編む
草を編んで宙にうかべる
向かい風か
追い風か
草を編んで風に浮かべる
蔦は絡み
花は千切れ
葉は青い汁を垂らし
強く強く
ちぎれるほどに強く
遠く遠く
霞むほどに遠く
果てを目指した草舟は、切れ切れの記憶、おぼろな願い、かすかな希望、青い想い、知らぬ使命、むせ返る緑の匂いがこの身を満たし、あるべき場所は本能のままに、あるがままに、導くのは草笛、あなたの掠れた歌声、苦しみの悲しみの執着の諦めの、絞り出したあなたの震える言葉、それは青く、無垢でそして老練で、剥き出しの血肉のような生々しさと、天使のような純白の汚れない色をした、矛盾と葛藤の波に翻弄され、舵を切るその手は血だらけ傷だらけ
千切れた草は大地に還り
熱風と涼風と
疾風はやがて激しく渦巻き
竜巻は天をめざす
種は芽吹き
根を張り
大地を満たし
あなたのその手は草を摘み
舟を編む
編む