠く
霞むほどに遠く

果てを目指した草舟は、切れ切れの記憶、おぼろな願い、かすかな希望、青い想い、知らぬ使命、むせ返る緑の匂いがこの身を満たし、あるべき場所は本能のままに、あるがままに、導くのは草笛、あなたの掠れた歌声、苦しみの悲しみの執着の諦めの、絞り出したあなたの震える言葉、それは青く、無垢でそして老練で、剥き出しの血肉のような生々しさと、天使のような純白の汚れない色をした、矛盾と葛藤の波に翻弄され、舵を切るその手は血だらけ傷だらけ

千切れた草は大地に還り

熱風と涼風と 
疾風はやがて激しく渦巻き
竜巻は天をめざす

種は芽吹き
根を張り
大地を満たし

あなたのその手は草を摘み

舟を編む

編む

編む

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-08-23

CC BY
原著作者の表示の条件で、作品の改変や二次創作などの自由な利用を許可します。

CC BY